7 / 60
第6話 女王リーザ
しおりを挟む
これはどういう現象だろうか・・・。
自分でない者が自分の体を乗っ取り、自分の口で話しているのが見える状態。
意識をあるべきところに戻したいのに何かが邪魔をして奥に押しやられ、前に戻れないのである。
例えてみれば、正面を向いて座っていたイスから強制的に押し出され、横に座らされたような感覚である。
妙土は二人の会話を仕方なく見守った。
「私の意識が復活したということは、彼の者も封印石から出てきたのであろうな」
妙土、いや女王リーザはつぶやく。
「ここ数日、封印石の波動が弱まっていたことが観測されていましたが、今朝がた完全に封印が解けました。
魔王復活と魔界は盛り上がっていることでしょう」
今朝がた?私がちょうど夢を見ていた時なのか。
妙土は夢に出てきた氷のように冷ややかな美貌の男を思い出した。
「リーヴィシラン、お前は今まで私の転生を追いかけてくれたのだろう。苦労をかけた」
「何の。乳母ネリーニの助けがありましたから。
ネリーニも妹や乳兄弟たちも3種の神器を世界各地で守っておりますよ」
「神器を集めよ。私の体を取り戻しておくれ。魔界への入り口はわかってるな?私は今しばし眠る。リーヴィシラン、頼んだぞ」
「御意」
リーザは満足そうにに頷くと妙土の意識を前に引っ張り出し、自分はまた奥へと戻っていった。
何という強引な女王。
突然、出てきたと思ったら自分の用事をカイルに言いつけて、サッサと引っ込んでしまった。
意識を戻した妙土はドングリ眼で呆気にとられていた。
カイルは苦笑する。
「納得した?実は僕も実際に母と話すのは初めてでね。
・・・まあ、母の転生者たちは皆、あんな感じで、有無を言わさぬ強引さがあったかなあ」
「・・・転生を追いかけた、と言っていたわね」
妙土は敬語をやめた。
母親の転生をずっと追いかけただなんて、マザコンだ、こいつ。
「物心ついた時からね。
封印石の効力がなくなるまで暇だったたんだ。
だから、母の転生を追いかけてた。
・・・皆、興味深い人生を送ってたよね。勉強になったし」
カイルは当時の様子を思い出したのか笑っている。
・・・この人いくつなんだろう・・・。
何代の転生を追いかけてたんだろうか。
何百年も生きている妖怪とかだったら、どうしよう・・・。
年齢を聞くのが怖くて質問を変えた。
「封印石が解けて復活したのって誰?」
カイルの笑いがピタリと止まり、真面目な顔になった。
「さっき話した魔界の王だよ。魔界にいる全ての魔族を統べる魔王ラディリオン」
ラディリオン。
名前を聞いて妙土の心臓が高鳴った。
「戻ろうか」
カイルがパチンと指を鳴らすとニューヨーク、マンハッタンの部屋に戻っていた。
自分でない者が自分の体を乗っ取り、自分の口で話しているのが見える状態。
意識をあるべきところに戻したいのに何かが邪魔をして奥に押しやられ、前に戻れないのである。
例えてみれば、正面を向いて座っていたイスから強制的に押し出され、横に座らされたような感覚である。
妙土は二人の会話を仕方なく見守った。
「私の意識が復活したということは、彼の者も封印石から出てきたのであろうな」
妙土、いや女王リーザはつぶやく。
「ここ数日、封印石の波動が弱まっていたことが観測されていましたが、今朝がた完全に封印が解けました。
魔王復活と魔界は盛り上がっていることでしょう」
今朝がた?私がちょうど夢を見ていた時なのか。
妙土は夢に出てきた氷のように冷ややかな美貌の男を思い出した。
「リーヴィシラン、お前は今まで私の転生を追いかけてくれたのだろう。苦労をかけた」
「何の。乳母ネリーニの助けがありましたから。
ネリーニも妹や乳兄弟たちも3種の神器を世界各地で守っておりますよ」
「神器を集めよ。私の体を取り戻しておくれ。魔界への入り口はわかってるな?私は今しばし眠る。リーヴィシラン、頼んだぞ」
「御意」
リーザは満足そうにに頷くと妙土の意識を前に引っ張り出し、自分はまた奥へと戻っていった。
何という強引な女王。
突然、出てきたと思ったら自分の用事をカイルに言いつけて、サッサと引っ込んでしまった。
意識を戻した妙土はドングリ眼で呆気にとられていた。
カイルは苦笑する。
「納得した?実は僕も実際に母と話すのは初めてでね。
・・・まあ、母の転生者たちは皆、あんな感じで、有無を言わさぬ強引さがあったかなあ」
「・・・転生を追いかけた、と言っていたわね」
妙土は敬語をやめた。
母親の転生をずっと追いかけただなんて、マザコンだ、こいつ。
「物心ついた時からね。
封印石の効力がなくなるまで暇だったたんだ。
だから、母の転生を追いかけてた。
・・・皆、興味深い人生を送ってたよね。勉強になったし」
カイルは当時の様子を思い出したのか笑っている。
・・・この人いくつなんだろう・・・。
何代の転生を追いかけてたんだろうか。
何百年も生きている妖怪とかだったら、どうしよう・・・。
年齢を聞くのが怖くて質問を変えた。
「封印石が解けて復活したのって誰?」
カイルの笑いがピタリと止まり、真面目な顔になった。
「さっき話した魔界の王だよ。魔界にいる全ての魔族を統べる魔王ラディリオン」
ラディリオン。
名前を聞いて妙土の心臓が高鳴った。
「戻ろうか」
カイルがパチンと指を鳴らすとニューヨーク、マンハッタンの部屋に戻っていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる