18 / 31
ストーカー対策基本法
しおりを挟む
最近、外に出ると視線を感じる気がいたします。学生時代は、次期皇后としていつも注目されておりましたが、最近いる場所は、基本城内の執務室でございます。
いつもフェルディア様が一緒にいてくださるから、おモテになるフェルディア様のせいかしら、と思っておりました。しかし、本日はフェルディア様はご公務で街に出ていらっしゃいます。新しい法律の施行のためだとおっしゃっていました。
「マリー様。こちらの書類の確認お願いします」
「わかりましたわ。ちょうどよかったです! では、先にこちらをお返ししておきますね」
書類を届けにきてくださった、文官の方とやり取りをいたします。私、この調子ならもしもフェルディア様と結婚しなくても、文官として働いていけるのではないでしょうか?
……また、視線を感じる気がいたします。窓の外に目をやってもどなたもいらっしゃいません。
気になってしまうので、少し外に休憩に参りましょう。ちょうどランチの時間ですわ。
そっと執務室を出て、王城を移動いたします。私の執務室の隣には広い庭園があって、その向こうが私とフェルディア様がいつも食事している場所です。もちろん、私たち以外は立ち入ることができないようになっており、安全対策はバッチリです。
庭園に出て、少し息抜きをいたします。先ほどより、視線を感じる気がいたしますわ。刺客だったら危ないですが、城の中心まで入り込めるような刺客でしたら、私、もう殺されていると思います。また、魔法によって害意のあるものは入り込まないようになっているはずです。
がさり、と音がして慌てて振り返ると、草むらの影に服が引っかかっています。どなたのものだろうと思いながら見つめていると、私の護衛たちが走って行ってくださいました。これでも次期皇后候補です。過分に護衛がつけられております。
「捕まえたぞ!」
私の感じていた気配は、気のせいでなかったようです。護衛の方に取り押さえられた男性が出ていらっしゃいます。どなたでしょうか? 初めてお見かけいたしますわ。
「離せ! 悪いことは何もしていない! 遠くからマリー様を見ていただけだ!」
私を見ていたとおっしゃる方は、手に何か紙束とペンを持っていらっしゃいます。ペンを持って暴れられると大変危険ですので、護衛の方がそちらを取り上げられました。
ばらばらと、紙が散らばり、それを拾ってみると、私の絵姿でした。
「私……?」
「その、麗しいお姿も書き写していた」
「……」
少し気持ち悪く感じて、裏返しました。裏面には、私の学生時代と思われる姿もありました。……。
「そもそも! 僕はマリー様の元学友だぞ!」
男性がそう言うと、護衛たちがこちらを向きます。
「恐れ入りますが、私、お初にお目にかかったお方だと思います。一体どなたでいらっしゃいますか?」
「隣のクラスだったのに! 覚えていらっしゃらないのですか!?」
悲痛な叫び声に首を傾げます。流石に、関わりのない方までは記憶しておりません。
「麗しいマリー様は、いつも朝8時に元第一皇子と登校されて、8時半に第二皇子と朝の挨拶を交わしていた。その後、授業を受けられて、ランチタイムはご友人と過ごしていらっしゃった。あの元第一皇子は、クソにも他の女たちを侍らせていたがな。授業中の癖は、小首を傾げながら頷かれること。その愛らしさは、僕の理想の女性そのものだ。その後、午後の授業を受け終わったら、帰宅されて次期皇后としての学習や業務補助をされていた。あぁ、元第一皇子の手伝いもなさっていたな。第二皇子が帰りに迎えにくる日はなぜかいつも姿が見られなかったんだ。僕の麗しいマリー様は、いつも僕に微笑みを浮かべて、僕を受け入れてくれるんだよ。心の中ではいつも僕を求めているんだ。だから、第二皇子と婚約しないでいてくれているんだよ? みんな知ってた? ちなみに、学校内でトイレに行かれる回数は、」
