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マリーは相談役!?
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メルルと元第一皇子が学園でヒイヒイと学んでいる頃、マリーは獄中の元相談役に呼び出された。
謝罪をしたいということで、忙しいのについてこようとする第二皇子を説得して、元相談役の元にマリーは向かう。
「何かございましたか?」
「貴女にだけは謝りたいとずっと思っていたの。ごめんなさい。私の復讐のせいで貴女には辛い思いをたくさんさせてしまったわ」
「……謝罪をお受けすることはできませんが、今、私はフェルディア様に愛されて幸せです、とだけ申し上げます」
そう笑うマリーの顔は朗らかだ。
「貴女、皇后と今後も嫁姑問題が絶対起こらないと思うの?」
そう言われたマリーの顔は少し曇る。皇后と第二皇子のことを信頼しているものの、そう言われると不安を覚える。
「私から一つだけ、貴女にアドバイスがあるわ。私の代わりに皇后の相談役になりなさい。今、弱りきってる皇后を支えるの。そうしたら貴女の力になると思うし、彼女の力はうまく使えば帝国の発展に役立つわ」
ま、私には復讐しか興味なかったから、帝国の発展なんてどうでもいいんだけどねー、と、元相談役はごろりと床に寝転がってしまう。
「……貴女のご意見は参考にはさせていただきますわ」
いじめられてきたマリーとしては、皇后を簡単には許すことはできない。皇后の嫌味は理にかなっていたり、自身の成長につながったけれども、されたことはなかなか忘れられない。
ただ、皇后の謝罪を受け、憔悴しきっている皇后を見て同情はしてしまった。
帝国を支える上でも嫁姑問題は避けて通れない問題であるし、元相談役の案は、魅力的にも映る。
「もう復讐が済んで満足したわ。妹にも咎められてしまったし、親切心だけで特に下心は何もないわ。もちろん、あなたが疑うのはもっともだし、するしないは自由だわ」
ーーーー
「……」
「マリー? 何かあったの? 元相談役になにか言われたりした?」
「いえ……私、そんなにも顔に出てしまっていましたか?」
「僕にしかわからないレベルだと思うから、大丈夫だよ? 今、僕しかいないから、話してごらん?」
「……皇后陛下の相談役となったらどうだと言われました」
「なるほど」
「良い嫁姑関係、皇后陛下のお力は帝国の発展には不可欠だと思います。ですので、」
「マリーはどうしたい?」
「え?」
「マリーの気持ちを大切にしたいんだ。無理なら、父上と母上には隠居してもらってもいいしね?」
まさかフェルディア様がそんなことを考えているとは思わず、私は驚いてしまいました。
「まぁ、マリーが母上の相談役になるのは、元相談役に裏があろうとなかろうといい案だと思うよ? 母上がマリーの盾になってくれるのは、使いようによっては、マリーの負担が減るよね? 今後、元第一皇子派からのマリーへの嫌がらせも考えられるし……」
そうおっしゃるフェルディア様のお顔は、いつものような愛らしい子犬のようなお顔ではなく、施政者としての清濁併せ呑むお姿そのものでした。私は、そのギャップに驚いてしまいました。
「でも、マリーがしたいようにしたらいいと思うな!」
こちらに目をやり私の驚く顔を見た瞬間、いつものように愛らしい笑顔を向けてくださいます。その笑顔を見た時、私は相談役として皇后陛下をお支えしようと思いました。
「皇后陛下の今の憔悴しきったお姿は見ておられません。また、先ほどフェルディア様がおっしゃった面もメリットだと思いますわ。ですので、私、相談役として皇后陛下を支えさせていただきたいと思います」
ーーーー
「マリー、本当にごめんなさい……」
「いえ、皇后陛下。大丈夫ですわ。早くお元気になっていただかないと、私が困ってしまいますわ? ですから、ゆっくりでいいので、今までのことをお話しなさってください。私がお話を聞かせていただき、相談役の方の代わり……にはなれませんが、お話を聞くだけなら私でもできますわ? 私、フェルディア様と結婚できることになって、とても幸せですので、復讐なんていたしませんわよ?」
「マリーがそんなことしないことは、長い間成長を見守ってきた私も理解しているわ。でも、傷つけてしまった身なのに、相談役になっていただくなんて……」
「大丈夫ですわ。私も皇后陛下と皇帝陛下の“真実の愛”の裏側、知りたいですもの」
私がそう言ってイタズラっぽく微笑むと、皇后陛下も力無く微笑み、語り出してくださいました。物語や噂話では知らなかったお話を伺い、皇后陛下に共感したり、皇帝陛下に怒りを抱いたり、感情がとても忙しかったです。
ーーーー
「どうしたら、お心を支えることができますか?」
私は、たまに相談役に精神掌握術を教えていただきに行きます。
「まず共感! あと、どんな人となりか、話から理解してやんなさい! 貴女……私から学ぼうとするなんて意外と図太いわね。あぁ、ハノンっていう男は知ってる? 彼の書いた本も読んでみるといいと思うわよ?」
「わかりました。ありがとうございます」
嬉々として教えていただける元相談役さんから知識を習得し、書物からも学びます。
「どう? マリー。母上は操れそう?」
「操るなんて仰らないでください! やっと皇后陛下のお気持ちが理解できてきましたわ。私のことも信頼していただけている気がしますわ!」
徐々に皇后陛下が回復なさってきてくださいました。でも、以前のようなご指摘や嫌味はございません。むしろ、私を守ってくださいますわ。
