46 / 63
45. 秘密の調教部屋※
シェリルは目を覚ました。
記憶は虚ろ。
ヴァレンティ―ナの指示通りに行動し、会った冒険者の男の宿屋に行って、寝台に横たえられて。
男の手が伸ばされて自分に触れる直前······視界が真っ赤に染まったと思った後、その人はいなくなったんだっけ······。
そして、目の前に現れたのは······彼だった。
私の、好きになってはいけない相手、ヒューベル王弟殿下。
それで······?
「っ、ここは?!」
私、またヴァレンティ―ナさんの指示を達成出来なかった。
咄嗟に身体を起こそうとして、ガシャンという金属音が響き渡り、シェリルは目を見張る。
片手が鎖で寝台に繋がれていて、その細い腕に嵌められた美しい金で出来た腕輪に目を落とした。
「こ、れは······?」
右腕につけられたその腕輪は、鎖と共に寝台の上に繋がっていて、シェリルの力では到底逃げられそうに無い。
「ッ、はぁ······っは······」
またどこかの施設に囚われたのかもしれない······という恐怖から過呼吸に陥りかけ、シェリルは息をゆっくりと吐きだす。
少し落ち着きを取り戻し、周りを見渡せば、見たこともないような美しい部屋が広がっていた。
ずっとこの部屋の主人がいなかったかのような······誰かの為に作られたが使われていないような、少し無機質で寂しい印象を与える部屋だ。
白と金で統一された部屋の中央にある、自分の繋がれている寝台は、一人用にしてはあまりに大きすぎるもの。
その前にあるソファ、大きな机、と並ぶインテリアのどれもが新品だが、窓の外側には美しく彫刻の施された柵が取り付けられていて、何人たりともの出入を許さないような作りだった。
「あんなに大きく美しい鳥籠も······?」
部屋の角には、金で出来た大きな鳥かごが置かれていてシェリルはそれに目が釘付けになる。
アーチ状の美しい鳥かごは、”鳥かご”といっても人間が何人も入れるほどに大きい。その頂点からは金具が吊り下がっていて、シェリルはその鳥かごの内側、奥半分に取り付けられた大きな鏡と、その前に置かれた一人掛けの大きなソファに目を見張った。
「何故鳥籠に椅子が······?ここは······どこなの?こんなに美しいのに、何かが足りない······?」
そんな時、部屋に聞き慣れた男性の優しい声が響き、シェリルは硬直する。
「シェリル、目が覚めたかな?そうだよ、正解だ。この部屋は君の事を待っていたんだろうね?やはり君がいると更に完成形に近づいた様に美しくなるね」
「ヒュー······さま······!?」
部屋の入口らしい扉の前に立っている彼を見て、シェリルは咄嗟に自分の装いを確認した。
着ていた筈のドレスとは違う、真っ白の薄いローブに薄い羽織。金の装飾の施された夜着に近いそれに、心許なさを感じシェリルは寝具をたくし寄せる。
「大丈夫、シェリル、もう夜だからね。それに、ここは私の私室の隣にある隠された秘密の部屋だから、誰も来ないよ」
「秘密の部屋······?いえ、ヒュー様、わたくし、早く寮に戻らなくては!また、怒られて······「いや、君はもう寮には戻らない。学園も卒業まで休園だ。落ち着くまでは此処にいてもらうよ?」
「え······?」
学園を休園······?寮にも戻れないなんて、ヴァレンティ―ナさんが知ったら······。
シェリルの不安を読み取ったヒューベルは寝台へ歩いていくと、隣に腰掛けた。
「ヴァレンティ―ナ嬢の事を気にしているなら、もう彼女には会えないと思った方がいい。僕が君を”悪役令嬢”にするまでは、ね?」
にっこりと笑ったヒューベルは「早く”悪役令嬢”になれれば、戻れるんじゃないかな?」と言葉を付け足す。
「でも······お兄様······にも怒られてしまいます。卒業だけはしろと······」
「それも、大丈夫だよ。僕と君が婚約をしたという件で、すぐに話は通したんだ。驚いてはいたけど、怒ってはいないから」
「そんな······」
落胆した様な表情を浮かべたシェリルに、ヒューベルはふふっと抑えきれないように笑った。
「それに、シェリル、見知らぬ男に”初めてなので優しくして下さい”とか言って身体に触れさせようとしていたじゃないか。もし、あれが君に触れていたら、貴女は学園にいられるどこの話ではないよ?」
ヒューベルは徐に立ち上がると、湯を張った盥と厚い布を持ってくる。
彼がシェリルの身体を抱きかかえ寝台の端まで動かせば、鎖が揺れて音を立てた。
