ノーベル賞受賞屋が乙女ゲームの世界に転生した。

鹿島 ギイチ

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第一部 第一章

第20話 証拠と犯人

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 僕は、正装のまま離宮に向かうと、そこにはリウム先生と須針師匠、ユナ師匠が集まっており、ニヤニヤとしながら僕の事を待っていた。
なぜニヤニヤされているのかと、考えていると、リウム先生が、こんな事を言って来た。

「私の予想が、的中いたしましたね。相変わらず、突飛な事をなさりますね。」

 どうやら先生たちには、こうなることが分かっていたらしい。僕は、先生たちに謝罪と説明と協力の打診を行った。すると先生たちは、こう返してきた。

「生徒が、することに協力しない人はいない。」

「弟子のやりたい事を支えてやるのが師の務め。」

「弟子の無茶に、一緒に付き合う事が師匠の義務」

 僕は、お礼を言った。すると先生たちは、集まっていた人たちの方に向かうと、手を差し出した。すると集まった人たちは、後悔した顔をしながら先生たちにお金を渡していた。

「先生たち、そのお金何ですか?」

「賭けの回収。」

「はっ?」

「あなたが、面白いことをすると思って、皆で賭けをしていたのよ。」

 先生の説明によると、僕が、父上にどんな要求をするか賭けていたとの事であった。先生たちは、捜査を行わせろと言うと賭けていて、それが、大穴の賭けであったため、がっぽりと儲けたので、先ほどからニヤニヤとしていたのであった。
 それを聞いた僕は、心底げんなりとした気分になってしまった。

 さて、気を取り直して、これからの事を先生たちと、話し合うために、僕たちは、先生たちが、滞在している離宮のリビングに集まっていた。

「まずすべき事は、爆破装置の設置がいつ誰によって行われたか、それを突き止める事です。」

 僕が、話し合いの口火を切った。

「そうですな、いつ設置されたか分かれば、実行犯を特定することは、容易いですな。」

 須針師匠も賛成の様だ。

「もう一つは、この厳重な警備を敷いている王城で、普通は爆破装置など設置できないはずです。なのに設置されてしまった。警備を掻い潜らなければありえない事です。」

 リウム先生が、王城の警備体制を掻い潜った方法を見つけるべきと言って来た。

「たしか、王城の警備を請け負っているのは、衛士庁の王城特別警備隊でしたね。」

 ユナ師匠が、警備体制の確認を言って来た。

「はい、そうです。衛士庁警備部警護課に所属しています。」

 そう言って来たのは、昨日から市中に探索に出ていた、オルティシアであった。セドイスも共に戻って来ていた。
 二人は、僕の前に膝まづいた。

「「殿下、ただいま帰還いたしました。」」

「二人とも、ご苦労様。首尾はどう?」

 二人は、その言葉を聞くと、僕に、数枚の魔導写真を見せて来た。僕は、その写真を見て驚愕した。

「如何されたのです? 殿下。」

 リウム先生が、僕の様子を不審に思って声をかけて来た。僕は、無言のまま写真を先生に差し出した。
 写真を受け取った先生は、それを見て愕然としていた。

「この制服は、王城特別警備隊の物。では、警備隊の隊員が設置したと言う事か。」

 僕が、セドイスたちに確認をすると、「そうです。」と返ってきた。

「所で、この写真は何処で?」

 再び、セドイスたちに確認すると、オルティシアが、写真入手の経緯を教えてくれた。

「昨日私たちは、殿下のご命令により密告者の素性を探るために市中に出ていました。その探索の最中に偶然通りかかった建物の上で写真を撮っている男に出会いまして、気になって話を聞いていたら、爆発が起こる数日前に偶然この写真を撮ったと言って来たのです。」

「なるほど、この衛士を呼び出して、事情を聴かなければならないな。」

 しかし、その時ユナ師匠から待ったが、かかった。

「殿下、急がば回れ、でございます。この衛士は、受け取って設置した可能性が高いと思われます。実行犯は、別にいます。」

「その根拠は?」

 僕が、その訳を尋ねると、ユナ師匠は机の上に何かを取り出した。

「よいしょっと、これが根拠です。」

 机に出されたのは、件の無力化された爆破装置であった。

「これが、根拠ですか?」

「はい。この装置は、魔力を圧縮してそれを開放することにより爆発させる装置であると言いましたね。この装置は、魔力を充填しなければ、圧力蓋を閉めることが出来ないのです。その写真に写っている装置は、圧力蓋が閉まっています。よって彼は、設置を頼まれたのだと推察します。」

 ユナ師匠の言葉通り、写真を見てみると装置の蓋の部分が閉じているのが分かる。では、誰がこの爆破装置に魔力を込めたのか?
 その答えは、セドイスからもたらされた。

「殿下、探索の結果の報告は、もう一つございます。」

「密告者の方?」

「はい、判明いたしました。」

 するとセドイスは、服の内ポケットから魔導写真を取り出した。そこには、丸々と太った男の姿が、写っていた
 僕は、その写真を受け取るとまじまじと見た。

「誰だ、こいつ?」

「最近、公都キルマより首都に進出してきた商人 ボレデノル・ハシーキです。」

「こいつが、密告者。魔導波形は?」

「取っております。」

 そう言ってセドイスは、魔力波形シートを差し出してきた。僕は、それをユナ師匠に渡した。
 ユナ師匠は、それを受け取ると、無力化された爆破装置をばらして魔力格納容器を取り出し、特殊な装置で、容器の中の魔力の波形を調べた。そして、すぐに結果が出た。

「容器の中の魔力とこの人物の魔力波形が一致いたしました。」

 この結果により真犯人を、見つけることが出来たが、何故衛士の一人が、このような事をしたのかが分からなければ、真の解決とは言えないので、その衛士から事情を聴くために、僕は、セドイスとオルティシアを伴い、警備隊庁舎へと向かった。
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