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義弟のアプローチ
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その後、フェルディア様に、熱烈なアプローチを受けました。最初は、第二皇子として不安定の基盤を安定させるために私と結婚しようと思っていらっしゃるだけだと思いました。
しかし、毎日アプローチを受けているうちに、フェルディア様のお気持ちが伝わってまいりました。
私にとって、皇后陛下と皇帝陛下の物語なんて霞んでしまうくらいのものでした。
私が一歩歩けば、目の前の小石を全て払いのけ、座ろうとすれば、すぐにハンカチを敷いてくださる。流石に、従者のような行動はおやめくださいと、申し上げました。
「僕がマリーのためにやりたいことをやっているだけだよ? だから、マリーであっても止められないな? 嫌がっているなら別だけど……」
いつものように子犬のようなうるうるした瞳で見つめられ、私は嫌と言えません。
ーーーー
「おはよう、マリー。君にぴったりの花を見つけたから、受け取って欲しい」
「ありがとうございます」
フェルディア様が差し出されたのは、虹色に輝く薔薇でした。なんて美しいのだろうと、感動しながら受け取りました。しかし、こんな素敵な花は帝国の予算を圧迫するくらいの金額にならないだろうか? と、心配になって、尋ねてみました。
「こんな素敵な花は初めてみました。あの、私が受け取っていいものなのでしょうか?」
「あぁ、心配しないで? これは、僕が君のために咲かせた花なんだ。恥ずかしいから言いたくなかったけど……」
詳しく聞くと、フェルディア様が魔力を与えて虹色にした薔薇だった。長い年月がかかるし、魔力もかなり消耗するだろう。そう思って問いかけた。
「私との婚約が打診されてから育てられたのですか……? お身体への支障はございませんか?」
「うーんと、これも言いたくなかったんだけど、マリーへの気持ちを自覚した時から育てているんだ。いつかーー例えばマリーの結婚式にでもーー贈れたらいいな、くらいの気持ちだったから、実際に贈れることになって嬉しいんだ」
「それはいつ頃からなんでしょうか……?」
かなりの年月がかかるように思えるが、一体いつからなのでしょうか。これは、私の単純な疑問でした。
「えーっと……3歳?」
奇しくも、第一皇子と同じ3歳の時にマリーに惚れていたのだ。
「3歳!? そんなに幼い頃から私のことを思ってくださっていたのですか!?」
私は驚きのあまり、声を大きくする。すると、フェルディア様は顔を赤くして、おっしゃった。
「事実といえども、そんなに大きな声で言われると少し恥ずかしいな……? 僕とマリーの内緒にしておいてくれないかな?」
熱のこもった甘えるような瞳を見て、私はフェルディア様の想いは本当に幼少期の頃からのものなんだと気付かされました。
しかし、毎日アプローチを受けているうちに、フェルディア様のお気持ちが伝わってまいりました。
私にとって、皇后陛下と皇帝陛下の物語なんて霞んでしまうくらいのものでした。
私が一歩歩けば、目の前の小石を全て払いのけ、座ろうとすれば、すぐにハンカチを敷いてくださる。流石に、従者のような行動はおやめくださいと、申し上げました。
「僕がマリーのためにやりたいことをやっているだけだよ? だから、マリーであっても止められないな? 嫌がっているなら別だけど……」
いつものように子犬のようなうるうるした瞳で見つめられ、私は嫌と言えません。
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「おはよう、マリー。君にぴったりの花を見つけたから、受け取って欲しい」
「ありがとうございます」
フェルディア様が差し出されたのは、虹色に輝く薔薇でした。なんて美しいのだろうと、感動しながら受け取りました。しかし、こんな素敵な花は帝国の予算を圧迫するくらいの金額にならないだろうか? と、心配になって、尋ねてみました。
「こんな素敵な花は初めてみました。あの、私が受け取っていいものなのでしょうか?」
「あぁ、心配しないで? これは、僕が君のために咲かせた花なんだ。恥ずかしいから言いたくなかったけど……」
詳しく聞くと、フェルディア様が魔力を与えて虹色にした薔薇だった。長い年月がかかるし、魔力もかなり消耗するだろう。そう思って問いかけた。
「私との婚約が打診されてから育てられたのですか……? お身体への支障はございませんか?」
「うーんと、これも言いたくなかったんだけど、マリーへの気持ちを自覚した時から育てているんだ。いつかーー例えばマリーの結婚式にでもーー贈れたらいいな、くらいの気持ちだったから、実際に贈れることになって嬉しいんだ」
「それはいつ頃からなんでしょうか……?」
かなりの年月がかかるように思えるが、一体いつからなのでしょうか。これは、私の単純な疑問でした。
「えーっと……3歳?」
奇しくも、第一皇子と同じ3歳の時にマリーに惚れていたのだ。
「3歳!? そんなに幼い頃から私のことを思ってくださっていたのですか!?」
私は驚きのあまり、声を大きくする。すると、フェルディア様は顔を赤くして、おっしゃった。
「事実といえども、そんなに大きな声で言われると少し恥ずかしいな……? 僕とマリーの内緒にしておいてくれないかな?」
熱のこもった甘えるような瞳を見て、私はフェルディア様の想いは本当に幼少期の頃からのものなんだと気付かされました。
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