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しおりを挟む別れるってなんだろう?
よーちゃん以外と何かを始めるつもりにはなれないけれど、バイオリズムの中で人恋しくなるたびに、その先未来を少しだけ想像する。
身体の機能が強制的に子どもをはぐくむシステムになっているからだ。すぐに子どもが欲しいわけじゃないけれど、誰かと抱き合いたい気分になるたびに、会えないよーちゃんへ少しだけ恨めしい思いが生まれるのだ。
ピルおすすめ、性欲消えるよ、と友達は言う。毎月来る強烈なさみしさは、喉元を過ぎれば、なんということはなくなる。都合のいいシステムにうんざりする。
当面必要のない身体の生殖部門こそ、切り捨てたい、とたまに思うのだ。
2日と待たず連絡が来て、内容を目にした途端に別れの気配がした。
「家に行ってもいい?」
よーちゃんは一文だけ送ってくる。
「さすが仕事が早いな」
と感心する反面、迷う価値もないという気もして切ない。大学の頃から比べれば、今のよーちゃんは別人だ。
付き合い始めた時の彼は信じられないくらい甘えん坊だった。今のビシバシ判断に次ぐ判断を繰り返すビジネスマンの片鱗はどこにもない。
一部上場企業の次期役員候補、そんなエリートにはなるとは思いもしなかった。
友達に紹介すれば羨ましがられるけれど、私はこれっぽっちも嬉しくない。
ただただ、学生の頃を懐かしむだけだ。
頑張るよーちゃんを応援しつつも、出世に興味のない私は彼の隣に並ぶにふさわしくないと思えた。仕事を始める前のよーちゃんから知っている私にとって、化粧や洋服みたいなものだ。
家に帰えれば、昔のままのよーちゃんが戻ってくると思っていた。肩書きが家に帰っても脱がないものになっているなんて、思わなかったのだ。
価値観の違いの押し付け合いになって、足を引っ張る存在になる前に、こちらから消えよう。
そんなカッコつけた考えに我ながらダサさを感じていた。
それでも、よーちゃんが幸せならいいとも思える。
私にとっての幸せは、無言を楽しめるだけの時間の余裕だ。忙しないなかで抱き合うくらいなら、一切触れないほうがありがたい。温もりを覚えたまま、一人ホテルに取り残される虚しさは忘れられない。
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