40 / 65
35. 王国の内情と、謁見
今日と明日は王国の謁見になります。国同士の話し合い回です。童貞大馬鹿王太子と宰相補佐が皇国にやってきています!
R回は金曜日になりますので飛ばしたい方は金曜日にまた会いましょう。
※ルリナ嬢と白い錠剤の詳細は第一章の43.です。
*****************************
──────場所はレベロン王国
リリアーナが『慣らし五夜』に勤しんでいる頃、王国の王城内ではちょっとした事件が起きていた。
それはアレクセイが皇国から婚儀の招待状を受け取り、その準備とレーボック子爵に関する調べものを並行して急ぎ行っていた際の事。
バタバタと慌ただしく廊下を走る音が聞こえて、王太子クリストファーの専属護衛騎士のマルコが執務室の扉を乱雑に開けて入室してきた。
「マルコッ! いつも廊下は走るな、と何度も何度も······「申し訳ございません、ですがっ、っぐ、シャルロン公爵閣下がぁッ!!」」
いい歳の大人の男、それも護衛騎士が涙と鼻水を垂らしながら泣き崩れる様に、クリストファーとアレクセイはぎょっとして目を瞠る。
そして、最悪の展開が頭に過ぎり席を立った。
「おい! 待て、マルコ、何があった?!
シャルロン公爵がどうしたんだ!!」
「こっ、国王の執務室から······のっ、廊下でっ、、何者かに暗殺されて······、」
「──────は? うそ······だろ······?」
クリストファーは希望を失ったように膝から崩れ落ちて、アレクセイも頭を抱えた。
「シャルロン公爵ともあろう英雄がそんなに簡単に殺られるの、か?」
「いま、ファルス医師が応急処置に当たっていますが······急所を全て的確に仕留められておりっ······
もう、、」
「犯人は誰なのです!? まさかそれも分かっていないまま野放しに!? この国の騎士団は──── 」
アレクセイは口を閉じた。この国の騎士団は、既にレーボック子爵の蔓延させた薬により腐敗している。公爵が狙われたのは、相手にとって不利な状況を彼が掴んだか、もしくは······見たのか?
「 ──────────国王、陛下は?」
生気のないアレクセイの呟くような声を聞いて、クリストファーは叫び声を上げた。
「父上ッ!!!! 母上もッ!! 」
咄嗟に駆けだした彼をアレクセイも追いかける。
国王の執務室を目の前に、既に開かれているその扉を見て心臓がどくどくと音を立てて煩く鳴った。
最悪の状況も想定しながら扉を開ければ、執務室に座ったまま涎を垂らしながら不気味に笑う国王陛下がいた。辺りには慌てていたのか、瓶と真っ白な錠剤が辺り一面に散らばっている。
「······ちち、うえ······、」
「これは······あの錠剤ですね? いつからだ······?
くそっ!! どうして気付かなかったっ!!」
生きてはいるが、これはこれで生殺しだろう。
あの白い錠剤は大量に摂取すればするほど、実態のない幻覚の中で生き続けるようなものらしい。
要するに、もう国王に意思はないといえる。ただひたすらありもしない虚空の快楽を求め、虚無を彷徨う王の見た目をした、亡霊。
「これを······もしくは、この薬を投与している所を見られて、シャルロン公爵を暗殺したのか······」
そこに、医師ファルスが駆け付けた。
「殿下、アレク。残念じゃが、公爵はもう既に息を引き取っておったわい。あれは、中々の手練れじゃ。殺しだけに特化したようなもんじゃ、、」
その言葉でアレクセイはこの国の暗殺機関ではないと結論づける。
だが、どこの国だ? エルフの郷? 獣人の国?
それとも······また別の国、なのか?
