天の龍 地の女神

常盤 舞子

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第8話 ソロモンの指輪

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高層階だからか風のうなり声が窓の外から聞こえる。
妙土とカイルは暗い部屋の中で向き合っていた。

「リーネ族の3種の神器は地上代行者の象徴で、それぞれがすごい力を秘めているんだ。3つ全てがそろうと、強力な武器となるから、普段は別々に管理している。
リーネ族は数的に魔族に劣っているから、リーザは3種ともそろえたいんじゃないかな
3種の神器のうち、1つ目はこれ。ソロモンの指輪」
カイルは自分の右手にはめた金の指輪を見せる。
「この指輪をはめると、どんな言語でもわかるんだ。妙土が話す言葉は日本語だけど、ここのアメリカ人には英語に聞こえる。
逆にアメリカ人が話すことは日本語として妙土は理解できるんだ」
それは便利な!妙土の眼が輝く。
語学の学習をする時間を省けるではないか。
ソロモンの指輪については、聖書か何かで読んだことがある。
動物と意思疏通ができる指輪じゃなかったかな。
ちょっと指輪の役割が違うみたいだけど・・・。

「あと、指輪をはめるとリーネ族の気配を消せるんだ。僕のように瞬間移動などの力を使ってもね。
あなたもリーザとして覚醒しているから敵が気配を察知した。
敵はリーネ族の気配なら執念深いまでに突き止めるからね。
だから、指輪をはめさせてもらったよ。
この指輪は持ち主の意思でいくらでも複製を作れるんだ」
「指輪の本体はあなたがしているものね」
明らかに妙土がしているものとカイルのそれとでは、メッキと純金ぐらいに輝きが違う。

グウ~~。
緊張感のないお腹の音が妙土からした。
朝食にハムエッグと食パン1枚を食べたきり何も口にしていない。
時差もあるし、あれからどれくらい時間が経ったのだろうか。
恥ずかしそうにお腹をポコポコたたく妙土を見て、カイルはくすりと笑う。

「ずっと食べてないからお腹空いたよね。続きは明日にしよう。
何か食べに行こうか。
あ、着替えは用意したから。サイズは合っていると思うよ」

日本の女子高生の格好でマンハッタンをうろつくわけにはいかない。
ワンピースやファー付きのコート、アクセサリー、バッグに靴も用意されていた。
マメだし、よく気がつく男である。

妙土は話の続きをしたかったが、お腹が空きすぎて、そろそろ限界である。
今日インプットした情報も整理しないと混乱するばかりである。
カイルが部屋の電気をやっとつけた。
妙土が着替えを手にしたので回れ右をしてカイルは部屋を出ていった。
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