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24.獣人に負けたくない
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「無事か!? ナリアンヌ嬢」
「ナリアンヌ、心配したよ」
「まぁ、殿下とメルテウス様。デゼール王国は、なかなか楽しい場所ですわよ?」
わたくしとルチア様がデゼール王国の皆様と一緒に観光名所巡りをしているところに、救助隊の皆様が現れましたわ。
「デゼール王国へ正式に抗議させてもらおう」
「デゼール王国は滅びたいんだね。覚えておくよ」
「「ひいぃ!」」
殿下とメルテウス様の圧で、デゼール王国の皆様が萎縮していらっしゃいます。滅びさせるって、いったいメルテウス様は何者なのかしら?
「いえ、わたくしたちは魔物狩りを楽しんで、観光名所を案内していただいていただけですわ。ご覧になって? このオアシス。砂漠の中にこんな緑があるなんて、素敵でなくて?」
わたくしが小首を傾げて皆様に問います。
ルチア様はやる気なさそうですが、どこかイキイキしていらっしゃいます。砂漠だと安心なさるのかしら?
殿下たちがいらっしゃる前に、ルチア様はデゼール王国が保管していた食料を、わたくしはデゼール王国への自由な通行権と魔物討伐権、その他権利もろもろをいただきましたわ。お詫びの品だそうですわ。
「獣人のお方も教育を施し、酷使されないよう、お約束いただきましたから」
わたくしが満足げに犬型の獣人のお方の頭を撫でます。
「「「…………」」」
「みなさま、どうかなさって?」
不思議な視線をこちらに向けられる皆様に、わたくしが問いかけましたわ。
「……悪役令嬢、他の獣、撫でないで」
「あら?」
「私を撫でて」
不満げに獣人のお方とわたくしの間に身体を差し込んだルチア様。そっと頭を撫でると満足げなお顔をなさっています。
「……ナリアンヌ嬢。我が国への獣人の立ち入りは禁止されているからな?」
「まぁ。わかっていますわ、殿下」
わたくし、自由にデゼール王国へ立ち入りできる身分になりましたもの。
「……獣化する魔法を開発するか」
メルテウス様が何かおっしゃいましたわ。真剣に紙に何かを書かれていらっしゃいます。放っておきましょう。
かぷっ。
「いたっ、ルチア様。なぜ突然お噛みになったの?」
「……なんとなく」
「では、獣人のお方を……」
「だめ!」
「はいはい、わかりましたわ」
今度は大人しく撫でられてくださるルチア様でしたわ。
デゼール王国の国王陛下との内密な謁見の時間が取られましたわ。
「我が国は、貴国と争うつもりはない。今回の騒動は、王女エミーラの召喚魔法の失敗によるものだ。保証としては、ナリアンヌ・ハーマート公爵令嬢ならびに聖女ルチア嬢への慰謝料としての物品等の贈与を行なった」
「承知いたしました。帰国し、父である聖ルピテア王国国王へと伝えます」
「よろしく頼む」
国王陛下と殿下のやりとりを聞いていたルチア様が、わたくしにつんつんとちょっかいをかけていらっしゃいます。
「ねぇ、悪役令嬢」
「ルチア様。今大切なお時間ですので、後で相手して差し上げますから」
「なんで聖女を転移させた魔法を失敗? 成功した」
「おだまりになって、ルチア様。それには深い政治的理由と単なるデゼール王国国王の独善性の高い性格が関係しているだけですわ。後で説明いたしますから」
小声でわたくしたちのやりとりを終え、無事に聖ルピテア王国に帰ることとなりました。
以前お見かけした時はもっと尊大な態度を取られていたはずのデゼール王国の国王陛下が、今回とても腰が低くなっていらしたわ。さすがに、殿下の前だからかしら? いえ、でも前回も……。
「悪役令嬢」
「どういたしました? ルチア様」
「帰ろう」
「えぇ、一緒に参りましょう?」
「ナリアンヌ、心配したよ」
「まぁ、殿下とメルテウス様。デゼール王国は、なかなか楽しい場所ですわよ?」
わたくしとルチア様がデゼール王国の皆様と一緒に観光名所巡りをしているところに、救助隊の皆様が現れましたわ。
「デゼール王国へ正式に抗議させてもらおう」
「デゼール王国は滅びたいんだね。覚えておくよ」
「「ひいぃ!」」
殿下とメルテウス様の圧で、デゼール王国の皆様が萎縮していらっしゃいます。滅びさせるって、いったいメルテウス様は何者なのかしら?
「いえ、わたくしたちは魔物狩りを楽しんで、観光名所を案内していただいていただけですわ。ご覧になって? このオアシス。砂漠の中にこんな緑があるなんて、素敵でなくて?」
わたくしが小首を傾げて皆様に問います。
ルチア様はやる気なさそうですが、どこかイキイキしていらっしゃいます。砂漠だと安心なさるのかしら?
殿下たちがいらっしゃる前に、ルチア様はデゼール王国が保管していた食料を、わたくしはデゼール王国への自由な通行権と魔物討伐権、その他権利もろもろをいただきましたわ。お詫びの品だそうですわ。
「獣人のお方も教育を施し、酷使されないよう、お約束いただきましたから」
わたくしが満足げに犬型の獣人のお方の頭を撫でます。
「「「…………」」」
「みなさま、どうかなさって?」
不思議な視線をこちらに向けられる皆様に、わたくしが問いかけましたわ。
「……悪役令嬢、他の獣、撫でないで」
「あら?」
「私を撫でて」
不満げに獣人のお方とわたくしの間に身体を差し込んだルチア様。そっと頭を撫でると満足げなお顔をなさっています。
「……ナリアンヌ嬢。我が国への獣人の立ち入りは禁止されているからな?」
「まぁ。わかっていますわ、殿下」
わたくし、自由にデゼール王国へ立ち入りできる身分になりましたもの。
「……獣化する魔法を開発するか」
メルテウス様が何かおっしゃいましたわ。真剣に紙に何かを書かれていらっしゃいます。放っておきましょう。
かぷっ。
「いたっ、ルチア様。なぜ突然お噛みになったの?」
「……なんとなく」
「では、獣人のお方を……」
「だめ!」
「はいはい、わかりましたわ」
今度は大人しく撫でられてくださるルチア様でしたわ。
デゼール王国の国王陛下との内密な謁見の時間が取られましたわ。
「我が国は、貴国と争うつもりはない。今回の騒動は、王女エミーラの召喚魔法の失敗によるものだ。保証としては、ナリアンヌ・ハーマート公爵令嬢ならびに聖女ルチア嬢への慰謝料としての物品等の贈与を行なった」
「承知いたしました。帰国し、父である聖ルピテア王国国王へと伝えます」
「よろしく頼む」
国王陛下と殿下のやりとりを聞いていたルチア様が、わたくしにつんつんとちょっかいをかけていらっしゃいます。
「ねぇ、悪役令嬢」
「ルチア様。今大切なお時間ですので、後で相手して差し上げますから」
「なんで聖女を転移させた魔法を失敗? 成功した」
「おだまりになって、ルチア様。それには深い政治的理由と単なるデゼール王国国王の独善性の高い性格が関係しているだけですわ。後で説明いたしますから」
小声でわたくしたちのやりとりを終え、無事に聖ルピテア王国に帰ることとなりました。
以前お見かけした時はもっと尊大な態度を取られていたはずのデゼール王国の国王陛下が、今回とても腰が低くなっていらしたわ。さすがに、殿下の前だからかしら? いえ、でも前回も……。
「悪役令嬢」
「どういたしました? ルチア様」
「帰ろう」
「えぇ、一緒に参りましょう?」
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