29 / 228
編み目の契り
2
しおりを挟む
シャワーを浴びた後、リビングで電子書籍を読んでいた融に、
「当麻さんが美景さんの寝室に入り込みたがるので。防止のために、今日から寝室を一緒にしますか?」
と言われて私は思わずのけぞってしまった。
「それじゃ、よく眠れません」と私が言えば、「寝かせません」と融は言う。冷や汗が出てきてしまった。
「冗談はやめましょう?」
「結婚した以上、俺は美景さんと運命共同体だと思っています。美景さんも恋愛経験はあっても。編み込む契りは、さすがにしたことはありませんよね?」
「もちろんです。挑文師と付き合ったことなんて、ありませんし」
「一編み、一編み。ささやかな編み目でも構いません。少しずつ、織り重ねていきませんか?」
「それは、その。世間一般の契りも含まれていますか?」
融の言葉の意味は分かったけれど、しっかりと認識をすり合わせていかないと、後々困ったことになるかもしれない。
私がおずおずと尋ねると、融はくすくすと笑う。
「服は着ましょう。終わった後は、別に眠ります。これでいいですか?」
「あ、はい」
「粘膜の接触はしない、と念書を書きましょうか?」
融はその中性的で端正な顔立ちに、悪戯な笑みを浮かべる。
「さ、さすがに野暮です」
「では、行きましょう。美景さん」
と融はタブレット端末をたたみテーブルの上に置いてから、私の手を取る。
私は融の顔を見て、うなずいた。
「当麻さんが美景さんの寝室に入り込みたがるので。防止のために、今日から寝室を一緒にしますか?」
と言われて私は思わずのけぞってしまった。
「それじゃ、よく眠れません」と私が言えば、「寝かせません」と融は言う。冷や汗が出てきてしまった。
「冗談はやめましょう?」
「結婚した以上、俺は美景さんと運命共同体だと思っています。美景さんも恋愛経験はあっても。編み込む契りは、さすがにしたことはありませんよね?」
「もちろんです。挑文師と付き合ったことなんて、ありませんし」
「一編み、一編み。ささやかな編み目でも構いません。少しずつ、織り重ねていきませんか?」
「それは、その。世間一般の契りも含まれていますか?」
融の言葉の意味は分かったけれど、しっかりと認識をすり合わせていかないと、後々困ったことになるかもしれない。
私がおずおずと尋ねると、融はくすくすと笑う。
「服は着ましょう。終わった後は、別に眠ります。これでいいですか?」
「あ、はい」
「粘膜の接触はしない、と念書を書きましょうか?」
融はその中性的で端正な顔立ちに、悪戯な笑みを浮かべる。
「さ、さすがに野暮です」
「では、行きましょう。美景さん」
と融はタブレット端末をたたみテーブルの上に置いてから、私の手を取る。
私は融の顔を見て、うなずいた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる