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寝起きに戦闘はやめてください
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「だ、誰!?」
私はベッドの上に立ちあがり、耳の後ろをサッと撫でて、手の中に扇を出す。対物武器として使っている鉄扇を構えた。
「反射神経は悪くない。が」
その人物は両手をこちらに向けてきて、指の先からそれぞれ五色の紐を出してくる。親指から青、人差し指から赤、中指から黄、薬指から白、小指から黒の紐を出して、私の手足を絡めとってきた。
「なっ、挑文師なの!?」
私は鉄扇で紐を引きちぎる。そして即座に扇を結んでいる紐をほどき、分解した。そして鉄扇の一片をその人物へと投げつける。計十本の紐を器用に動かして、その人物は私の投げた扇の一片をはじき落とした。
「何の用事?寝起きに失礼じゃない?」
「随分と、惚けた顔をしていたな」
「誰?名前を名乗りもしない挑文師。怪しすぎるから、本局に報告してもいい?」
「それは、困るな。しばらくはぐれで通っているんだ」
そう言って青年が手を振りあげれば、着物の袖から見えた腕に一筋の長く深い傷跡を見つける。見れば指の先も欠損していて色が分かっていた。
そして、左目をつぶっている。
私は息を飲んだ。
まさかこの人は――――。
私はベッドの上に立ちあがり、耳の後ろをサッと撫でて、手の中に扇を出す。対物武器として使っている鉄扇を構えた。
「反射神経は悪くない。が」
その人物は両手をこちらに向けてきて、指の先からそれぞれ五色の紐を出してくる。親指から青、人差し指から赤、中指から黄、薬指から白、小指から黒の紐を出して、私の手足を絡めとってきた。
「なっ、挑文師なの!?」
私は鉄扇で紐を引きちぎる。そして即座に扇を結んでいる紐をほどき、分解した。そして鉄扇の一片をその人物へと投げつける。計十本の紐を器用に動かして、その人物は私の投げた扇の一片をはじき落とした。
「何の用事?寝起きに失礼じゃない?」
「随分と、惚けた顔をしていたな」
「誰?名前を名乗りもしない挑文師。怪しすぎるから、本局に報告してもいい?」
「それは、困るな。しばらくはぐれで通っているんだ」
そう言って青年が手を振りあげれば、着物の袖から見えた腕に一筋の長く深い傷跡を見つける。見れば指の先も欠損していて色が分かっていた。
そして、左目をつぶっている。
私は息を飲んだ。
まさかこの人は――――。
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