アレクセイは先日、軟禁していた仮初の新王太子妃ルリナの塔の部屋から白い錠剤を押収していた。
シャルロン公爵に力添えしてもらい行った騎士団の内部調査では“レーボック子爵”という名前が次々と挙がり、この王国を巣喰らっている要因はこの錠剤だという確証を得ていたのだ。
また時を同じくして、他国から少女を誘拐し人身売買を行っている裏組織も捕縛。その指示役としても同じく”子爵”の名があがった。
直ぐに邸に潜入し、大量の他の媚薬とその錠剤を押収するも、既に子爵は国外へと逃亡していた。
行方を追う一方で、彼の娘ルリナは罪人として投獄される事となったのだ。
勿論、クリストファーとの婚約も破棄である。
この最悪な状況の中、皇国で行われた皇帝の婚儀には急遽予定より人数を減らし、王太子クリストファーと宰相補佐アレクセイの二人のみが出席することとなったのだ。
─────── そして、いま二人は皇国皇城の謁見の間で玉座に腰掛けた皇帝ヴィクトールとその隣に座る皇后リリアーナと相対していた。
「レベロン王国、王太子、クリストファー・レベロンが婚儀の祝いに参加させて頂きたく参りました」
「クリストファー王太子殿下、王国から遠路はるばるよく来てくれた。本日はゆっくりと休まれるといい。 婚儀の宴まではまだ日にちがある。皇都を回られてはどうだろうか、」
「お心遣いありがとう存じます。アレクセイ、」
クリストファーに名前を呼ばれたアレクセイは祝いの品として王国より持ってきた王国産の宝石等を並べていく。
そして、目の前に座る皇后を見て息を呑んだ。
何がどうしたら、あの短期間でここまで美しくなるのか。皇国特有の女性らしい部分を露出させたドレスの所為だろうか?······それにしても、妖艶だ。
リリアーナを見て固まったアレクセイにヴィクトールは声をかける。
「どうかされたか? 宰相殿、」
「いっ、いえ。不躾な視線申し訳ございませんでした。リリアーナ様は、お変わりになられましたね」
「あぁ、美しいだろう、私の自慢の妻だ」
ふっと頬を緩め、ヴィクトールは自然な流れでリリアーナの手を取り、口づける。
クリストファーとアレクセイへの牽制であろうそれに、レイアードは謁見の間の壁際から不満そうに咳払いをした。
「本当に、皇帝陛下のために存在するような伴侶ですね。羨ましいかぎりです」
クリストファーがそう呟いて、ヴィクトールは満悦の様子で頷き、口を開く。
そして、その言葉の先が紡がれる前にクリストファーは焦ったように言葉を発した。
「そういえば───────── 「皇帝陛下、レベロン王国、王太子として、お話したき儀が御座います!何卒、人払いをお願いしたく······」」
アレクセイは目を見張った。確かに、皇帝陛下に頼む事は二人相違がないようにはしてきた。
しかし、この早いタイミングで切り出すほど、クリストファーは切羽詰まっていたのだろうか。
そして、アレクセイも続いて深くお辞儀をする。
「私、アレクセイ・コンラッドからもお頼み申し上げます。何卒、」
そしてヴィクトールはセドリックを目で見ると小さく頷いた。全ての使用人と護衛を下がらせ、皇国からはヴィクトール、リリアーナ、セドリック、そして王国側の意向でレイアードを部屋に残し、遮音の膜を魔法で形成した。
「さて、こちらの準備は整った。遮音もされているし、この謁見の間には干渉阻害もかかっている」
「ありがとうございます」
王国のこの腐敗した内情と、シャルロン公爵のご逝去を知らせなくてはならないから。
床に頭を付けて皇国に助けを乞うてでも、王国を救わなければならない。今回の事件で国王である父が実質的な権力を失った以上、自分が国を建て直し民を救わなければいけない立場なのだ。
クリストファーは綺麗なお辞儀をすると、気合を入れるために大きく深呼吸をしてヴィクトールを真正面から見つめた。そして口を開いた。
R回は金曜日になりますので飛ばしたい方は金曜日にまた会いましょう。
※ルリナ嬢と白い錠剤の詳細は第一章の43.です。
*****************************
──────場所はレベロン王国
リリアーナが『慣らし五夜』に勤しんでいる頃、王国の王城内ではちょっとした事件が起きていた。
それはアレクセイが皇国から婚儀の招待状を受け取り、その準備とレーボック子爵に関する調べものを並行して急ぎ行っていた際の事。
バタバタと慌ただしく廊下を走る音が聞こえて、王太子クリストファーの専属護衛騎士のマルコが執務室の扉を乱雑に開けて入室してきた。
「マルコッ! いつも廊下は走るな、と何度も何度も······「申し訳ございません、ですがっ、っぐ、シャルロン公爵閣下がぁッ!!」」
いい歳の大人の男、それも護衛騎士が涙と鼻水を垂らしながら泣き崩れる様に、クリストファーとアレクセイはぎょっとして目を瞠る。
そして、最悪の展開が頭に過ぎり席を立った。
「おい! 待て、マルコ、何があった?!
