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「今」
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しおりを挟むキャディの後を追っていく。けれど、このまま近づいて行けば、前回みたいにキャディに捕まってしまうに違いない。
庭にでてみれば、グレーアッシュの髪の男女を見つける。ロアシュとロミアだ。連れ立っている二人は何やら話をしている。
「お兄様、そんなこと無理ですわ。私は殿方と二人きりで話したことすら、ほとんどありませんもの」
「魔法力の面で見れば、ルイドランがいい。ロミアだって彼ならいいんだろ?」
「学園の王子様にふさわしいとは思います……。けれど」
「ダート・ハートリップは魔法力の面では中々だが、出自が曖昧であまりおすすめじゃぁない。ルーカス・ビビッドリィは魔法力の面じゃからっきしだ」
「どの殿方とも接点はありませんわ。縁組を持ちかけるだなんて、とても難しいと思います」
「ロミアをあてにしてるわけじゃないけどさ、いくつも可能性の種を蒔いとくのがオレのやり方なんだよ。この王政に歯向かうためには、どんな方法もとるってこと。いい縁組があれば、ロミア自身にとっても悪いことじゃないだろ?」
「それは、分かっておりますわ。けれど……殿方は苦手です」
「ふ~ん、まあそうだな。ロミアは男に免疫がないからな。あとは、そうだなぁ、ラッキーは大穴だけど?」
と言って、ロアシュはこちらに振り返った。
「立ち聞きは趣味悪いって思うけどなぁ、ラッキー?」
ニヤッと笑う表情には、いやな思い出がある。
「ごめん立ち聞きするつもりはなかったよ、ただちょっと、キャディに用事があって」
先を歩いていくローズピンクのドレスの背中を指差した。
「ふぅん、キャディ・ボンボンか。一人であんな木陰に?」
「ね、キャディは王様の親戚なんだよね?ロアシュとロミアは何かキャディについての話を知ってる?」
「ボンボン家は王に宝物を捧げたことで、急速に台頭してきたお家ですわ。お家柄についてそれ以上のことは存じあげません」
「貢物で成り上がった家系だって、みんな噂してる。王の親戚だなんてのは、嘘だってオレは思ってるよ」
「そうなんだ、教えてくれて、ありがとう」
私は細心の注意を払って、キャディの後を追うことにする。誰と話をしていたのか、突きとめたいと思ったのだ。
前回同様にキャディを追っていけば、
「魔法の力が感じられます」
と話し声が聞こえる。
今回は前回よりも離れたところから、様子を見守ることにした。
「怪しいのはラッキーと言う少年です。彼は出自を名乗っておりませんし、怪しいことこの上ありませんわ」
同じ言葉を口にしたのが耳に入ったとき、肩をとんと叩かれる。え、キャディに見つかった!?と肝を冷やした、
けれど肩を叩いたのは、
「へぇ?ラッキーが怪しいって?」と軽薄な言葉をかけてくるのは、ロアシュだ。
しーっと私は唇の前に人差し指をかざす。
耳を澄ましていれば、話し相手の声がした。
「魔法力を持っている者ならば、捕まえてこちらに連れてこい」
「かしこまりました」
そんな穏やかじゃない会話が聞こえて、私はギョッとしてしまう。
――――私、捕まえられるの?
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