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親友のヒロイン
しおりを挟むルークがオレに手伝いをしてくれるらしいので、オレはルークの協力をするつもりで、図書館に行く。ユーリィがそこにいると分かっているからだ。
図書館の読書スペースの一番奥にユーリィはいる。空き時間があればいつもそこにいて、勉強をしているのだ。
ユーリィは何冊かの本を脇につんでいて、今は一冊の本に付箋を貼っていた。
「よ、ユーリィ。久しぶり」
と声をかけると、ユーリィは緩慢な動きで、顔をあげる。グレーブルーの横髪がさらりと、肩の上を流れた。
「ラウリィって神出鬼没、けど今はありがたいかも」
と言って、一冊の本を差し出してくる。
「ここの崩し文字読めないの、読める?」
と言うのだ。
「あー、これは、植物名。虹色のカサブランカって書かれれる。待ってろ、崩し字辞典取って来るわ」オレは言語学のコーナーへ行って、ユーリィに崩し字辞典を手渡した。一番分かりやすい崩し字辞典を、前に見つけていたのだ。
「ありがと。さすが学科Sランク」
「それは前の話な。暇すぎて、勉強するしかなかったわけ」
「攻略してくれないからって?」
「そう」
「いいじゃん。攻略なんかしてもらわなくても」
とユーリィは少し不貞腐れた顔で言う。
「いや。それがオレの役目だし。ユーリィだって」
と言ったら、鼻っ柱に本を突き出された。
「ラウリィの差し金でしょ。最近ルークがやって来るのって」
と刺のある言い方でユーリィは言う。瑠璃色の瞳は笑っていない。
「それがあいつの仕事だし。役割まっとうさせてやれよ」
「名前呼び間違えるって、随分だと思う。それに、わたしは」
と言いかけて、ため息をつく。
「なに?」
「ラウリィって、自分が攻略難易度高いって自覚ないでしょ?」
「オレが?どこかだよ。軽くて落としやすいだろうよ」
はぁ、とユーリィはさらに深くため息をつくのだった。
「一つ教えてあげる。女の子たちの間での、噂話」
「うん?何?」
オレが聞くと、ユーリィは少し恥ずかしそうにして言う。
「みんな、ラウリィのアダルトルートの入り口を探してる」
「アダルトルート?」
「そう」
「アダルトっていうのは、全年齢とは対照的な言葉だよな?つまり、ルークの世界のような、直接的で耳を塞ぎたくなるような単語のオンパレードのルートか?」
とオレが言えばユーリィは顔をそむけた。そして、そうだよ、と小さく言うのだ。
「そんなの、ないだろ。オレは全年齢だもん」
「でも、することは、してる」
とまで言って、少しうるんだ瞳でこちらを見てくる。あ、そうだった。
軽い男たるオレは、ミトリ以外にはほぼすべて、一通りのことをしてしまっている。罪なことに。
さらりと軽く奪ってしまう。
なにせ、克明な部分はオレの分野じゃないからだ。
「悪い、学内裁判所に訴えていいよ。ラウリィに強引にされましたって。なにせ暇だし、処刑ルートにも粛々と歩むつもりだ」
「しないよ。ラウリィのことが好きでそうなったんだもん」
「ありがとう。オレもユーリィのこと、好きだよ。すごく可愛かった」
と言ったらぼっとを音がたつかのように、ユーリィの顔が赤くなるのだ。
皆までは言えない。全年齢だから。けど、そういうときのユーリィはとってもかわいいのだ。
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