「ヒュー様······なにを······」
ヒューベルの手が羽織に掛かり、するりと落とされて、シェリルは片手で彼の腕を掴んだ。
「待って······やめて下さい······!あなたには婚約者になる本当の相手が······っ、」
「婚約者?僕の婚約者は君だけど?君の世話をするのは夫となる予定の僕の仕事だよ」
「っ······!」
シェリルの片手を後ろにまわし、両手首を纏めて腕輪で拘束され、シェリルは訴える様に彼を見上げた。
「ああ、本当に真っ白な肌だ······ずっと触れたいと思っていた。けどね、僕は無理矢理はあまり好きではないんだ。だから今日は身体を清めるだけだよ」
「っそ、······そんな事、自分でもできますっ······!」
ヒューベルはシェリルのその言葉を聞かず、首の後ろに手をまわすと、ローブを止めていた金具を外す。
薄いローブが肌を撫で、そのまま下に落ちて、シェリルの双丘が露わになった。
「っ······、待って······お願い、見ないで······・」
「綺麗だ、シェリル。良く見せて」
ヒューベルはシェリルの長く美しい髪を後ろに流す。
大きな双丘とほんのり色づいた小さな果実が二つ見えて、彼はその果実に齧りつきたいのを必死で堪えた。
「じゃあ、手から拭いていこうね」
ヒューベルが少し熱めの湯を染み込ませた布を身体にあてて行けば、シェリルの身体がビクビクと小刻みに震えて呼吸も荒くなる。
身体の敏感さをその手に感じながら双丘に布をあてれば、それが頂に触れ、擦れる度に彼女の口からは甘い吐息が漏れた。
「······っはぁ、お願い······やめてください······っ、」
「大丈夫、身体を清めているだけだよ。ほら、そのまま寝てごらん」
シェリルを寝台に横たえて腰紐を解けば、美しい、誰も見たことなどないであろう恥部が見えてヒューベルは喉を鳴らす。
ゆっくり脚を開かせて、見える全てのパーツを布で拭きなぞりながら、彼は狂いそうな理性を必死で繋ぎ止めた。
「っ、は、恥ずかしいっ······お願い、ヒュー様、もうやめて······ッあぁ、」
この日シェリルが感じたのは初めての羞恥心。
他人に見せた事もない身体の部位を、異性、それも好意を寄せる相手に見られたという事から来るもの。
そして、もう子供ではないのに彼に世話をされた。それはこの世界に来てから公爵令嬢として侍女に身体を洗われる事とは、また違った恥しさだった。
そして、こんな恥ずかしい行為が毎日続く事になるなど、考えもしていなかったのだ。
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
婚約破棄?いいですけど私巨乳ですよ?
無色
恋愛
子爵令嬢のディーカは、衆目の中で婚約破棄を告げられる。
身分差を理由に見下されながらも、彼女は淡々と受け入れようとするが、その時ドレスが破れ、隠していた自慢のそれが解き放たれてしまう。
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
モブでいたはずの私が、ただひとりに溺愛されるまで
ChaCha
恋愛
乙女ゲームの世界に転生したことに気づいたアイナ・ネルケ。
だが彼女はヒロインではない――ただの“モブ令嬢”。
「私は観る側。恋はヒロインのもの」
そう決めて、治癒魔術科で必死に学び、気合いと根性で仲間を癒し続けていた。
筋肉とビンタと回復の日々。
それなのに――
「大丈夫だ。俺が必ず君を守る」
野外訓練で命を救った騎士、エルンスト・トゥルぺ。
彼の瞳と声が、治癒と共に魂に触れた瞬間から、世界が静かに変わり始める。
幼馴染ヴィルの揺れる視線。
家族の温かな歓迎。
辺境伯領と学園という“日常の戦場”。
「……好き」
「これは恋だ。もう、モブではいたくない」
守られるだけの存在ではなく、選ばれる覚悟を決めたモブ令嬢と、
現実しか知らない騎士の、静かで激しい溺愛の始まり。
これは――
モブでいたはずの私が、ただひとりに溺愛されるまでの物語。
※溺愛表現は後半からです。のんびり更新します。
※作者の好みにより筋肉と気合い…ヤンデレ落ち掛けが踊りながらやって来ます。
※これは恋愛ファンタジーです。ヒロインと違ってモブは本当に大変なんです。みんなアイナを応援してあげて下さい!!
※本編は完結しました。後日談をのんびり不定期でUPしてます。
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。