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25. 五夜、情欲を抑制すべし①※
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『慣らし五夜』の五夜目、神殿へようこそ。
以下本日は神殿に入る前に注意書きです。
※愛のない無理矢理行為が含まれます。
苦手な方はお控え下さい。
では、大丈夫そうな方ご準備できました方から。
本小説の最大の鍵を握る神殿の闇へ、行ってらっしゃいませ。
*****************************
『慣らし五夜』の最終日は久しぶりの訪問客から始まった。
「リリアーナ様、お久しぶりでございます」
「まあ! マダム・ジゼッタ!」
花の綻ぶような笑顔で椅子から立ち上がり近寄ってきたリリアーナに、ジゼッタは息を呑む。
「本当にお美しくなられて······。元々美しかったですが、更に磨きがかかり、輝いているようです」
「まあ、嬉しいわ!」
はにかむ様に笑う彼女を見てジゼッタは思う。
きっと、『慣らし五夜』がもともと美しかった彼女を、妖艶な大人の色香を漂わせる女性へと変えたのだろう。
「リリアーナ様、本日は夕方から神殿に向かいましょう」
疑問譜の飛び交う表情をしたリリアーナに、ジゼッタは今日の予定を説明していく。
そして、その日の夕方、彼女の説明通りリリアーナは護衛のシャルロッテを連れて馬車へと乗り込んだ。
「既に神殿長に話は通してありますので。一人高位の巫女が同伴し見学が可能になるそうです」
「予定を立てて頂き、有難うございます」
リリアーナは次いで目の前に座るシャルロッテに話しかける。先程から無表情だが鋭い眼差しで外を見ていた彼女はリリアーナからの言葉に佇まいを直した。
「シャル、大丈夫? 嫌なら大丈夫なのよ?」
「いえ、任務は護衛ですので」
シャルロッテが神殿を毛嫌いしている事をリリアーナは知っている。
だが、今回の護衛は女性のみ立ち入りが可能だったため、選択肢が彼女以外になかったのだ。
「神殿内の見学は最悪入らなくていいのよ? 私とマダム・ジゼッタだけで、大丈夫だと思うわ」
「いえ······私情で放棄する事は出来ません。皇剣に、誓っておりますので」
「そう······でも無理はしないでね?」
勿論、今日は『慣らし五夜』の儀式の一環なのだが、今後の神殿に関する勉強として良い機会だとリリアーナは思った。
事実、神殿を毛嫌いする皇国の人間は少なくないのだ。
その理由をこの目で確かめないと。
リリアーナはそう心に決めて神殿へと足を踏み入れた。
「リリアーナ様、お久しぶりにございます」
「神殿長、お久しぶりです。本日は急な申し出にご対応くださり、ありがとう存じます」
「いえいえ、未来の皇后陛下の頼みであれば、我ら皇国の神殿は何でも致しましょう!
さあさ、此方へ」
神殿の中、扉の前に美しい巫女服の女性が立っていて、彼女の前で神殿長は立ち止まった。
皇国の巫女服は白色を基調に金の装飾の入った長いワンピースのような美しい見た目をしている。
中でも彼女の着る巫女服は一段と豪華だった。
「こちら、高位巫女のサニヤです」
「サニヤ、と申します。本日は神殿の御見学の案内を担当させて頂きます」
彼女の瞳はリリアーナを捉えてはいるが、心が伴っていないような不気味な女性。
その表情はどこか精巧な造り物の人形という印象を強く与えた。
「サニヤ様、よろしくお願い致しますね」
「彼女は真面目なのです。もう長い事ここで人々の治癒を行ってきて、今では高位巫女なのですよ。
高位巫女ともなれば、女神サーシャと近い名が与えられるのです。だから、『サニヤ』なのですよ」
鼻高々と力説する神殿長を見てリリアーナは『なるほど、素晴らしいですね』と相槌を打つ。
しかし、内心は複雑だった。
高位になると名が貰えるとは······、彼女の本当の名は、ないのだろうか?
