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第37話 運命の双子
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リーザは姿を消して3年後に双子の赤子を抱えて北の大地へやってきた。
リーヴィシランとリーナ。
リーネ族の特徴である金髪碧眼のリーヴィシランに対してリーナは碧眼ではあるものの黒髪だった。
魔族との混血児であることは一目瞭然だった。
「この子たちを預かってくれないか」
リーザは開口一番、そう言って乳母のネリーニに赤子たちを渡した。
「リーザ様、今までどちらにいたのですか?それに、この子たちは?」
「・・・私の子だ。父親は魔王ラディリオン」
「何ですって!?」
ネリーニがヒステリックに叫ぶ。
ブランドンもギョッとした。
魔王ラディリオン。
魔族の総大将ではないか。
「頼む、ネリーニ、わけは後で話すから。
時間がないんだ。私は王都に戻らねばならない」
「王都に今さら何の用です?」
ブランドンは急いで聞いた。
「バルムンクの剣と宇宙龍の環は王宮の宝物庫にあるに違いない。盗まれたわけではなく、見えないようにされていただけだ」
リーザは少し面やつれをしていたが、体の線は丸みを帯びてどことなく艶っぽくなっていた。
むしろ女性的な魅力を備え、美しさに磨きがかかっていた。。
ブランドンはリーザの艶やかな変貌に息を飲んだが、3種の神器についての疑問を口にした。
「失われたバルムンクの剣と宇宙龍の環はずっと王都リーネリアの王宮にあったということですか」
「そうだ。だてに魔界に1年いたわけじゃない。神器がどこにあるのか、あらゆる可能性を考えたが、リーネリアの王宮に元からあったとしか思えない。
3種の神器は神々の力を蓄えたもの。力の源は太陽の熱や光だ。太陽そのものと言ってよい。
太陽の下で生きていけない住人たちがいる魔界に神器を置いておけるわけがない」
リーザは一息ついて、自分の右手に光るソロモンの指輪をちらりと見た。
「それに、宝物庫にある神器はソロモンの金環という結界に守られていた。ソロモンの金環はソロモンの指輪所持者にしかはれない結界で、結界を越えようとする者を太陽の光源に近い熱と光で焼く。
ソロモンの指輪の力は、宇宙龍の環と違い、所持者が亡くなっても威力は続く。
リーフェイス王は亡くなられた時、ソロモンの指輪をつけていた。つまり、誰もソロモンの金環を動かしていないということだ」
「あるのに見えない・・・空間がねじ曲げられているということですか?魔族にそんなことができるとは・・・」
「リーデイルの仕業に違いない。混血児の能力は計り知れない。様々な力を使えるんだ。
魔界に3人の混血児がいるが、リーデイルの能力は群を抜いている。両親が2族の王族だからな。
ブランドン、リーネ族の民はいま何人だ」
「あなたとその双子を入れて193人ですよ」
リーザはソロモンの指輪に触れて輪の真ん中にある浮き彫りを動かした。
側の机に192個のソロモンの指輪の複製が現れた。
「リーネ族の皆はこの指輪をつけて気配を消してくれ。ここにいるのはマズい。北の島へ行ってくれ。ソロモンの指輪をつけていれば、リーデイルも居場所をわかるまい。私は・・・王宮へ行く!」
今にもリーザが瞬間移動をしようとしたので、ブランドンが慌てて叫んだ。
「私も同行します!」
ブランドンはリーザを一人で行かせまいと腕をつかんだ。
「あなたを一人では行かせない!」
「魔界から追っ手がくるんだ。リーデイルたちは混血児だから、日中でも現れる。この子たちを頼む。追っ手の狙いは能力が高い混血児のこの子たちだ。王宮には私一人で行く」
「子供たちは僕が責任を持って守りますよ。ブランドンはリーザ様と行ってくれ」
ディランが抑えた声で二人を遮った。
ブランドンのリーザへの思いを知っているだけに、ブランドンを行かせてやりたかった。
「速やかにここを離れます!僕は皆にソロモンの指輪を配ります。母上はその子たちと先に行ってください。北の島へ」
「・・・わかったわ」
