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導入刺激が欲しいと言われて

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「例えば、結果として同じように吐き出すとして。繁殖と目的とする場合と排泄にすぎない場合とで、方法は一緒だと思うか?」
「い、一緒じゃないの?」

「さあ」
「ず、ズルい。答えてない」
 と言ったら輝夜は笑う。

「オレはごくごくノーマルな人間だから、分かりやすい些細な刺激で十分なんだよ」
「例えば?」

「行為に続く期待とか、匂い、触覚とか」
 視線は真っすぐに私の瞳をとらえる。輝夜の黒い瞳は底が見えないけれど、今はハッキリと言わんとすることが分かった。
 期待、匂い、触覚。
 付き合っていた期間は長くない。けれど、彼とは何度も肌を重ねた経験がある。

「つまり行為が出来そうな気配があれば、誰にでも反応するってことだよね。意外に軽い」
 視線を逸らすけれども、
「じゃあ、環は誰でも濡れるのか」
 と放り込まれた言葉に、思わず輝夜の顔を見た。

「なっ……」
「そういうことを、環は言っただろ」

「それは男女で違うと思う」
「男女といって大きな概念持ち出して、一部の大きな声を採用しているだけだ。悪いけど、こっちだって意外に繊細に出来てる」

「じゃあ、どうすれば」
「環が濡れればいい。その光景を見せてくれれば十分だ。普段から使うもので、どんな風にするのか見せてくれればいい」
 最悪だ。私の言葉をそのまま返してくる。

「そ、それっ、嫌がらせで言ってるでしょ!」
 指摘すれば、輝夜はクスクス笑った。
「自分でしろって言うんだろ?」
 向けられた眼差しに、少しだけ興奮の光が見えて、ゾクッと腰が震える。ダメだ、これは餌にすぎない。

「自分でして」
「だったら、環も自分でやってくれ。潤滑剤を使わずにシリンジを入れられる」
 私は息を飲んだ。早く、と輝夜は言う。
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