8 / 60
第7話 魔王ラディリオン
しおりを挟む
日が沈み部屋の中は真っ暗だった。
しかし、窓から見えるマンハッタンの摩天楼は宝石箱の中身をひっくり返したようで、夜の闇をネオンの光が奏でるように彩っていた。
ふと夢で見た漆黒をまとった男の顔が妙土の脳裏をよぎった。
カイルと面差しのよく似た美しい男。
あの男が魔界の王、ラディリオンなのではないか。
「・・・カイルのお父さんてさ・・・」
カイルは深い溜め息をついた。
「そう、魔王ラディリオンだよ」
予想はしていたものの妙土は衝撃を受けた。
神族リーネ族の女王リーザと魔王ラディリオンのお子様ということは、カイルはサラブレッドなプリンスではないか。
いつ生まれたんだろう。
神々の闘いがあって、リーネ族と魔族の対立があって・・・。
時系列がわからないし、何百年・・・もしかして何千年も昔のことだとか!?
カイルに妹もいるって言っていたような。
乳兄弟もいるって言っていたし、以外と大家族なんじゃ・・・。
・・・あれっ、リーネ族と魔界は対立してるよね。
魔王ラディリオンの復活をリーネ族サイドは喜んでないし。
リーザと魔王ラディリオンの間でどんなドラマがあってカイルたちは生まれたのだろうか。
いろいろな疑問がうずまく妙土であった。
「・・・二人が愛し合って僕と妹が生まれたのかどうかはわかんないけど、まあ母さんは父さんを愛していたんだろうな。
でも、共生できないことがわかり、母さんは父さんを封印石に封じたんだ」
「共生できない?」
「地上での共生。父さんは魔界の住人たちを地上に上げるために太陽の光を奪おうとしたんだ。
太陽の元では魔族は生きていくことができないから。それで、母さんと対立して・・・」
当たり前だ。リーザは正しい。
太陽の光を奪ったら、植物は光合成ができないし、寒さで地上は凍りついて生物は死に絶えるじゃないか。
隕石衝突で舞い上がった砂塵が太陽を覆ったせいで、恐竜が死に絶えたという説が確かあったぞ。
「でも、父さんの気持ちもわかるんだよね。魔界の住人たちにとって地上で暮らすのは悲願だからね。
簡単に諦められることではないんだ」
くっ、この美貌のプリンスは優柔不断ぽいところがある。
何となくカイルに不安感を持つ妙土であった。
「あの~、私が日本に帰れるようになるためには・・・」
一番重要なことは、これだ。両親と一緒に平和な生活を日本で送りたい。
「魔界の脅威が去るまでは無理だね・・・。電車を空から落とされたり、空中戦で攻撃されたりするのは嫌だろう?」
「脅威を取り除くにはどうすればいいの?さっきリーザは3種の神器を集めろ、とか、私の体を取り戻して、とか言っていたけど・・・」
妙土は思い出したように自分の左手にある金の指輪を見た。
しかし、窓から見えるマンハッタンの摩天楼は宝石箱の中身をひっくり返したようで、夜の闇をネオンの光が奏でるように彩っていた。
ふと夢で見た漆黒をまとった男の顔が妙土の脳裏をよぎった。
カイルと面差しのよく似た美しい男。
あの男が魔界の王、ラディリオンなのではないか。
「・・・カイルのお父さんてさ・・・」
カイルは深い溜め息をついた。
「そう、魔王ラディリオンだよ」
予想はしていたものの妙土は衝撃を受けた。
神族リーネ族の女王リーザと魔王ラディリオンのお子様ということは、カイルはサラブレッドなプリンスではないか。
いつ生まれたんだろう。
神々の闘いがあって、リーネ族と魔族の対立があって・・・。
時系列がわからないし、何百年・・・もしかして何千年も昔のことだとか!?
カイルに妹もいるって言っていたような。
乳兄弟もいるって言っていたし、以外と大家族なんじゃ・・・。
・・・あれっ、リーネ族と魔界は対立してるよね。
魔王ラディリオンの復活をリーネ族サイドは喜んでないし。
リーザと魔王ラディリオンの間でどんなドラマがあってカイルたちは生まれたのだろうか。
いろいろな疑問がうずまく妙土であった。
「・・・二人が愛し合って僕と妹が生まれたのかどうかはわかんないけど、まあ母さんは父さんを愛していたんだろうな。
でも、共生できないことがわかり、母さんは父さんを封印石に封じたんだ」
「共生できない?」
「地上での共生。父さんは魔界の住人たちを地上に上げるために太陽の光を奪おうとしたんだ。
太陽の元では魔族は生きていくことができないから。それで、母さんと対立して・・・」
当たり前だ。リーザは正しい。
太陽の光を奪ったら、植物は光合成ができないし、寒さで地上は凍りついて生物は死に絶えるじゃないか。
隕石衝突で舞い上がった砂塵が太陽を覆ったせいで、恐竜が死に絶えたという説が確かあったぞ。
「でも、父さんの気持ちもわかるんだよね。魔界の住人たちにとって地上で暮らすのは悲願だからね。
簡単に諦められることではないんだ」
くっ、この美貌のプリンスは優柔不断ぽいところがある。
何となくカイルに不安感を持つ妙土であった。
「あの~、私が日本に帰れるようになるためには・・・」
一番重要なことは、これだ。両親と一緒に平和な生活を日本で送りたい。
「魔界の脅威が去るまでは無理だね・・・。電車を空から落とされたり、空中戦で攻撃されたりするのは嫌だろう?」
「脅威を取り除くにはどうすればいいの?さっきリーザは3種の神器を集めろ、とか、私の体を取り戻して、とか言っていたけど・・・」
妙土は思い出したように自分の左手にある金の指輪を見た。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる