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第18話 香港旅情
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・・・すっごいお手軽に海外旅行をしている気分・・・。
ニューヨークのマンハッタンから一瞬の出来事だった。
気がつけば妙土とカイルは香港のバーにいた。
瞬間移動は突然消えて突然現れるのだから、周りの人たちは驚きそうなものだが、バーのお客たちは平然としている。
私たちは見えているのだろうか・・・。
ウェイターが挨拶をしてコートを預かりに来てくれたので、まあ見えているのだろう。
しかし、一体どうなっているのだろう。
カイルに聞きたいことや確認したいことが山ほどあるが、グッと我慢して、妙土はカイルの後についていった。
聞けばブランドンが経営しているバーだとか。
ネリーニはレストラン経営だし、親子で飲食店経営をしているようだ。
通された席はバーの隅にある窓際のソファ席で、仕切りはないものの、他の席と離れていることから、プライベート空間を保っていた。
バーが結構な高層階にあるのか窓からは香港の夜景が一望である。
100万ドルの夜景と言われるだけあって綺麗だったが、ニューヨークの夜景の方が洗練されていて見事だったような気がする。
ニューヨークは朝だったのに、香港は夜。
体内時計が狂いそうな気がして、妙土は憮然とした。
店内は青いライトで照らされ、熱帯魚が泳ぐ水槽と相まって、ラグジュアリーな青い空間を演出していた。
青い空間の中にカイルの金髪とアクアマリンの瞳が浮かび上がり幻想的だ。
「夜食みたいになっちゃったね。さあ、食べよう」
フードサイズのサンドイッチと生搾りのオレンジジュースが運ばれてきた。
カイルはオンザロックでウイスキーを飲んでいる。
サンドイッチの具は照り焼きチキンとボイルしたキャベツをケチャップとマヨネーズとマスタードで和えたもので、食欲をそそった。
妙土がサンドイッチをパクついてると、人影が席に近づいてきた。
「ブランドン!」
カイルが立ち上がる。
金髪碧眼の長身の男が立っていた。
中性的な美しい顔立ちである。
長めの前髪をキザにかきあげた。
妙土も口の中で頬張っているものを急いで飲み込み、立ち上がったが、勢いでむせた。
カイルが咳き込む妙土に水を差し出し、背中をさする。
甲斐甲斐しく妙土の世話を焼くカイルの姿にやれやれと呆れながら、ブランドンは向かいの席に座った。
「ブランドン、久しぶりだね」
妙土が落ち着いたところを見計らってカイルが切り出した。
妙土やネリーニに見せる愛嬌のある笑顔はない。
「2年ぶりぐらいじゃないかな。もっとも、カイル様は香港にちょくちょく来ているようだけどね」
香港に来てるのに顔を見せないカイルをちょっぴり皮肉り、妙土にウインクするブランドンの姿には色気がある。
香港には世界第4位の国際金融センターがある。
カイルは趣味と兼用して投資で生計を立てている。
社会や政治、経済の変動で数値が動くことを予測して投資を行うことは見えないモンスターを相手にするようでなかなか楽しい。永遠に続くかのような時間を夢中になってつぶすことができる。
部屋で株価のモニター画面を見ているだけに止まらず、市場を肌で感じたいと、香港だけでなく、世界の政治・経済の中心地をまわっている。
億万長者の個人投資家、「カイル・レイノルズ」とは、カイルが、もとい、リーヴィシランが人間の世界で生きていくための表の顔なのであった。
「ブランドン、こちらが妙土だよ。早速だけど、例のものを」
ブランドンの皮肉を無視してカイルが催促する。
ブランドンは、妙土を興味深そうに見つめた後、カバンから布に包まれた何かを取り出した。
バルムンクの剣よりサイズはかなり小さいが、あれが最後の3種の神器なのだろう。
包みの形からは何なのか想像はできない。
カイルは布の包みを受け取り中を改めた。
布の中に納められていたのは、金色で宝飾系の細工があるものである。
紅や青、碧の小さな宝石が、散りばめられている。
「カイル、これは?」
「ああ、これがリーネ族3種の神器の最後の1つ、宇宙龍の環、ウロボロスのサークルとも呼ぶね」
カイルが手渡してくれたので、妙土は受け取った。
以外と重く手のひらにズシリとくる。
これが3つに分けられた神器のピースの1つなんだ。
妙土はまじまじと見た。
ニューヨークのマンハッタンから一瞬の出来事だった。
気がつけば妙土とカイルは香港のバーにいた。
瞬間移動は突然消えて突然現れるのだから、周りの人たちは驚きそうなものだが、バーのお客たちは平然としている。
私たちは見えているのだろうか・・・。
ウェイターが挨拶をしてコートを預かりに来てくれたので、まあ見えているのだろう。
しかし、一体どうなっているのだろう。
カイルに聞きたいことや確認したいことが山ほどあるが、グッと我慢して、妙土はカイルの後についていった。
聞けばブランドンが経営しているバーだとか。
ネリーニはレストラン経営だし、親子で飲食店経営をしているようだ。
通された席はバーの隅にある窓際のソファ席で、仕切りはないものの、他の席と離れていることから、プライベート空間を保っていた。
バーが結構な高層階にあるのか窓からは香港の夜景が一望である。
100万ドルの夜景と言われるだけあって綺麗だったが、ニューヨークの夜景の方が洗練されていて見事だったような気がする。
ニューヨークは朝だったのに、香港は夜。
体内時計が狂いそうな気がして、妙土は憮然とした。
店内は青いライトで照らされ、熱帯魚が泳ぐ水槽と相まって、ラグジュアリーな青い空間を演出していた。
青い空間の中にカイルの金髪とアクアマリンの瞳が浮かび上がり幻想的だ。
「夜食みたいになっちゃったね。さあ、食べよう」
フードサイズのサンドイッチと生搾りのオレンジジュースが運ばれてきた。
カイルはオンザロックでウイスキーを飲んでいる。
サンドイッチの具は照り焼きチキンとボイルしたキャベツをケチャップとマヨネーズとマスタードで和えたもので、食欲をそそった。
妙土がサンドイッチをパクついてると、人影が席に近づいてきた。
「ブランドン!」
カイルが立ち上がる。
金髪碧眼の長身の男が立っていた。
中性的な美しい顔立ちである。
長めの前髪をキザにかきあげた。
妙土も口の中で頬張っているものを急いで飲み込み、立ち上がったが、勢いでむせた。
カイルが咳き込む妙土に水を差し出し、背中をさする。
甲斐甲斐しく妙土の世話を焼くカイルの姿にやれやれと呆れながら、ブランドンは向かいの席に座った。
「ブランドン、久しぶりだね」
妙土が落ち着いたところを見計らってカイルが切り出した。
妙土やネリーニに見せる愛嬌のある笑顔はない。
「2年ぶりぐらいじゃないかな。もっとも、カイル様は香港にちょくちょく来ているようだけどね」
香港に来てるのに顔を見せないカイルをちょっぴり皮肉り、妙土にウインクするブランドンの姿には色気がある。
香港には世界第4位の国際金融センターがある。
カイルは趣味と兼用して投資で生計を立てている。
社会や政治、経済の変動で数値が動くことを予測して投資を行うことは見えないモンスターを相手にするようでなかなか楽しい。永遠に続くかのような時間を夢中になってつぶすことができる。
部屋で株価のモニター画面を見ているだけに止まらず、市場を肌で感じたいと、香港だけでなく、世界の政治・経済の中心地をまわっている。
億万長者の個人投資家、「カイル・レイノルズ」とは、カイルが、もとい、リーヴィシランが人間の世界で生きていくための表の顔なのであった。
「ブランドン、こちらが妙土だよ。早速だけど、例のものを」
ブランドンの皮肉を無視してカイルが催促する。
ブランドンは、妙土を興味深そうに見つめた後、カバンから布に包まれた何かを取り出した。
バルムンクの剣よりサイズはかなり小さいが、あれが最後の3種の神器なのだろう。
包みの形からは何なのか想像はできない。
カイルは布の包みを受け取り中を改めた。
布の中に納められていたのは、金色で宝飾系の細工があるものである。
紅や青、碧の小さな宝石が、散りばめられている。
「カイル、これは?」
「ああ、これがリーネ族3種の神器の最後の1つ、宇宙龍の環、ウロボロスのサークルとも呼ぶね」
カイルが手渡してくれたので、妙土は受け取った。
以外と重く手のひらにズシリとくる。
これが3つに分けられた神器のピースの1つなんだ。
妙土はまじまじと見た。
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