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第17話 ロシアからの客
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ブルックリンの自宅でネリーニが息子のブランドンと電話で話をしていると、玄関のチャイムが鳴った。
モニターに写った人物に驚いてネリーニは慌てて玄関に向かう。
「ネリーニ、久しぶりね。元気にしていた?」
ショートヘアの黒髪にアクアマリンの瞳。
スラッとしたモデルばりの長身の美女が玄関先に立っていた。
「リーナ様!いつニューヨークへいらしたんですか?」
カイルの双子の妹であるリーナはロシアにいるはず。ネリーニは驚いた。
「兄さんから『会いに行く』とメールをもらったので、こちらからニューヨークへ会いに来たのだけど、自宅に行ったら本人がいなくてね・・・」
「カイル様は今朝、ブランドンのいる香港に向かわれたはずですよ」
「行き違いか!せっかくはるばるロシアから来たのにー」
「立ち話もなんですから、お茶でもいかがですか?遠くから、お疲れでしょうし」
ネリーニにとって、カイル同様、リーナも女王リーザに託され、我が子同然に面倒を看た子である。
何とはなしに、世話をやきたくなるのである。
ネリーニは紅茶を淹れると、リーナの対面に座った。
紅茶の香りに幾かリラックスしたようで、リーナは深呼吸する。
「母の意識が目覚めたとか。今度の母の生まれ変わりは男?女?」
「・・・女性ですよ・・・」
それは気の毒に、とリーナは天を仰いだ。
兄であるカイルは重度のマザコンでエディプスコンプレックスを患っている。
リーザの生まれ変わりが男であれば、彼の終生を親友として傍らで過ごし、女であれば泣こうが喚こうが無理やり自分の女にするという病的な執着ぶりを見せるカイル。
リーナは何代か前のリーザの転生がカイルになびかず、拉致監禁され憔悴していたのを気の毒に思い、救出したところ、兄の激しい怒りを買ってしまった。
危うく一国を滅ぼすような兄妹ゲンカをやらかしそうになったことを苦々しく思い出した。
最近は生まれ変わりの性別が男性で続いていたのに、ここに来てまた女性とは・・・。
「でも、まだ少女ですし、リーザ様もいますしね」
母親の意識が目覚めている今、カイル様も無体なことを少女にしないだろう、とネリーニは付け加えた。
少女だろうが老女だろうが、醜女だろうが、美女だろうが、母の生まれ変わりであれば、カイルには関係ないのではないか。リーナは危惧する。
カイルは病的と言える執着で母親の転生を追いかけては必ず見つけ出し我が物にしようとする。
まるで母親を必死で追い求めてさ迷う迷い子のように。
封じられていた、父ラディリオンが復活して、母も目覚めたことで今後、兄がどういう行動を取るのか、双子の妹のリーナにもわからなかった。
リーネ族と魔族の抗争だけでなく、マザコン兄貴の動向にも注意をしなければいけない。
ロシアやイタリア、フランスを根拠地に芸術三昧の生活を送っていたリーナにとって、はた迷惑な話であった。
母が魔族と決着をつけず問題を先送りにしたせいで益々問題がややこしくなったと思うせいか、母親であるリーザに対してあまり良い感情をリーナは持っていない。
ロシアで3種の神器のパーツを取りに来るカイルを待つとするか。
リーナは紅茶を飲み終わると腰を上げた。
モニターに写った人物に驚いてネリーニは慌てて玄関に向かう。
「ネリーニ、久しぶりね。元気にしていた?」
ショートヘアの黒髪にアクアマリンの瞳。
スラッとしたモデルばりの長身の美女が玄関先に立っていた。
「リーナ様!いつニューヨークへいらしたんですか?」
カイルの双子の妹であるリーナはロシアにいるはず。ネリーニは驚いた。
「兄さんから『会いに行く』とメールをもらったので、こちらからニューヨークへ会いに来たのだけど、自宅に行ったら本人がいなくてね・・・」
「カイル様は今朝、ブランドンのいる香港に向かわれたはずですよ」
「行き違いか!せっかくはるばるロシアから来たのにー」
「立ち話もなんですから、お茶でもいかがですか?遠くから、お疲れでしょうし」
ネリーニにとって、カイル同様、リーナも女王リーザに託され、我が子同然に面倒を看た子である。
何とはなしに、世話をやきたくなるのである。
ネリーニは紅茶を淹れると、リーナの対面に座った。
紅茶の香りに幾かリラックスしたようで、リーナは深呼吸する。
「母の意識が目覚めたとか。今度の母の生まれ変わりは男?女?」
「・・・女性ですよ・・・」
それは気の毒に、とリーナは天を仰いだ。
兄であるカイルは重度のマザコンでエディプスコンプレックスを患っている。
リーザの生まれ変わりが男であれば、彼の終生を親友として傍らで過ごし、女であれば泣こうが喚こうが無理やり自分の女にするという病的な執着ぶりを見せるカイル。
リーナは何代か前のリーザの転生がカイルになびかず、拉致監禁され憔悴していたのを気の毒に思い、救出したところ、兄の激しい怒りを買ってしまった。
危うく一国を滅ぼすような兄妹ゲンカをやらかしそうになったことを苦々しく思い出した。
最近は生まれ変わりの性別が男性で続いていたのに、ここに来てまた女性とは・・・。
「でも、まだ少女ですし、リーザ様もいますしね」
母親の意識が目覚めている今、カイル様も無体なことを少女にしないだろう、とネリーニは付け加えた。
少女だろうが老女だろうが、醜女だろうが、美女だろうが、母の生まれ変わりであれば、カイルには関係ないのではないか。リーナは危惧する。
カイルは病的と言える執着で母親の転生を追いかけては必ず見つけ出し我が物にしようとする。
まるで母親を必死で追い求めてさ迷う迷い子のように。
封じられていた、父ラディリオンが復活して、母も目覚めたことで今後、兄がどういう行動を取るのか、双子の妹のリーナにもわからなかった。
リーネ族と魔族の抗争だけでなく、マザコン兄貴の動向にも注意をしなければいけない。
ロシアやイタリア、フランスを根拠地に芸術三昧の生活を送っていたリーナにとって、はた迷惑な話であった。
母が魔族と決着をつけず問題を先送りにしたせいで益々問題がややこしくなったと思うせいか、母親であるリーザに対してあまり良い感情をリーナは持っていない。
ロシアで3種の神器のパーツを取りに来るカイルを待つとするか。
リーナは紅茶を飲み終わると腰を上げた。
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