「おやめくださいませ!」
あまりにもプライベートなことをおっしゃられるので、声を上げました。詳し過ぎて固まってしまっておりましたが、そこまで衆前で語られたくありません。もちろん、見ず知らずの方に把握されているのも嫌ですが……。
「あぁ、ごめんごめん。僕たちの秘密だったよね? 2人だけの」
にやぁと笑われたお顔に、思わず嫌悪感を抱きます。背筋がぞくぞくとして、一歩一歩と後ろに下がってしまいました。
男性を取り押さえる護衛の力は、強くなりましたが、確かに、私に対して害を与えるようなことは何もしていらっしゃいません。感情的には大変不快ですが、法には触れないのです。
ただ、私を追い回し、私のことを把握しようとなさるだけでは、罪に問えないことに、今まで感じたことのなかった疑問を感じました。
舐めるような視線に恐怖を抱き、後ろに下がった私を、支える腕がありました。どなたかしら、と慌てて振り向くと、フェルディア様の優しい香りがふわりと香り、温かい腕に安心いたしました。
「ごめん、まさか僕がいない隙に接触されるとは思わなかった」
フェルディア様は、この男性のことをご存知だったようです。
「言っておくけど、今日、ストーカー対策基本法が施行されて、意味のないつけ回し行為は処罰化されたよ。特に、皇族やその婚約者になりうる者に対しては、厳罰を下すことになったよ。君は、今自白したね? あと、今まで僕が気づいてなかったとでも思っていたのかい?」
フェルディア様は、私のことをずっと守っていてくださっていたようです。
「この第二皇子め! いつもいつもマリー様に触れやがって! マリー様の心は僕にあるんだぞ! わかっているのか! クソ皇子! 腹黒皇子!」
かの男性が、思いつく限りの暴言をフェルディア様に浴びせていらっしゃいます。……皇族への暴言は、そもそも罪になると思っていたのですが……。
「ついでに、不敬罪。連れていけ」
連れていかれ、罪を裁かれることとなったようです。一言発するたびに罪状が重くなっていっている気がするので、黙っていた方がいいと思います。
「ごめんね、マリー? 今日はどうしても離れないといけなくて……いつも、あいつらから守るためにいろいろしていたんだけど……」
私が座るだろうと思う部分に自分の毛髪を置いておいたり、道に魔術具を置としておいて、私の下着を見ようとなさったりしていたようでした。大変気持ち悪いです。できることなら、知りたくなかったです。
「そういう意味もあって、マリーの身の回りを守らせてもらってたんだ。もちろん、マリーに少しでも快適に過ごしてほしい思いもあったから、今後も僕に任せてね?」
子犬のような瞳に、今日は安心感を抱きます。いつのまにか、フェルディア様といるとすごく安心できるようになってまいりました。
いつもフェルディア様が一緒にいてくださるから、おモテになるフェルディア様のせいかしら、と思っておりました。しかし、本日はフェルディア様はご公務で街に出ていらっしゃいます。新しい法律の施行のためだとおっしゃっていました。
「マリー様。こちらの書類の確認お願いします」
「わかりましたわ。ちょうどよかったです! では、先にこちらをお返ししておきますね」
書類を届けにきてくださった、文官の方とやり取りをいたします。私、この調子ならもしもフェルディア様と結婚しなくても、文官として働いていけるのではないでしょうか?