シャルロン公爵がどうしたんだ!!」
「こっ、国王の執務室から······のっ、廊下でっ、、何者かに暗殺されて······、」
「──────は? うそ······だろ······?」
クリストファーは希望を失ったように膝から崩れ落ちて、アレクセイも頭を抱えた。
「シャルロン公爵ともあろう英雄がそんなに簡単に殺られるの、か?」
「いま、ファルス医師が応急処置に当たっていますが······急所を全て的確に仕留められておりっ······
もう、、」
「犯人は誰なのです!? まさかそれも分かっていないまま野放しに!? この国の騎士団は──── 」
アレクセイは口を閉じた。この国の騎士団は、既にレーボック子爵の蔓延させた薬により腐敗している。公爵が狙われたのは、相手にとって不利な状況を彼が掴んだか、もしくは······見たのか?
「 ──────────国王、陛下は?」
生気のないアレクセイの呟くような声を聞いて、クリストファーは叫び声を上げた。
「父上ッ!!!! 母上もッ!! 」
咄嗟に駆けだした彼をアレクセイも追いかける。
国王の執務室を目の前に、既に開かれているその扉を見て心臓がどくどくと音を立てて煩く鳴った。
最悪の状況も想定しながら扉を開ければ、執務室に座ったまま涎を垂らしながら不気味に笑う国王陛下がいた。辺りには慌てていたのか、瓶と真っ白な錠剤が辺り一面に散らばっている。
「······ちち、うえ······、」
「これは······あの錠剤ですね? いつからだ······?
くそっ!! どうして気付かなかったっ!!」
生きてはいるが、これはこれで生殺しだろう。
あの白い錠剤は大量に摂取すればするほど、実態のない幻覚の中で生き続けるようなものらしい。
要するに、もう国王に意思はないといえる。ただひたすらありもしない虚空の快楽を求め、虚無を彷徨う王の見た目をした、亡霊。
「これを······もしくは、この薬を投与している所を見られて、シャルロン公爵を暗殺したのか······」
そこに、医師ファルスが駆け付けた。
「殿下、アレク。残念じゃが、公爵はもう既に息を引き取っておったわい。あれは、中々の手練れじゃ。殺しだけに特化したようなもんじゃ、、」
その言葉でアレクセイはこの国の暗殺機関ではないと結論づける。
だが、どこの国だ? エルフの郷? 獣人の国?
それとも······また別の国、なのか?
アレクセイは先日、軟禁していた仮初の新王太子妃ルリナの塔の部屋から白い錠剤を押収していた。
シャルロン公爵に力添えしてもらい行った騎士団の内部調査では“レーボック子爵”という名前が次々と挙がり、この王国を巣喰らっている要因はこの錠剤だという確証を得ていたのだ。
また時を同じくして、他国から少女を誘拐し人身売買を行っている裏組織も捕縛。その指示役としても同じく”子爵”の名があがった。
直ぐに邸に潜入し、大量の他の媚薬とその錠剤を押収するも、既に子爵は国外へと逃亡していた。
行方を追う一方で、彼の娘ルリナは罪人として投獄される事となったのだ。
勿論、クリストファーとの婚約も破棄である。
この最悪な状況の中、皇国で行われた皇帝の婚儀には急遽予定より人数を減らし、王太子クリストファーと宰相補佐アレクセイの二人のみが出席することとなったのだ。
─────── そして、いま二人は皇国皇城の謁見の間で玉座に腰掛けた皇帝ヴィクトールとその隣に座る皇后リリアーナと相対していた。
「レベロン王国、王太子、クリストファー・レベロンが婚儀の祝いに参加させて頂きたく参りました」
「クリストファー王太子殿下、王国から遠路はるばるよく来てくれた。本日はゆっくりと休まれるといい。 婚儀の宴まではまだ日にちがある。皇都を回られてはどうだろうか、」
「お心遣いありがとう存じます。アレクセイ、」
クリストファーに名前を呼ばれたアレクセイは祝いの品として王国より持ってきた王国産の宝石等を並べていく。
そして、目の前に座る皇后を見て息を呑んだ。
何がどうしたら、あの短期間でここまで美しくなるのか。皇国特有の女性らしい部分を露出させたドレスの所為だろうか?······それにしても、妖艶だ。
リリアーナを見て固まったアレクセイにヴィクトールは声をかける。
「どうかされたか? 宰相殿、」
「いっ、いえ。不躾な視線申し訳ございませんでした。リリアーナ様は、お変わりになられましたね」
「あぁ、美しいだろう、私の自慢の妻だ」
ふっと頬を緩め、ヴィクトールは自然な流れでリリアーナの手を取り、口づける。
クリストファーとアレクセイへの牽制であろうそれに、レイアードは謁見の間の壁際から不満そうに咳払いをした。
「本当に、皇帝陛下のために存在するような伴侶ですね。羨ましいかぎりです」
クリストファーがそう呟いて、ヴィクトールは満悦の様子で頷き、口を開く。
そして、その言葉の先が紡がれる前にクリストファーは焦ったように言葉を発した。
「そういえば───────── 「皇帝陛下、レベロン王国、王太子として、お話したき儀が御座います!何卒、人払いをお願いしたく······」」
アレクセイは目を見張った。確かに、皇帝陛下に頼む事は二人相違がないようにはしてきた。
しかし、この早いタイミングで切り出すほど、クリストファーは切羽詰まっていたのだろうか。
そして、アレクセイも続いて深くお辞儀をする。
「私、アレクセイ・コンラッドからもお頼み申し上げます。何卒、」
そしてヴィクトールはセドリックを目で見ると小さく頷いた。全ての使用人と護衛を下がらせ、皇国からはヴィクトール、リリアーナ、セドリック、そして王国側の意向でレイアードを部屋に残し、遮音の膜を魔法で形成した。
「さて、こちらの準備は整った。遮音もされているし、この謁見の間には干渉阻害もかかっている」
「ありがとうございます」
王国のこの腐敗した内情と、シャルロン公爵のご逝去を知らせなくてはならないから。
床に頭を付けて皇国に助けを乞うてでも、王国を救わなければならない。今回の事件で国王である父が実質的な権力を失った以上、自分が国を建て直し民を救わなければいけない立場なのだ。
クリストファーは綺麗なお辞儀をすると、気合を入れるために大きく深呼吸をしてヴィクトールを真正面から見つめた。そして口を開いた。
あなたにおすすめの小説
ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。
言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。
喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。
12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。
====
●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。
前作では、二人との出会い~同居を描いています。
順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。
※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。
敵国に嫁いだ姫騎士は王弟の愛に溶かされる
今泉香耶
恋愛
王女エレインは隣国との戦争の最前線にいた。彼女は千人に1人が得られる「天恵」である「ガーディアン」の能力を持っていたが、戦況は劣勢。ところが、突然の休戦条約の条件により、敵国の国王の側室に望まれる。
敵国で彼女を出迎えたのは、マリエン王国王弟のアルフォンス。彼は前線で何度か彼女と戦った勇士。アルフォンスの紳士的な対応にほっとするエレインだったが、彼の兄である国王はそうではなかった。
エレインは王城に到着するとほどなく敵国の臣下たちの前で、国王に「ドレスを脱げ」と下卑たことを強要される。そんなエレインを庇おうとするアルフォンス。互いに気になっていた2人だが、王族をめぐるごたごたの末、結婚をすることになってしまい……。
敵国にたった一人で嫁ぎ、奇異の目で見られるエレインと、そんな彼女を男らしく守ろうとするアルフォンスの恋物語。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
「今とっても幸せですの。ごめんあそばせ♡」 捨てられ者同士、溺れちゃうほど愛し合ってますのでお構いなく!