ネリーニはソロモンの指輪を自分と二人の赤子にはめると、赤子を抱いたまま瞬間移動で消えた。
リーヴィシランとリーナ。
リーネ族の特徴である金髪碧眼のリーヴィシランに対してリーナは碧眼ではあるものの黒髪だった。
魔族との混血児であることは一目瞭然だった。
「この子たちを預かってくれないか」
リーザは開口一番、そう言って乳母のネリーニに赤子たちを渡した。
「リーザ様、今までどちらにいたのですか?それに、この子たちは?」
「・・・私の子だ。父親は魔王ラディリオン」
「何ですって!?」
ネリーニがヒステリックに叫ぶ。
ブランドンもギョッとした。
魔王ラディリオン。
魔族の総大将ではないか。
「頼む、ネリーニ、わけは後で話すから。
時間がないんだ。私は王都に戻らねばならない」
「王都に今さら何の用です?」
ブランドンは急いで聞いた。
「バルムンクの剣と宇宙龍の環は王宮の宝物庫にあるに違いない。盗まれたわけではなく、見えないようにされていただけだ」
リーザは少し面やつれをしていたが、体の線は丸みを帯びてどことなく艶っぽくなっていた。
むしろ女性的な魅力を備え、美しさに磨きがかかっていた。。
ブランドンはリーザの艶やかな変貌に息を飲んだが、3種の神器についての疑問を口にした。
「失われたバルムンクの剣と宇宙龍の環はずっと王都リーネリアの王宮にあったということですか」
「そうだ。だてに魔界に1年いたわけじゃない。神器がどこにあるのか、あらゆる可能性を考えたが、リーネリアの王宮に元からあったとしか思えない。
3種の神器は神々の力を蓄えたもの。力の源は太陽の熱や光だ。太陽そのものと言ってよい。
太陽の下で生きていけない住人たちがいる魔界に神器を置いておけるわけがない」
リーザは一息ついて、自分の右手に光るソロモンの指輪をちらりと見た。
「それに、宝物庫にある神器はソロモンの金環という結界に守られていた。ソロモンの金環はソロモンの指輪所持者にしかはれない結界で、結界を越えようとする者を太陽の光源に近い熱と光で焼く。
ソロモンの指輪の力は、宇宙龍の環と違い、所持者が亡くなっても威力は続く。
リーフェイス王は亡くなられた時、ソロモンの指輪をつけていた。つまり、誰もソロモンの金環を動かしていないということだ」
「あるのに見えない・・・空間がねじ曲げられているということですか?魔族にそんなことができるとは・・・」
「リーデイルの仕業に違いない。混血児の能力は計り知れない。様々な力を使えるんだ。
魔界に3人の混血児がいるが、リーデイルの能力は群を抜いている。両親が2族の王族だからな。
ブランドン、リーネ族の民はいま何人だ」
「あなたとその双子を入れて193人ですよ」
リーザはソロモンの指輪に触れて輪の真ん中にある浮き彫りを動かした。
側の机に192個のソロモンの指輪の複製が現れた。
「リーネ族の皆はこの指輪をつけて気配を消してくれ。ここにいるのはマズい。北の島へ行ってくれ。ソロモンの指輪をつけていれば、リーデイルも居場所をわかるまい。私は・・・王宮へ行く!」
今にもリーザが瞬間移動をしようとしたので、ブランドンが慌てて叫んだ。
「私も同行します!」
ブランドンはリーザを一人で行かせまいと腕をつかんだ。
「あなたを一人では行かせない!」
「魔界から追っ手がくるんだ。リーデイルたちは混血児だから、日中でも現れる。この子たちを頼む。追っ手の狙いは能力が高い混血児のこの子たちだ。王宮には私一人で行く」
「子供たちは僕が責任を持って守りますよ。ブランドンはリーザ様と行ってくれ」
ディランが抑えた声で二人を遮った。
ブランドンのリーザへの思いを知っているだけに、ブランドンを行かせてやりたかった。
「速やかにここを離れます!僕は皆にソロモンの指輪を配ります。母上はその子たちと先に行ってください。北の島へ」
「・・・わかったわ」
ネリーニはソロモンの指輪を自分と二人の赤子にはめると、赤子を抱いたまま瞬間移動で消えた。
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