……また、視線を感じる気がいたします。窓の外に目をやってもどなたもいらっしゃいません。
気になってしまうので、少し外に休憩に参りましょう。ちょうどランチの時間ですわ。
そっと執務室を出て、王城を移動いたします。私の執務室の隣には広い庭園があって、その向こうが私とフェルディア様がいつも食事している場所です。もちろん、私たち以外は立ち入ることができないようになっており、安全対策はバッチリです。
庭園に出て、少し息抜きをいたします。先ほどより、視線を感じる気がいたしますわ。刺客だったら危ないですが、城の中心まで入り込めるような刺客でしたら、私、もう殺されていると思います。また、魔法によって害意のあるものは入り込まないようになっているはずです。
がさり、と音がして慌てて振り返ると、草むらの影に服が引っかかっています。どなたのものだろうと思いながら見つめていると、私の護衛たちが走って行ってくださいました。これでも次期皇后候補です。過分に護衛がつけられております。
「捕まえたぞ!」
私の感じていた気配は、気のせいでなかったようです。護衛の方に取り押さえられた男性が出ていらっしゃいます。どなたでしょうか? 初めてお見かけいたしますわ。
「離せ! 悪いことは何もしていない! 遠くからマリー様を見ていただけだ!」
私を見ていたとおっしゃる方は、手に何か紙束とペンを持っていらっしゃいます。ペンを持って暴れられると大変危険ですので、護衛の方がそちらを取り上げられました。
ばらばらと、紙が散らばり、それを拾ってみると、私の絵姿でした。
「私……?」
「その、麗しいお姿も書き写していた」
「……」
少し気持ち悪く感じて、裏返しました。裏面には、私の学生時代と思われる姿もありました。……。
「そもそも! 僕はマリー様の元学友だぞ!」
男性がそう言うと、護衛たちがこちらを向きます。
「恐れ入りますが、私、お初にお目にかかったお方だと思います。一体どなたでいらっしゃいますか?」
「隣のクラスだったのに! 覚えていらっしゃらないのですか!?」
悲痛な叫び声に首を傾げます。流石に、関わりのない方までは記憶しておりません。
「麗しいマリー様は、いつも朝8時に元第一皇子と登校されて、8時半に第二皇子と朝の挨拶を交わしていた。その後、授業を受けられて、ランチタイムはご友人と過ごしていらっしゃった。あの元第一皇子は、クソにも他の女たちを侍らせていたがな。授業中の癖は、小首を傾げながら頷かれること。その愛らしさは、僕の理想の女性そのものだ。その後、午後の授業を受け終わったら、帰宅されて次期皇后としての学習や業務補助をされていた。あぁ、元第一皇子の手伝いもなさっていたな。第二皇子が帰りに迎えにくる日はなぜかいつも姿が見られなかったんだ。僕の麗しいマリー様は、いつも僕に微笑みを浮かべて、僕を受け入れてくれるんだよ。心の中ではいつも僕を求めているんだ。だから、第二皇子と婚約しないでいてくれているんだよ? みんな知ってた? ちなみに、学校内でトイレに行かれる回数は、」
「おやめくださいませ!」
あまりにもプライベートなことをおっしゃられるので、声を上げました。詳し過ぎて固まってしまっておりましたが、そこまで衆前で語られたくありません。もちろん、見ず知らずの方に把握されているのも嫌ですが……。
「あぁ、ごめんごめん。僕たちの秘密だったよね? 2人だけの」
にやぁと笑われたお顔に、思わず嫌悪感を抱きます。背筋がぞくぞくとして、一歩一歩と後ろに下がってしまいました。
男性を取り押さえる護衛の力は、強くなりましたが、確かに、私に対して害を与えるようなことは何もしていらっしゃいません。感情的には大変不快ですが、法には触れないのです。
ただ、私を追い回し、私のことを把握しようとなさるだけでは、罪に問えないことに、今まで感じたことのなかった疑問を感じました。
舐めるような視線に恐怖を抱き、後ろに下がった私を、支える腕がありました。どなたかしら、と慌てて振り向くと、フェルディア様の優しい香りがふわりと香り、温かい腕に安心いたしました。
「ごめん、まさか僕がいない隙に接触されるとは思わなかった」
フェルディア様は、この男性のことをご存知だったようです。
「言っておくけど、今日、ストーカー対策基本法が施行されて、意味のないつけ回し行為は処罰化されたよ。特に、皇族やその婚約者になりうる者に対しては、厳罰を下すことになったよ。君は、今自白したね? あと、今まで僕が気づいてなかったとでも思っていたのかい?」
フェルディア様は、私のことをずっと守っていてくださっていたようです。
「この第二皇子め! いつもいつもマリー様に触れやがって! マリー様の心は僕にあるんだぞ! わかっているのか! クソ皇子! 腹黒皇子!」
かの男性が、思いつく限りの暴言をフェルディア様に浴びせていらっしゃいます。……皇族への暴言は、そもそも罪になると思っていたのですが……。
「ついでに、不敬罪。連れていけ」
連れていかれ、罪を裁かれることとなったようです。一言発するたびに罪状が重くなっていっている気がするので、黙っていた方がいいと思います。
「ごめんね、マリー? 今日はどうしても離れないといけなくて……いつも、あいつらから守るためにいろいろしていたんだけど……」
私が座るだろうと思う部分に自分の毛髪を置いておいたり、道に魔術具を置としておいて、私の下着を見ようとなさったりしていたようでした。大変気持ち悪いです。できることなら、知りたくなかったです。
