22 / 35
21
しおりを挟む
「世界が終わったわけではないんだ」
あまりに沈んでいるので、私は手を叩いて士気をあげた。
「時間はまだ四十分以上もあるんだ。あと二点あげたら、すぐに逆転だ」
「ヴィクの言うとおりだ。五分もあれば、二点くらい取れるだろう?」
ギルも持ち前の毒舌を披露する。下がってきたゲイリーも言った。
「そういうことだ。さっさとあいつらを蹴散らして、俺たちのスタジアムから追い出そうぜ」
相手のゴール前にいるローランを睨みつけている。遠目では見えないが、おそらくニヤニヤと笑っているに違いない。
「オレは頑張るぜ!」
レインがガッツポーズをあげて、センターサークルへ向かう。さすがに子供は元気がいい。その明るい声に引きずられるようにして、みんな持ち場へ戻った。
サイモン主審が試合の再開を告げる。私はハーフタイムでのバーン監督の言葉を思い返していた。細かいパスをくり返し、中盤を支配する。相手の前線へパスを繋げない。その一方で相手ゴールへ詰めかけ、ディフェンスの隙を突いてシュートを放つ。
監督の言葉を忠実に実行していくと、徐々にだが我々が押していった。それに比例するようにピッチ上もエキサイトしていった。後半中頃には、ファウルや警告が飛び交った。
荒れた様相を呈してきたなかで、ついに退場者が出た。アリーナの左サイドバックだ。いったい何があったのかは知らないが、サイモン主審の笛で振り返ると、ローレンがギルに掴みかかっていた。我々もアリーナの選手も慌てて駆けつける。サイモン主審は激昂しているローレンへ、レッドカードを示した。即、退場だ。
ローレンは仲間に抑えられた腕を突っぱねて、主審の判断に従った。二度とギルを見なかった。
私はギルが気になった。今の展開はどう考えても試合中のプレーだけが原因ではない。アリーナから移籍する際に、選手の間でも色々とあったらしいという噂は聞いている。だがギルは何も話さないだろうし、ローレンが退場になっても別段感じることはないようだった。
「ヴィク」
スローインをするギルは、何事もなかったかのように私を呼び止めた。
「チャンスだ」
私はギルを一瞥し、小さく頷いた。
スタジアムが拍手と大合唱で盛りあがる。サポーターも我々の好機を感じてくれている。
ギルがラインに立ち、ボールを掲げた。私はアリーナの選手のマークを交わしながら、ベンチにいるアイへ視線を飛ばした。アイは立ったままだ。突きあげる衝動を抑えるかのように、こちらを睨んでいる。隣にいるヒューズやドュートルも、立ちあがっている。いや、チームメイト全員だ。
ギルがボールを投げた。
バートンが受け取り、ドリブルで右サイドを駆けあがる。ゲイリーやレイン、私も相手ゴールへ走った。
デルレイネが空いたスペースを埋めるために、バートンへ立ち向かう。バートンはきっちりと周囲を確認して、ペナルティエリアの右側手前から高いクロスボールをあげた。
ゲイリーやレインが走りこむ。ローランともう一人のディフェンダーが、スペースを取られないように潰しにかかる。
ボールはゴール上空を下ってくる。レインが飛んだ。頭を突き出して、ヘディングシュートの体勢に入る。だがローランも地面を蹴って飛びあがった。二人は激しくぶつかる。
ボールを先にキャッチしたのはローランだ。髪を振り乱して、頭でクリアする。
ボールは左方向へ落ちてゆく。そこへヴェールとケリーが駆けつける。「スピード」が「小さな巨人」に勝った。ケリーは滑り込むようにシュートを打つ。オコーナーが左へ反応した。しかしケリーはシュートを打ったのではなかった。
ゴール正面に走りつけた私は、私へパスされたそのボールを爪先で蹴った。ボールは一瞬浮きあがり、ゆるやかな下降線を描いて、キーパーとは反対の方向に入った。ゴールだ。
審判が笛を鳴らした。スタジアムが大歓喜に包まれる。私は右拳を突きあげた。気持ちが良かった。これで試合が振り出しに戻った。
しかしすぐに異常に気がついた。
ゴールポストの手前で、レインが倒れていた。私は喜びを投げ捨てて、急いでレインに駆け寄った。レインは仰向けになり、右脚を抱えながら呻いていた。先程のローランとの空中戦で、乱暴に振り落とされたのだ。落ちどころも悪かったに違いない。私が脚に手をおくと、痛そうに転がった。
