天の龍 地の女神

常盤 舞子

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第7話 魔王ラディリオン

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日が沈み部屋の中は真っ暗だった。
しかし、窓から見えるマンハッタンの摩天楼は宝石箱の中身をひっくり返したようで、夜の闇をネオンの光が奏でるように彩っていた。
ふと夢で見た漆黒をまとった男の顔が妙土の脳裏をよぎった。
カイルと面差しのよく似た美しい男。
あの男が魔界の王、ラディリオンなのではないか。

「・・・カイルのお父さんてさ・・・」
カイルは深い溜め息をついた。
「そう、魔王ラディリオンだよ」
予想はしていたものの妙土は衝撃を受けた。
神族リーネ族の女王リーザと魔王ラディリオンのお子様ということは、カイルはサラブレッドなプリンスではないか。
いつ生まれたんだろう。
神々の闘いがあって、リーネ族と魔族の対立があって・・・。
時系列がわからないし、何百年・・・もしかして何千年も昔のことだとか!?
カイルに妹もいるって言っていたような。
乳兄弟もいるって言っていたし、以外と大家族なんじゃ・・・。

・・・あれっ、リーネ族と魔界は対立してるよね。
魔王ラディリオンの復活をリーネ族サイドは喜んでないし。
リーザと魔王ラディリオンの間でどんなドラマがあってカイルたちは生まれたのだろうか。
いろいろな疑問がうずまく妙土であった。

「・・・二人が愛し合って僕と妹が生まれたのかどうかはわかんないけど、まあ母さんは父さんを愛していたんだろうな。
でも、共生できないことがわかり、母さんは父さんを封印石に封じたんだ」
「共生できない?」
「地上での共生。父さんは魔界の住人たちを地上に上げるために太陽の光を奪おうとしたんだ。
太陽の元では魔族は生きていくことができないから。それで、母さんと対立して・・・」

当たり前だ。リーザは正しい。
太陽の光を奪ったら、植物は光合成ができないし、寒さで地上は凍りついて生物は死に絶えるじゃないか。
隕石衝突で舞い上がった砂塵が太陽を覆ったせいで、恐竜が死に絶えたという説が確かあったぞ。

「でも、父さんの気持ちもわかるんだよね。魔界の住人たちにとって地上で暮らすのは悲願だからね。
簡単に諦められることではないんだ」
くっ、この美貌のプリンスは優柔不断ぽいところがある。
何となくカイルに不安感を持つ妙土であった。
「あの~、私が日本に帰れるようになるためには・・・」
一番重要なことは、これだ。両親と一緒に平和な生活を日本で送りたい。
「魔界の脅威が去るまでは無理だね・・・。電車を空から落とされたり、空中戦で攻撃されたりするのは嫌だろう?」
「脅威を取り除くにはどうすればいいの?さっきリーザは3種の神器を集めろ、とか、私の体を取り戻して、とか言っていたけど・・・」
妙土は思い出したように自分の左手にある金の指輪を見た。
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