若松だんご
恋愛
「キサマとはやっていけない。婚約破棄だ。俺が愛してるのは、このマリアルナだ!」
婚約者である王子が開いたパーティ会場で。妹、マリアルナを伴って現れた王子。てっきり結婚の日取りなどを発表するのかと思っていたリューリアは、突然の婚約破棄、妹への婚約変更に驚き戸惑う。
「姉から妹への婚約変更。外聞も悪い。お前も噂に晒されて辛かろう。修道院で余生を過ごせ」
リューリアを慰めたり、憤慨することもない父。マリアルナが王子妃になることを手放しで喜んだ母。
二人は、これまでのリューリアの人生を振り回しただけでなく、これからの未来も勝手に決めて命じる。
四つ違いの妹。母によく似たかわいらしい妹が生まれ、母は姉であ、リューリアの育児を放棄した。
そんなリューリアを不憫に思ったのか、ただの厄介払いだったのか。田舎で暮らしていた祖母の元に預けられて育った。
両親から離れたことは寂しかったけれど、祖母は大切にしてくれたし、祖母の家のお隣、幼なじみのシオンと仲良く遊んで、それなりに楽しい幼少期だったのだけど。
「第二王子と結婚せよ」
十年前、またも家族の都合に振り回され、故郷となった町を離れ、祖母ともシオンとも別れ、未来の王子妃として厳しい教育を受けることになった。
好きになれそうにない相手だったけれど、未来の夫となる王子のために、王子に代わって政務をこなしていた。王子が遊び呆けていても、「男の人はそういうものだ」と文句すら言わせてもらえなかった。
そして、20歳のこの日。またも周囲の都合によって振り回され、周囲の都合によって未来まで決定されてしまった。
冗談じゃないわ。どれだけ人を振り回したら気が済むのよ、この人たち。
腹が立つけれど、どうしたらいいのかわからずに、従う道しか選べなかったリューリア。
せめて。せめて修道女として生きるなら、故郷で生きたい。
自分を大事にしてくれた祖母もいない、思い出だけが残る町。けど、そこで幼なじみのシオンに再会する。
シオンは、結婚していたけれど、奥さんが「真実の愛を見つけた」とかで、行方をくらましていて、最近ようやく離婚が成立したのだという。
真実の愛って、そんなゴロゴロ転がってるものなのかしら。そして、誰かを不幸に、悲しませないと得られないものなのかしら。
というか。真実もニセモノも、愛に真贋なんてあるのかしら。
捨てられた者同士。傷ついたもの同士。
いっしょにいて、いっしょに楽しんで。昔を思い出して。
傷を舐めあってるんじゃない。今を楽しみ、愛を、想いを育んでいるの。だって、わたしも彼も、幼い頃から相手が好きだったってこと、思い出したんだもの。
だから。
わたしたちの見つけた「真実の愛(笑)」、邪魔をしないでくださいな♡
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす
小木楓
恋愛
完結しました✨
タグ&あらすじ変更しました。
略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。
「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」
「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」
大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。
しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。
強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。
夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。
恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……?
「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」
逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。
それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。
「一生、私の腕の中で溺れていろ」
守るために壊し、愛するために縛る。
冷酷な仮面の下に隠された、
一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。
★最後は極上のハッピーエンドです。
※AI画像を使用しています。