謝罪をしたいということで、忙しいのについてこようとする第二皇子を説得して、元相談役の元にマリーは向かう。
「何かございましたか?」
「貴女にだけは謝りたいとずっと思っていたの。ごめんなさい。私の復讐のせいで貴女には辛い思いをたくさんさせてしまったわ」
「……謝罪をお受けすることはできませんが、今、私はフェルディア様に愛されて幸せです、とだけ申し上げます」
そう笑うマリーの顔は朗らかだ。
「貴女、皇后と今後も嫁姑問題が絶対起こらないと思うの?」
そう言われたマリーの顔は少し曇る。皇后と第二皇子のことを信頼しているものの、そう言われると不安を覚える。
「私から一つだけ、貴女にアドバイスがあるわ。私の代わりに皇后の相談役になりなさい。今、弱りきってる皇后を支えるの。そうしたら貴女の力になると思うし、彼女の力はうまく使えば帝国の発展に役立つわ」
ま、私には復讐しか興味なかったから、帝国の発展なんてどうでもいいんだけどねー、と、元相談役はごろりと床に寝転がってしまう。
「……貴女のご意見は参考にはさせていただきますわ」
いじめられてきたマリーとしては、皇后を簡単には許すことはできない。皇后の嫌味は理にかなっていたり、自身の成長につながったけれども、されたことはなかなか忘れられない。
ただ、皇后の謝罪を受け、憔悴しきっている皇后を見て同情はしてしまった。
帝国を支える上でも嫁姑問題は避けて通れない問題であるし、元相談役の案は、魅力的にも映る。
「もう復讐が済んで満足したわ。妹にも咎められてしまったし、親切心だけで特に下心は何もないわ。もちろん、あなたが疑うのはもっともだし、するしないは自由だわ」
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「……」
「マリー? 何かあったの? 元相談役になにか言われたりした?」
「いえ……私、そんなにも顔に出てしまっていましたか?」
「僕にしかわからないレベルだと思うから、大丈夫だよ? 今、僕しかいないから、話してごらん?」
「……皇后陛下の相談役となったらどうだと言われました」
「なるほど」
「良い嫁姑関係、皇后陛下のお力は帝国の発展には不可欠だと思います。ですので、」
「マリーはどうしたい?」
「え?」
「マリーの気持ちを大切にしたいんだ。無理なら、父上と母上には隠居してもらってもいいしね?」
まさかフェルディア様がそんなことを考えているとは思わず、私は驚いてしまいました。
「まぁ、マリーが母上の相談役になるのは、元相談役に裏があろうとなかろうといい案だと思うよ? 母上がマリーの盾になってくれるのは、使いようによっては、マリーの負担が減るよね? 今後、元第一皇子派からのマリーへの嫌がらせも考えられるし……」
そうおっしゃるフェルディア様のお顔は、いつものような愛らしい子犬のようなお顔ではなく、施政者としての清濁併せ呑むお姿そのものでした。私は、そのギャップに驚いてしまいました。
「でも、マリーがしたいようにしたらいいと思うな!」
こちらに目をやり私の驚く顔を見た瞬間、いつものように愛らしい笑顔を向けてくださいます。その笑顔を見た時、私は相談役として皇后陛下をお支えしようと思いました。
「皇后陛下の今の憔悴しきったお姿は見ておられません。また、先ほどフェルディア様がおっしゃった面もメリットだと思いますわ。ですので、私、相談役として皇后陛下を支えさせていただきたいと思います」
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「マリー、本当にごめんなさい……」
「いえ、皇后陛下。大丈夫ですわ。早くお元気になっていただかないと、私が困ってしまいますわ? ですから、ゆっくりでいいので、今までのことをお話しなさってください。私がお話を聞かせていただき、相談役の方の代わり……にはなれませんが、お話を聞くだけなら私でもできますわ? 私、フェルディア様と結婚できることになって、とても幸せですので、復讐なんていたしませんわよ?」
「マリーがそんなことしないことは、長い間成長を見守ってきた私も理解しているわ。でも、傷つけてしまった身なのに、相談役になっていただくなんて……」
「大丈夫ですわ。私も皇后陛下と皇帝陛下の“真実の愛”の裏側、知りたいですもの」
私がそう言ってイタズラっぽく微笑むと、皇后陛下も力無く微笑み、語り出してくださいました。物語や噂話では知らなかったお話を伺い、皇后陛下に共感したり、皇帝陛下に怒りを抱いたり、感情がとても忙しかったです。
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「どうしたら、お心を支えることができますか?」
私は、たまに相談役に精神掌握術を教えていただきに行きます。
「まず共感! あと、どんな人となりか、話から理解してやんなさい! 貴女……私から学ぼうとするなんて意外と図太いわね。あぁ、ハノンっていう男は知ってる? 彼の書いた本も読んでみるといいと思うわよ?」
「わかりました。ありがとうございます」
嬉々として教えていただける元相談役さんから知識を習得し、書物からも学びます。
「どう? マリー。母上は操れそう?」
「操るなんて仰らないでください! やっと皇后陛下のお気持ちが理解できてきましたわ。私のことも信頼していただけている気がしますわ!」
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