異世界でクズ転生者を導けって言われてもな、そんな俺物語

チリノ

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鈴木の独白

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 俺はアーレス・ビケイ・モテモテ、神から選ばれし、異世界の勇者だ。

 この異世界に転生してきてから、俺の人生は薔薇色に染まっている。

 いや、これが現実なんだ。

 俺が鈴木武と呼ばれていた前世はもしかしたら、長く続いていた悪夢だったのかもしれない。

 そうだ、三十年近く続いた悪夢だ。いや、やっぱり現実なんだろうか。

 なんだか、さっぱりわからなくなってきた。

 中学を中退してから、十五年間、俺は自室に引きこもってアニメとネットばかり見ていた。

 俺がいつも目を覚ますのは夕方頃だった。

 起きてから母親の用意した飯を食い、

 それから某巨大掲示板で書き込みをしたり、お気に入りのアニメや特撮ヒーロー物の番組を見たり、

 気分に合わせて、ハーレムや陵辱系のエロゲーをして自分の棒をしごきながら、俺は時間を潰して生きてきた。

 エロアニメもエロゲーやエロ同人もダウンロードし放題だったから、あんまり退屈はしなかった。

 そんな俺を両親は疎んじていたし、親戚も奇異の目で見ていた。

 でも、それは俺が悪いんじゃない。世の中が悪かったんだ。

 俺は学校じゃ、いつもいじめられてた。勉強できなくて、運動神経も鈍くて、それに小太りで汗かきだった。

 だから俺はクラスメイトにいじめられたんだ。

 でも、俺が勉強や運動が出来なくて、それで誰かに迷惑かけたか。
 
 体育祭じゃ、少しだけクラスの足を引っ張ったりしたかもしれないけど、それはお互い様だろう。

 だって、俺と同じくらい運動神経の悪い奴はいたんだから。

 クラスがビリになったのも、俺の足が遅かったからだけじゃない。

 むしろ、同じクラスのみんなの足がもっと早ければ、優勝できたんだし。

 だからあいつらが俺のせいにしたのは、ただの責任転換でしかなかったんだ。

 所が、もう名前は忘れたけど、俺と同じくらい成績が悪い癖にスポーツだけはできる筋肉バカが、

 クラスがビリになったのは、俺がちゃんと練習をしなかったからだって、教室内で吊るし上げた。

 それに対して、俺は真っ向から反論した。

 その時はそれでおしまいだった。でも、一部の男子生徒は、それから俺を無視するようになった。

 それから少しして、俺が散歩をしていると、ある時塀の上で寝そべっている子猫を見つけた。

 その時の俺は少しムシャクシャしていたから、ストレス解消に子猫に空き缶をぶけてみようと思った。

 それで落ちていた手頃な空き缶を拾って、子猫の額に思い切りぶつけた。

 野球なんかじゃ、普段はコントロールが悪い俺だけど、この時は見事にヒットした。

 それで子猫の額が裂けて、血が飛び散った。正直、気持ち悪かったよ。

 子猫が死にそうな悲鳴を挙げて、塀から転げ落ちていくのを見て、少しばかりスカッとしたけど、

 その後が最悪だった。

 その子猫の飼い主が同じクラスの女子生徒だったんだ。

 で、最悪なことに現場も見られてた。

 ヤバイと思った俺は即効で逃げたんだけど、翌日じゃ女生徒達の間で俺の噂が広まってた。

 子猫はあの後、すぐに女生徒が近くの動物病院に運んでいったらしいけど、結局は助からなかったそうだ。

 それからクラスの連中が俺に嫌がらせをするようになった。

 靴を隠されたり、椅子に画鋲を置かれたり、ノートに落書きをされたり、

 どっかの出来の悪いドラマのようないじめを受けるようになったのは。

 確かに猫を傷つけた事は俺も悪かった。

 だから俺は謝ったのに、それなのにあいつらはいじめを止めなかった。

 確かに子猫を怪我させたかもしれないが、だけどそれで反省してる俺をいじめていい権利なんか、

 クラスの奴らにはない。

 それからどんどん、いじめがエスカレートしていって、俺は不登校気味になっていった。

 そして、ある日を境に学校にはいかなくなった。

 何度も自殺しようと思ったけど、それでも俺は必死で生きてきたんだ。

 この異世界はそんな俺に神が与えてくれた天国だ。

 恐らくは俺の努力が神に評価されたからだろう。

 今、俺の足元ではガキの奴隷どもが必死になって残飯を食い漁っている。

 四日も食事を与えてなかったから、そりゃ、もう豚みたいにガツガツ食ってるよ。

 こいつら、所詮はモブ奴隷みたいなもんだし、どう扱おうが俺の勝手だ。

 前世の時代じゃ、出来なかったことも異世界じゃできるんだ。

 俺は転生する前は童貞だったけど、今ではリア充の仲間入り、どころかその遥か上を登ってる。

 エロアニメやエロ同人の中でしか出来なかった妄想もここでは叶えられるんだ。

 全く、異世界は最高だな。

 俺のチート能力があれば、このまま異世界を征服することも可能だろうな。

 そうすれば、他国の姫君達も俺のハーレムに加えることが出来るんじゃないのか。

 そんな事を考えていると、少し催してきた。ちょっと食べ過ぎたな。

 俺は足元にいる手頃な奴隷を軽く蹴り、用を足したいから口を開けろといった。

 トイレに行くのも面倒くさいからな。

 こういう時、奴隷は本当に便利だよ。
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