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我が君主の即位
我が君主の即位
しおりを挟む私は我が君主、ウィリエール様と共に王座についた。
王座の下から私の姿を見あげて、
「新たなる王の即位なさりました」
「我が国に、軍神のご加護がありますように」
家臣や隣国の王族が歓喜の声があがるのだ。
私は軍神となり、我が君主が王位を得てしまった。
継承順位は十位だったはずの我が君主は、王位を得て、私の手を取る。
「ねぇ、ミリア。やっと僕と結婚してくれるよね?」
穢れを知らないような、透明な光をたたえる瞳には、美しい。けれど、時おり狂気の光が差し込むことを私は知っていた。
軍神の加護を受けた王が君臨すれば、この国の未来は安泰だと、国民は安心することだろう。
この清らかな王は、継承権のあった兄君を葬り、そして私の婚約者を葬って来ている。
ただ、ひたすらに、この方が私を思ってくださっているからなのだ。
「ミリア、大好きだよ?」
ウィリエール様は私の頬を撫でてきた。
つい三月ほど前、近衛兵を解任された私は、軍の司令官と政略婚をするはずだった。
色好みの司令官にすべてを奪われる前にと、片思い相手のかの方に純潔を捧げるつもりだったのだけれど。
「ミリア、僕と結婚して」
太陽ですら、恥ずかしがって隠れてしまうほどの、曇りなき笑みを浮かべる我が君主。
私はこの方の王妃になってしまったようだ。
この王宮には死屍累々、ウィリエール様が葬った方々が潜んでいる。
――――どうして、こうなったのでしょうか?
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