【第二章/皇国・慣らし五夜編】王太子に離縁されました?上等です。最強の皇帝陛下の【魔眼】と共に、世界攻略を致しますので!【R18・完結】

猫まんじゅう

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41. 獣人の国、ドラファルト


さあ、獣人の国ドラファルトから竜王達がきます!
ここから第二章は終盤に向けてかなり圧力かかります~心して下さいませ。
第三章は獣人の国予定です。彼らはかなり深く関与してきます。
※バロンは第一章36.魔法学園からリリアーナを見ていた男です。
 第三章から始まるこの国ドラファルトにはまたしてもR18な伝統がでてきます。

*****************************



 翌日の夕刻、獣人の国、“ドラファルト”から竜王タオリャンとその長男ロンファ、三男バロン一行が到着した。
 そしていま、王国の来賓とドラファルトの王族をもてなすため、リリアーナはヴィクトールと共に晩餐会に出席している。


 明日行われる婚儀は昼過ぎから始まり夕刻までであるため、本日の晩餐会では皇国の貴族の殆どが招待されているのだ。晩餐会というよりも舞踏会と言った方が良いくらいの規模である。


 その上座、会場とは少し離れた位置に設置された長机ではドラファルト、皇国、王国の三ヵ国が共に酒を酌み交わしていた。



 ドラファルトは王国の隣に位置する国で、表面上は友好的な国だ。しかし隙があれば刺客を送って暗殺をしてくるような国でもある。

 今となっては真偽は不明だが、初代皇帝の妻、女神『サーシャ』を番と認識した竜人が失意のあまり邪竜へと堕ちた歴史のあるドラファルト。
 皇国との関係性は建国以来今でも内面では少しギスギスとしている。

 要するに、そんな彼らを国内に招き入れている以上、細心の注意が必要な相手ということである。



 現竜王であるタオリャンは紅い髪に燃えるような赤い瞳、金色の凛々しい角が生えた中年の男性だ。威圧的で怖気づきそうな風貌だが下賤な話が何よりも好きな様子が会話からも伝わってくる。
 強欲で酒と女以外に興味がない、と公に宣言しているような男。



「遂に皇帝が妻帯とは、真に喜ばしい事よなあ! 父君とは女の話で飽きることはなかったが!
 はっはっはっ! ほれ、ロンファ!」


 ヴィクトールとリリアーナの前に立った竜王は高らかに笑った。そして隣に立つ竜人に目を向ける。


「皇国皇帝ヴィクトール陛下、お久しぶりです。皇后リリアーナ様、お初にお目にかかります。私はドラファルトが次期竜王、ロンファと申します。
 今後とも何卒よろしくお願い致しますね、」



 ロンファと竜王に呼ばれ次に挨拶を始めたのは、竜王と全く同じ赤い目に橙色の髪の美男子だ。長男であり、次期国王に決まっている彼の性格は父親とは全く異なるようで紳士な印象を与えた。

 そして、ロンファは王族服に身を包むもう一人の竜人の男を見た。



「彼は三男で第三王子のバロンです。現在は中立国の魔法学園に通っているのですが、是非皇国に来たいというので、急遽連れてくることになりました」


 皆同じ瞳の色ではあるけれど、バロンの目は吊り上がっていてとても父親に似ている。
 そんな事を漠然と考えていると、彼は、リリアーナの瞳を真っすぐ見て挨拶をした。



「本当に、本日はお会いできて光栄に存じます」



 そのバロンのリリアーナに向ける真っすぐな視線に気づくも、ヴィクトールは黙っていた。
 そして、彼ら王族の付き人達がヴィクトールの前に美しい陶器を並べていく。



「獣人の間では有名な”香”を持ってきたぞ!閨で使うと良いだろうてのう。雌がよく発情するのでの、儂も愛用しているのだ」

「ほう? それは、有用な物を頂き感謝する」

「陛下の離宮の真ん中で焚けば姫達が全員発情し愉しめるに違いないわい! はっはっは!」



 ヴィクトールは彼らを席に促すと、王国の面々も集まった事を確認し晩餐会を開始する。
 とはいっても、会場にいる貴族達とは少し離れた場所にいる彼らは実質、三ヵ国の王族のみで晩餐を取っているに等しい。


 そして、リリアーナは先ほどから感じる熱い視線に居たたまれず視線を落とした。


 熱い視線を送るのは勿論、バロンである。先ほどの挨拶の時から彼の様子は少しおかしい。
 リリアーナの頭からつま先までを舐めるように見て、不躾な視線を浴びせてくるのだ。
 食事中もずっとその熱の籠った視線を向けられ、全く進まない自分の食事に目を向けて耐える。



 そんな中、晩餐会も終盤にさしかかり、会場にいた貴族達が社交のために動き始めた頃、ヴィクトールは席を立った。
 どうやらロンファが次期竜王となるための即位式がもうすぐドラファルトであるようで、その話に行くという彼をリリアーナは微笑みながら見送る。



 酒を片手にロンファに連れられてバルコニーへと出て行ったヴィクトールを見て、リリアーナが一人になった好機をバロンは見逃さなかったらしい。
 彼は席を立つとリリアーナをじっとその瞳に捉えながら歩いてきた。



 そして隣まで来ると、片膝をつきながら口元に弧を描き、陶酔したような表情で言葉を紡ぐ。



「ああ、やはり美しい。僕の番(ツガイ)。可哀想に、こんな所に閉じ込められて。」

「・・・えっ、?」



 怖い。ギラギラした、獲物を狙うような雄の目で見られて彼女は身体を強張らせた。ヴィクトールとは違う、思いやりなどない、ただ自分の欲しがっていた玩具をようやく見つけたような喜悦の表情に悪寒が走る。
 
 そして彼の手がリリアーナに伸びて腕を掴もうとした瞬間、セドリックの声がそれを遮った。



「リリアーナ様、お疲れでしょう? セシルと化粧直しに行かれてはいかがですか?」



 リリアーナが顔を上げると、そこには会場から駆け付けたセシルとセドリックが立っていた。
 その二人に気付いたバロンは軽く舌打ちをすると立ち上がる。

 バロンの目線が二人に移った事でリリアーナは金縛りから解放された様な安心感を覚えた。



「・・・っ、はい、そうですね。バロン様、申し訳ございませんが、失礼致します」


 逃げるように素早く立ち上がったリリアーナとほぼ同時に、低く威圧的な声が響く。



「 ───────ほう? 今は珍しき白猫族、か? それも、その見てくれ極上よなあ! これだけの見てくれの猫が何故儂の後宮にいない?ん?」



 リリアーナの隣にいたセシルを厭らしい目つきで見ながらそう言葉を発したのは竜王タオリャン、その人であった。

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