「てめえ! どういうプレーしているんだ!!」
ゲイリーが汗を飛び散らして、ローランに詰め寄っている。ローランは首をすくめて、両手を広げた。
「おい、こんなことで怒るなよ。サッカーじゃ、日常茶飯事だろう?」
「てめえが下手糞なだけだろうが! このくそったれのバカ野郎!!」
「やめろ! 二人とも!」
両チームのキャプテンが割って入る。サイモン主審も笛を鳴らして駆けつけた。私はレインの様子が心配だった。レインは苦しそうに息を吐き、顔には脂汗をかいている。
ベンチから監督とチームスタッフが駆けつけた。レイゼンドクターはレインを診断して、首を横に振った。すぐに担架が持ち込まれ、レインはその上に乗せられてピッチの外へ運ばれる。サポーターが拍手でレインを慰めた。
バーン監督は担架のあとを追いながら、これからのことを思案しているようだった。アリーナとは同点になった。時間は三十分を過ぎている。あと十五分と数分のアディショナルタイムで、試合が終了する。
監督が審判に伝えている。まもなく、選手交代が告げられた。負傷したレインに代わり、投入されたのは背番号二十一番。アイだ。
長袖の上着を脱いだアイは、監督の指示を受けて、ピッチへ入った。私は驚きとともに彼に駆け寄った。
「大丈夫かい!」
通常、試合に入る前は、体を慣らして試合に備えておく。だがアイはずっと立ちっぱなしだったのだ。
「平気です」
アイは素っ気なかった。
「それより、レインは大丈夫でしたか?」
「ああ……大丈夫だよ。当分、試合には出場できないかもしれないけれどね。でも若いから、すぐに治るよ」
サッカー選手は負傷と常に隣りあわせだ。怪我が怖い者は、プロのサッカーをする資格はない。
アイは安心したように、ほっと息をついた。それからアリーナのゴールへ視線を向けた。獲物を狙うハンターのように、鋭く獰猛な眼差し。ああそうだ。私は重要なことを失念していた。彼は国を代表するプロのストライカーなのだ。
私はアイの両肩に手を添えた。
「いいかい、よく聞いて欲しい。私は必ず君へパスをおくる。君はゴールだけを狙っていておくれ。私の名誉にかけて、必ずボールを送るから。いいね?」
アイが私を見上げて、無言で頷いた。肩が小刻みに震えている。アイも緊張しているのだ。
「さあ、行こう。試合はこれからだ」
審判の笛を合図に、センターサークルでショーンズとヤムセンがボールを蹴りだす。アリーナは猛攻を仕掛けてきた。前線、中盤はもとより、最終ラインもあげて、一点を奪取するという気迫で迫ってくる。
私はボールを蹴るアリーナのミッドフィルダーへタックルを仕掛けた。バートンも走ってきて、二人で挟み撃ちにする。この背番号十二番の選手はプレーが臆病なので、バートンが難なくボールを奪った。
ケリーやギルへ速いパスをまわし、アリーナの陣営を突く。ディフェンダーが一人欠けたせいで、アリーナの守備ラインが崩れている。中盤の底にいるヴェールが補っているが、強固な壁に穴があいた現実はとめられない。
相手のゴール前で、ディフェンダーのマークを交わすアイとゲイリーが見える。アイをマークしているのはローランだ。まるでタイタンが人間を襲っているように見える。
私はバートンから送られたボールで突撃した。ペナルティエリア手前でパスの体勢になる。アイが私に気がついて、素早くローランの背後にまわる。
ローランは私とアイの動きに警戒している。走り出すゲイリーと近づいてくるケリーが視界の隅にちらついた。
私はボールをキープしつつ、逆を突いて、左へドリブルをした。目前にいたケリーへパスをする。
ケリーはクロスを出さずに、エリア内に切り込んでゆく。アイとゲイリーがいるため、ディフェンダーが効果的に動いていない。
空いたスペースからケリーはシュートを放つ。オコーナーがパンチングで防いだ。だがボールは生きている。
アイは足を振りあげた。だがローランがスライディングをした。ボールはラインを飛び出たが、アイも仰向けに転倒した。
あまりに沈んでいるので、私は手を叩いて士気をあげた。