「そういう意味もあって、マリーの身の回りを守らせてもらってたんだ。もちろん、マリーに少しでも快適に過ごしてほしい思いもあったから、今後も僕に任せてね?」
子犬のような瞳に、今日は安心感を抱きます。いつのまにか、フェルディア様といるとすごく安心できるようになってまいりました。
51
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
傷物令嬢シャルロットは辺境伯様の人質となってスローライフ
悠木真帆
恋愛
侯爵令嬢シャルロット・ラドフォルンは幼いとき王子を庇って右上半身に大やけどを負う。
残ったやけどの痕はシャルロットに暗い影を落とす。
そんなシャルロットにも他国の貴族との婚約が決まり幸せとなるはずだった。
だがーー
月あかりに照らされた婚約者との初めての夜。
やけどの痕を目にした婚約者は顔色を変えて、そのままベッドの上でシャルロットに婚約破棄を申し渡した。
それ以来、屋敷に閉じこもる生活を送っていたシャルロットに父から敵国の人質となることを命じられる。
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
編み物好き地味令嬢はお荷物として幼女化されましたが、えっ?これ魔法陣なんですか?
灯息めてら
恋愛
編み物しか芸がないと言われた地味令嬢ニニィアネは、家族から冷遇された挙句、幼女化されて魔族の公爵に売り飛ばされてしまう。
しかし、彼女の編み物が複雑な魔法陣だと発見した公爵によって、ニニィアネの生活は一変する。しかもなんだか……溺愛されてる!?
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
【完結】精霊姫は魔王陛下のかごの中~実家から独立して生きてこうと思ったら就職先の王子様にとろとろに甘やかされています~
吉武 止少
恋愛
ソフィアは小さい頃から孤独な生活を送ってきた。どれほど努力をしても妹ばかりが溺愛され、ないがしろにされる毎日。
ある日「修道院に入れ」と言われたソフィアはついに我慢の限界を迎え、実家を逃げ出す決意を固める。
幼い頃から精霊に愛されてきたソフィアは、祖母のような“精霊の御子”として監視下に置かれないよう身許を隠して王都へ向かう。
仕事を探す中で彼女が出会ったのは、卓越した剣技と鋭利な美貌によって『魔王』と恐れられる第二王子エルネストだった。
精霊に悪戯される体質のエルネストはそれが原因の不調に苦しんでいた。見かねたソフィアは自分がやったとバレないようこっそり精霊を追い払ってあげる。
ソフィアの正体に違和感を覚えたエルネストは監視の意味もかねて彼女に仕事を持ち掛ける。
侍女として雇われると思っていたのに、エルネストが意中の女性を射止めるための『練習相手』にされてしまう。
当て馬扱いかと思っていたが、恋人ごっこをしていくうちにお互いの距離がどんどん縮まっていってーー!?
本編は全42話。執筆を終えており、投稿予約も済ませています。完結保証。
+番外編があります。
11/17 HOTランキング女性向け第2位達成。
11/18~20 HOTランキング女性向け第1位達成。応援ありがとうございます。
元平民だった侯爵令嬢の、たった一つの願い
雲乃琳雨
恋愛
バートン侯爵家の跡取りだった父を持つニナリアは、潜伏先の家から祖父に連れ去られ、侯爵家でメイドとして働いていた。18歳になったニナリアは、祖父の命令で従姉の代わりに元平民の騎士、アレン・ラディー子爵に嫁ぐことになる。
ニナリアは母のもとに戻りたいので、アレンと離婚したくて仕方がなかったが、結婚は国王の命令でもあったので、アレンが離婚に応じるはずもなかった。アレンが初めから溺愛してきたので、ニナリアは戸惑う。ニナリアは、自分の目的を果たすことができるのか?
元平民の侯爵令嬢が、自分の人生を取り戻す、溺愛から始まる物語。
悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~
咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」
卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。
しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。
「これで好きな料理が作れる!」
ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。
冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!?
レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。
「君の料理なしでは生きられない」
「一生そばにいてくれ」
と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……?
一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです!
美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる