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冒険者の血統
森の中へ
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ルカという女性は光の魔法使いだと言う。
この世に光の魔法使いは数える程しかいないと聞いたが、その一人が目の前にいる。
そういえば北方大陸には昔から、魔力を増幅させる魔力の泉が多く存在すると聞くし。光の魔法を習得する為に必要な環境が揃っていてもおかしくはない。
「それで、ルカだったか。あんたは何を知ってるんだって?」
「はい。やり直し。シュウくんだっけ? あなた、まだ子供でしょ? 言葉遣いには気を付けなさい。私はルシアンみたいに甘くないからね! しっかり躾をします」
俺を指差しながらルカは厳しい視線を向ける。
どうやらこの綺麗なお姉さんは、相当口煩いババアのようだ。
「チッ、俺は子供じゃねぇよ。これでも盗賊団のNo.2なんだ」
「全く。一昔前のルシアンみたいに生意気ね」
そう言ってルカはルシアンを見る。ルシアンは苦笑いを浮かべていた。この二人、どんな関係なんだ? ルシアンって確か北方の英雄だよな?
「兎に角。シュウくん? あなたには、ネフラムの森に入ってもらうからね。後、私の事は『ルカ姉さん』と呼びなさい。ルシアンの事は『ルシアン兄さん』って呼ぶのよ」
「は!? なんだその呼び方」
「は?……じゃないの! 『分かりました』でしょ」
ああ。面倒くさい……
舌打ちする俺にルシアンが近付いてきて、耳打ちをしてくる。
「あいつには逆らわない方がいいぞ……」
こいつ、立場よわっ! なんだかんだ英雄と言っても普通の人間だ。所詮、噂なんて大袈裟に尾ひれがつくものなのだ。
それから俺は飛空梃に乗せられて、移動する事になった。
初めて乗る飛空梃に興奮するも、さすがの移動速度で山を二つ程越えるのに二時間とかからなかった。
やがて辺りは一面の緑に包まれた。
眼下には広大な森林が広がっている。歩きなら何日森をさ迷う事になるのだろうか?
やがて何も無い森の上で飛空梃は進行を止めた。
そしてルカは言う。
「さあ。降りて」
「降りて? こんな森の上に着陸出来るのか?」
「出来るわけないじゃない。飛び降りるのよ」
「は!? おい、ルシアン! この女、正気か?」
「ああ。本気で言ってるから飛び降りろ」
コイツら頭がイカれてる。
飛空梃の高度はギリギリまで下がってるが、飛空梃自体が高さがあるので、甲板から地上までは優に一五メートルはある。飛び降りたら無事では済まない気がする。
と、思ってるとルカが飛び降りた────
途中から何やら光りに包まれユックリと降りていく。なるほど、どうやら風の魔法か何かで落下速度を調整しているようだ。
そんな使い方出来るのか。
しかし、俺は風魔法苦手なんだが?
と、次にルシアンが飛び降りる────寸前に言葉を残して。
「なんだ? ビビったのか、シュウくん? この程度、降りられないとかチン○ンついてんのか?」
ルシアンは、一本の大木の枝に飛び降りたらしく。まるで、木々を飛び移るサルの様に鮮やかに降りて行った。
最後の言葉にイラっと来た俺は、半ば無計画に同じ様にルシアンの降りた大木目指して飛び降りた。
すると着地した枝がバキバキと音を立てて折れ。そのまま俺は体制を崩して落下する。
地面に当たる寸前に、風が俺を包み込んだ。
「シュウくん? 無茶するわね」
ルカが俺に魔法をかけたようだ。そして、少し驚いた様な顔で俺にそう言う。
いや。あんたが飛び降りろって言ったんだろ。
しかし、またしても枝折れて落下するとは。ルシアンは普通に降りていたが、彼も実は風魔法で落下速度を調整していたのだろう。
思えば最初出会った時、ルシアンは風魔法で俺の乗っていた枝を切り落としたのだから風魔法は得意に違いないのだ。
「何だよシュウ。風魔法使えないのか?」
「あんたと違って、風魔法は苦手なんだよ」
「いや。俺は、魔法自体使えないんだけれどな……」
「は!? そんなバカな冗談あるか。魔法使えない奴なんていないし、あんたは英雄だろ……まぁ。どっちでもいいけどよ」
「シュウくん! 口の聞き方悪いと、魔法でくすぐるからね」
何か、全く緊張感の無い二人だ。
それにしても、こんな所に降りて何をするのだ? と、思っていると少し先に小さな石碑が立っており。
その前に地下に続く階段がある。こんな森の中の階段、誰が気付くのだろうか。
「さて。シュウくん。ここから先は私達は手を出せないからね」
ルカは言う。
この階段を降りると『光の祭壇』なるものがあるらしい。
それは自分の弱さや闇を克服して、内に秘める潜在能力を引き出す効果があるという。
祭壇に手を触れた瞬間、場所を移動させられ。その先にいる魔物を倒すまで戻ってこれなくなるという。
「なんだよそれ! そんな事と俺の封印が関係あるのか?」
「あるのよ、シュウくん。あなたの封印は誰にも解けない。あなた自身が強くならなければね。正確に、それは封印というより呪いなのよ」
ルカの言ってる意味など分かるはずもなく。
聞いても彼女は、行けば分かるとしか言わなかった。
この世に光の魔法使いは数える程しかいないと聞いたが、その一人が目の前にいる。
そういえば北方大陸には昔から、魔力を増幅させる魔力の泉が多く存在すると聞くし。光の魔法を習得する為に必要な環境が揃っていてもおかしくはない。
「それで、ルカだったか。あんたは何を知ってるんだって?」
「はい。やり直し。シュウくんだっけ? あなた、まだ子供でしょ? 言葉遣いには気を付けなさい。私はルシアンみたいに甘くないからね! しっかり躾をします」
俺を指差しながらルカは厳しい視線を向ける。
どうやらこの綺麗なお姉さんは、相当口煩いババアのようだ。
「チッ、俺は子供じゃねぇよ。これでも盗賊団のNo.2なんだ」
「全く。一昔前のルシアンみたいに生意気ね」
そう言ってルカはルシアンを見る。ルシアンは苦笑いを浮かべていた。この二人、どんな関係なんだ? ルシアンって確か北方の英雄だよな?
「兎に角。シュウくん? あなたには、ネフラムの森に入ってもらうからね。後、私の事は『ルカ姉さん』と呼びなさい。ルシアンの事は『ルシアン兄さん』って呼ぶのよ」
「は!? なんだその呼び方」
「は?……じゃないの! 『分かりました』でしょ」
ああ。面倒くさい……
舌打ちする俺にルシアンが近付いてきて、耳打ちをしてくる。
「あいつには逆らわない方がいいぞ……」
こいつ、立場よわっ! なんだかんだ英雄と言っても普通の人間だ。所詮、噂なんて大袈裟に尾ひれがつくものなのだ。
それから俺は飛空梃に乗せられて、移動する事になった。
初めて乗る飛空梃に興奮するも、さすがの移動速度で山を二つ程越えるのに二時間とかからなかった。
やがて辺りは一面の緑に包まれた。
眼下には広大な森林が広がっている。歩きなら何日森をさ迷う事になるのだろうか?
やがて何も無い森の上で飛空梃は進行を止めた。
そしてルカは言う。
「さあ。降りて」
「降りて? こんな森の上に着陸出来るのか?」
「出来るわけないじゃない。飛び降りるのよ」
「は!? おい、ルシアン! この女、正気か?」
「ああ。本気で言ってるから飛び降りろ」
コイツら頭がイカれてる。
飛空梃の高度はギリギリまで下がってるが、飛空梃自体が高さがあるので、甲板から地上までは優に一五メートルはある。飛び降りたら無事では済まない気がする。
と、思ってるとルカが飛び降りた────
途中から何やら光りに包まれユックリと降りていく。なるほど、どうやら風の魔法か何かで落下速度を調整しているようだ。
そんな使い方出来るのか。
しかし、俺は風魔法苦手なんだが?
と、次にルシアンが飛び降りる────寸前に言葉を残して。
「なんだ? ビビったのか、シュウくん? この程度、降りられないとかチン○ンついてんのか?」
ルシアンは、一本の大木の枝に飛び降りたらしく。まるで、木々を飛び移るサルの様に鮮やかに降りて行った。
最後の言葉にイラっと来た俺は、半ば無計画に同じ様にルシアンの降りた大木目指して飛び降りた。
すると着地した枝がバキバキと音を立てて折れ。そのまま俺は体制を崩して落下する。
地面に当たる寸前に、風が俺を包み込んだ。
「シュウくん? 無茶するわね」
ルカが俺に魔法をかけたようだ。そして、少し驚いた様な顔で俺にそう言う。
いや。あんたが飛び降りろって言ったんだろ。
しかし、またしても枝折れて落下するとは。ルシアンは普通に降りていたが、彼も実は風魔法で落下速度を調整していたのだろう。
思えば最初出会った時、ルシアンは風魔法で俺の乗っていた枝を切り落としたのだから風魔法は得意に違いないのだ。
「何だよシュウ。風魔法使えないのか?」
「あんたと違って、風魔法は苦手なんだよ」
「いや。俺は、魔法自体使えないんだけれどな……」
「は!? そんなバカな冗談あるか。魔法使えない奴なんていないし、あんたは英雄だろ……まぁ。どっちでもいいけどよ」
「シュウくん! 口の聞き方悪いと、魔法でくすぐるからね」
何か、全く緊張感の無い二人だ。
それにしても、こんな所に降りて何をするのだ? と、思っていると少し先に小さな石碑が立っており。
その前に地下に続く階段がある。こんな森の中の階段、誰が気付くのだろうか。
「さて。シュウくん。ここから先は私達は手を出せないからね」
ルカは言う。
この階段を降りると『光の祭壇』なるものがあるらしい。
それは自分の弱さや闇を克服して、内に秘める潜在能力を引き出す効果があるという。
祭壇に手を触れた瞬間、場所を移動させられ。その先にいる魔物を倒すまで戻ってこれなくなるという。
「なんだよそれ! そんな事と俺の封印が関係あるのか?」
「あるのよ、シュウくん。あなたの封印は誰にも解けない。あなた自身が強くならなければね。正確に、それは封印というより呪いなのよ」
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