桃太郎

そーた

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桃太郎の出航

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もうしばらく歩いて行くと、潮の匂いが辺りに漂い、それは一行に目的地が近い事を知らせていました。

目の前に広がるキラキラとした青い地平線に向かって歩いていると、ようやく船の着き場に辿り着き、海岸に浮かぶ小さな船のその側にはこちらに向かって大きく手を振る人。

「おじいさんだ!」

桃太郎は三匹に声を掛けると、おじいさんの所まで一気に駆けていきました。

「桃太郎や。よくぞ辿り着いた。」

「おじいさんこそ、わざわざありがとう!」

「お前のためならお安い御用じゃて。さあさ、桃太郎や。早くこの船に乗りなさい。」

おじいさんが桃太郎を船に乗せようとした時、桃太郎がおじいさんに言いました。

「おじいさん。僕、仲間が出来ました。」

「…仲間?」

「ほら、この三匹だよ。」

「この三匹?」

そして桃太郎は犬と猿とキジを順に指を指して紹介していきます。

「ワンワン!私らは桃太郎さんからきびだんごを頂いたワン!」
と犬が言いました。

「ウキウキ!私らはきびだんごを頂いたお礼に桃太郎さんにお供することにしたウキ!」
と猿が言いました。

「ケーンケーン!私らも一緒に鬼ヶ島……」
とキジが勇ましげに言いかけましたが…

「……あ、ああっ!なるほど!この三匹がお前の仲間か!頼もしい仲間が出来たのう!」

キジの言葉を最後まで聞かずに、おじいさんが話し出してしまいました。

「ケーンケーン!最後まで聞けケーン!!」

その滑稽なやりとりに、桃太郎は大いに笑ってしまいました。

「ハッハッハッ!そう怒るなキジよ。おじいさんは時々こういうお茶目な時があるのだ。」

「ケーンケーン!せっかくカッコウ良く締めようと思ったのに…
あ、私はカッコウじゃなくてキジでした。
なーんちゃって!」

「ハッハッハッ!お前も相当なお調子者だな!」

キジが発した駄洒落に桃太郎は大いに笑い、きっとおじいさんもさぞ大笑いしているだろうと、おじいさんの方を見てみると…


………おじいさんは見事なまでの真顔でした。

「キジ!お前があまりにもつまらん駄洒落を言うからおじいさんが全く笑ってないではないか!」

「ケ、ケーンケーンッ!!」

キジは余程恥ずかしくなったのか、しきりと鳴き声を上げています。
その様子には、犬も猿もとうとう大笑いしてしまいました。

そしておじいさんは…
元気に無邪気に笑うそんな桃太郎を見て、

「……フッ………
ハーッハッハッハッハッ…!!
ハーッハッハッハッハッハッ…!!」

とうとう堪えきれずに大笑いしてしまいました。
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