「時間はまだ四十分以上もあるんだ。あと二点あげたら、すぐに逆転だ」
「ヴィクの言うとおりだ。五分もあれば、二点くらい取れるだろう?」
ギルも持ち前の毒舌を披露する。下がってきたゲイリーも言った。
「そういうことだ。さっさとあいつらを蹴散らして、俺たちのスタジアムから追い出そうぜ」
相手のゴール前にいるローランを睨みつけている。遠目では見えないが、おそらくニヤニヤと笑っているに違いない。
「オレは頑張るぜ!」
レインがガッツポーズをあげて、センターサークルへ向かう。さすがに子供は元気がいい。その明るい声に引きずられるようにして、みんな持ち場へ戻った。
サイモン主審が試合の再開を告げる。私はハーフタイムでのバーン監督の言葉を思い返していた。細かいパスをくり返し、中盤を支配する。相手の前線へパスを繋げない。その一方で相手ゴールへ詰めかけ、ディフェンスの隙を突いてシュートを放つ。
監督の言葉を忠実に実行していくと、徐々にだが我々が押していった。それに比例するようにピッチ上もエキサイトしていった。後半中頃には、ファウルや警告が飛び交った。
荒れた様相を呈してきたなかで、ついに退場者が出た。アリーナの左サイドバックだ。いったい何があったのかは知らないが、サイモン主審の笛で振り返ると、ローレンがギルに掴みかかっていた。我々もアリーナの選手も慌てて駆けつける。サイモン主審は激昂しているローレンへ、レッドカードを示した。即、退場だ。
ローレンは仲間に抑えられた腕を突っぱねて、主審の判断に従った。二度とギルを見なかった。
私はギルが気になった。今の展開はどう考えても試合中のプレーだけが原因ではない。アリーナから移籍する際に、選手の間でも色々とあったらしいという噂は聞いている。だがギルは何も話さないだろうし、ローレンが退場になっても別段感じることはないようだった。
「ヴィク」
スローインをするギルは、何事もなかったかのように私を呼び止めた。
「チャンスだ」
私はギルを一瞥し、小さく頷いた。
スタジアムが拍手と大合唱で盛りあがる。サポーターも我々の好機を感じてくれている。
ギルがラインに立ち、ボールを掲げた。私はアリーナの選手のマークを交わしながら、ベンチにいるアイへ視線を飛ばした。アイは立ったままだ。突きあげる衝動を抑えるかのように、こちらを睨んでいる。隣にいるヒューズやドュートルも、立ちあがっている。いや、チームメイト全員だ。
ギルがボールを投げた。
バートンが受け取り、ドリブルで右サイドを駆けあがる。ゲイリーやレイン、私も相手ゴールへ走った。
デルレイネが空いたスペースを埋めるために、バートンへ立ち向かう。バートンはきっちりと周囲を確認して、ペナルティエリアの右側手前から高いクロスボールをあげた。
ゲイリーやレインが走りこむ。ローランともう一人のディフェンダーが、スペースを取られないように潰しにかかる。
ボールはゴール上空を下ってくる。レインが飛んだ。頭を突き出して、ヘディングシュートの体勢に入る。だがローランも地面を蹴って飛びあがった。二人は激しくぶつかる。
ボールを先にキャッチしたのはローランだ。髪を振り乱して、頭でクリアする。
ボールは左方向へ落ちてゆく。そこへヴェールとケリーが駆けつける。「スピード」が「小さな巨人」に勝った。ケリーは滑り込むようにシュートを打つ。オコーナーが左へ反応した。しかしケリーはシュートを打ったのではなかった。
ゴール正面に走りつけた私は、私へパスされたそのボールを爪先で蹴った。ボールは一瞬浮きあがり、ゆるやかな下降線を描いて、キーパーとは反対の方向に入った。ゴールだ。
審判が笛を鳴らした。スタジアムが大歓喜に包まれる。私は右拳を突きあげた。気持ちが良かった。これで試合が振り出しに戻った。
しかしすぐに異常に気がついた。
ゴールポストの手前で、レインが倒れていた。私は喜びを投げ捨てて、急いでレインに駆け寄った。レインは仰向けになり、右脚を抱えながら呻いていた。先程のローランとの空中戦で、乱暴に振り落とされたのだ。落ちどころも悪かったに違いない。私が脚に手をおくと、痛そうに転がった。