だが、それを聞くのは無粋な気がして、口を噤む。
「では、私は本日仕事がありますので、この辺りで失礼致しますね。明日の『初夜の儀』、お待ちしております。何卒よろしくお願い致します」
神殿長がそのぽってりとした頬をだらしなく緩め、歯を見せながらお辞儀をして足早に去っていく。
それを見送って、サニヤの案内で次なる扉を開けるとそこは大きな広場になっていた。壁には大きな女神『サーシャ』と初代皇帝の逸話を元に作られた絵画が描かれ、その上には美しい女神像が佇んでいる。
その壁に沿うように、豪華絢爛な装飾の施された扉が等間隔に十個程並んでおり、その前には男性の信者ばかりが列を成していた。
「・・・?」
「こちらです、」
神殿の者が専用で使う階段で上へ上がれば、その理由は直ぐに明らかになった。
リリアーナはその光景に愕然とする。
等間隔に並んだその全ての扉の先は、小さな個室になっていて、真ん中には寝台が置かれていた。
扉の前に並んでいた男性信者が部屋に入った後、その先で行うのは巫女との性交渉であったのだ。
以下本日は神殿に入る前に注意書きです。
※愛のない無理矢理行為が含まれます。
苦手な方はお控え下さい。
では、大丈夫そうな方ご準備できました方から。
本小説の最大の鍵を握る神殿の闇へ、行ってらっしゃいませ。
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『慣らし五夜』の最終日は久しぶりの訪問客から始まった。
「リリアーナ様、お久しぶりでございます」
「まあ! マダム・ジゼッタ!」
花の綻ぶような笑顔で椅子から立ち上がり近寄ってきたリリアーナに、ジゼッタは息を呑む。
「本当にお美しくなられて······。元々美しかったですが、更に磨きがかかり、輝いているようです」
「まあ、嬉しいわ!」
はにかむ様に笑う彼女を見てジゼッタは思う。
きっと、『慣らし五夜』がもともと美しかった彼女を、妖艶な大人の色香を漂わせる女性へと変えたのだろう。
「リリアーナ様、本日は夕方から神殿に向かいましょう」
疑問譜の飛び交う表情をしたリリアーナに、ジゼッタは今日の予定を説明していく。
そして、その日の夕方、彼女の説明通りリリアーナは護衛のシャルロッテを連れて馬車へと乗り込んだ。
「既に神殿長に話は通してありますので。一人高位の巫女が同伴し見学が可能になるそうです」
「予定を立てて頂き、有難うございます」
リリアーナは次いで目の前に座るシャルロッテに話しかける。先程から無表情だが鋭い眼差しで外を見ていた彼女はリリアーナからの言葉に佇まいを直した。
「シャル、大丈夫? 嫌なら大丈夫なのよ?」
「いえ、任務は護衛ですので」
シャルロッテが神殿を毛嫌いしている事をリリアーナは知っている。
だが、今回の護衛は女性のみ立ち入りが可能だったため、選択肢が彼女以外になかったのだ。
「神殿内の見学は最悪入らなくていいのよ? 私とマダム・ジゼッタだけで、大丈夫だと思うわ」
「いえ······私情で放棄する事は出来ません。皇剣に、誓っておりますので」
「そう······でも無理はしないでね?」
勿論、今日は『慣らし五夜』の儀式の一環なのだが、今後の神殿に関する勉強として良い機会だとリリアーナは思った。
事実、神殿を毛嫌いする皇国の人間は少なくないのだ。
その理由をこの目で確かめないと。
リリアーナはそう心に決めて神殿へと足を踏み入れた。
「リリアーナ様、お久しぶりにございます」
「神殿長、お久しぶりです。本日は急な申し出にご対応くださり、ありがとう存じます」
「いえいえ、未来の皇后陛下の頼みであれば、我ら皇国の神殿は何でも致しましょう!
さあさ、此方へ」
神殿の中、扉の前に美しい巫女服の女性が立っていて、彼女の前で神殿長は立ち止まった。
皇国の巫女服は白色を基調に金の装飾の入った長いワンピースのような美しい見た目をしている。
中でも彼女の着る巫女服は一段と豪華だった。
「こちら、高位巫女のサニヤです」
「サニヤ、と申します。本日は神殿の御見学の案内を担当させて頂きます」
彼女の瞳はリリアーナを捉えてはいるが、心が伴っていないような不気味な女性。
その表情はどこか精巧な造り物の人形という印象を強く与えた。
「サニヤ様、よろしくお願い致しますね」
「彼女は真面目なのです。もう長い事ここで人々の治癒を行ってきて、今では高位巫女なのですよ。
高位巫女ともなれば、女神サーシャと近い名が与えられるのです。だから、『サニヤ』なのですよ」
鼻高々と力説する神殿長を見てリリアーナは『なるほど、素晴らしいですね』と相槌を打つ。
しかし、内心は複雑だった。
高位になると名が貰えるとは······、彼女の本当の名は、ないのだろうか?
だが、それを聞くのは無粋な気がして、口を噤む。
「では、私は本日仕事がありますので、この辺りで失礼致しますね。明日の『初夜の儀』、お待ちしております。何卒よろしくお願い致します」
神殿長がそのぽってりとした頬をだらしなく緩め、歯を見せながらお辞儀をして足早に去っていく。
それを見送って、サニヤの案内で次なる扉を開けるとそこは大きな広場になっていた。壁には大きな女神『サーシャ』と初代皇帝の逸話を元に作られた絵画が描かれ、その上には美しい女神像が佇んでいる。
その壁に沿うように、豪華絢爛な装飾の施された扉が等間隔に十個程並んでおり、その前には男性の信者ばかりが列を成していた。
「・・・?」
「こちらです、」
神殿の者が専用で使う階段で上へ上がれば、その理由は直ぐに明らかになった。
リリアーナはその光景に愕然とする。
等間隔に並んだその全ての扉の先は、小さな個室になっていて、真ん中には寝台が置かれていた。
扉の前に並んでいた男性信者が部屋に入った後、その先で行うのは巫女との性交渉であったのだ。
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