「てめえ! どういうプレーしているんだ!!」
ゲイリーが汗を飛び散らして、ローランに詰め寄っている。ローランは首をすくめて、両手を広げた。
「おい、こんなことで怒るなよ。サッカーじゃ、日常茶飯事だろう?」
「てめえが下手糞なだけだろうが! このくそったれのバカ野郎!!」
「やめろ! 二人とも!」
両チームのキャプテンが割って入る。サイモン主審も笛を鳴らして駆けつけた。私はレインの様子が心配だった。レインは苦しそうに息を吐き、顔には脂汗をかいている。
ベンチから監督とチームスタッフが駆けつけた。レイゼンドクターはレインを診断して、首を横に振った。すぐに担架が持ち込まれ、レインはその上に乗せられてピッチの外へ運ばれる。サポーターが拍手でレインを慰めた。
バーン監督は担架のあとを追いながら、これからのことを思案しているようだった。アリーナとは同点になった。時間は三十分を過ぎている。あと十五分と数分のアディショナルタイムで、試合が終了する。
監督が審判に伝えている。まもなく、選手交代が告げられた。負傷したレインに代わり、投入されたのは背番号二十一番。アイだ。
長袖の上着を脱いだアイは、監督の指示を受けて、ピッチへ入った。私は驚きとともに彼に駆け寄った。
「大丈夫かい!」
通常、試合に入る前は、体を慣らして試合に備えておく。だがアイはずっと立ちっぱなしだったのだ。
「平気です」
アイは素っ気なかった。
「それより、レインは大丈夫でしたか?」
「ああ……大丈夫だよ。当分、試合には出場できないかもしれないけれどね。でも若いから、すぐに治るよ」
サッカー選手は負傷と常に隣りあわせだ。怪我が怖い者は、プロのサッカーをする資格はない。
アイは安心したように、ほっと息をついた。それからアリーナのゴールへ視線を向けた。獲物を狙うハンターのように、鋭く獰猛な眼差し。ああそうだ。私は重要なことを失念していた。彼は国を代表するプロのストライカーなのだ。
私はアイの両肩に手を添えた。
「いいかい、よく聞いて欲しい。私は必ず君へパスをおくる。君はゴールだけを狙っていておくれ。私の名誉にかけて、必ずボールを送るから。いいね?」
アイが私を見上げて、無言で頷いた。肩が小刻みに震えている。アイも緊張しているのだ。
「さあ、行こう。試合はこれからだ」
審判の笛を合図に、センターサークルでショーンズとヤムセンがボールを蹴りだす。アリーナは猛攻を仕掛けてきた。前線、中盤はもとより、最終ラインもあげて、一点を奪取するという気迫で迫ってくる。
私はボールを蹴るアリーナのミッドフィルダーへタックルを仕掛けた。バートンも走ってきて、二人で挟み撃ちにする。この背番号十二番の選手はプレーが臆病なので、バートンが難なくボールを奪った。
ケリーやギルへ速いパスをまわし、アリーナの陣営を突く。ディフェンダーが一人欠けたせいで、アリーナの守備ラインが崩れている。中盤の底にいるヴェールが補っているが、強固な壁に穴があいた現実はとめられない。
相手のゴール前で、ディフェンダーのマークを交わすアイとゲイリーが見える。アイをマークしているのはローランだ。まるでタイタンが人間を襲っているように見える。
私はバートンから送られたボールで突撃した。ペナルティエリア手前でパスの体勢になる。アイが私に気がついて、素早くローランの背後にまわる。
ローランは私とアイの動きに警戒している。走り出すゲイリーと近づいてくるケリーが視界の隅にちらついた。
私はボールをキープしつつ、逆を突いて、左へドリブルをした。目前にいたケリーへパスをする。
ケリーはクロスを出さずに、エリア内に切り込んでゆく。アイとゲイリーがいるため、ディフェンダーが効果的に動いていない。
空いたスペースからケリーはシュートを放つ。オコーナーがパンチングで防いだ。だがボールは生きている。
アイは足を振りあげた。だがローランがスライディングをした。ボールはラインを飛び出たが、アイも仰向けに転倒した。
0
あなたにおすすめの小説
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる