損切り女子はスパダリ彼氏と別れたい

KUMANOMORI(くまのもり)

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 夜間の突撃した私に文句を言いつつも、迎え入れてくれた友達のカリナは、言う。

「陽亮くんって、人生がサユじゃん。その分、サユも人生差し出してこいって感じ」
「う~ん、よーちゃんとしか付き合ったことないから。普通がわからなくて」
「彼女色に完全に染まる男の中でも、トップクラスじゃない?ある意味スパダリかも」
 そう言って、トウモロコシ茶を淹れてくれた。

「スパダリ……」
「そう、スーパーダーリン」
 少し前に、同僚によーちゃんを紹介した時に、言われた言葉だ。
 スーパーダーリンって何?
 いい会社に勤めていて、顔がイケメンで性格が優しければスパダリ?

「スパダリってなに?」
「自分に合ってれば、それがスパダリでしょ。どんな重課金、ギャンブルカス系クズメンでも、貢ぎたい彼女からすればスパダリじゃん?堅実彼氏に貢ぐ意味ないし」
「そもそもよーちゃんと私って、合ってるのかな」

 私の一言で努力の方向を決めてしまう自分のない、よーちゃん。

「サリが好きかどうかだけ。超シンプルだよ」
「好きだけど。ちょっと疲れる」

「それが本音じゃん。好きで、疲れる。どっちに天秤がふれるか、乞うご期待」
「勝手に期待しないでよぉ」
 私がそう言ったら、カリナが私の好きなシャインマスカットを出してきてくれた。

「嘘ぉ、最高。カリナと結婚したい」
「悪い、無理。こっちは既婚者だから」
「だよね、残念」

 カリナはドイツ系イタリア人の俳優と国際結婚かつ、別居婚中だ。しかもここ3年は会っていないらしいけれど、生きていればいいでしょ、というスタンスらしい。
 カリナ自身も舞台女優をしているので、互いに多忙を極めているようだ。

 たった今、国際電話でわずか三分の会話を目の前にして、離れていても、安心していられるのは、羨ましいと感じる。
 ティ、ミアーモ。セイ、ラ、ミア、ヴェータ。
 カリナは愛を囁く言葉だけ告げて、サクッと通話を切る。

 先が見えない付き合いに限界を感じて、よーちゃんと別れたいと思っていた数日前のことが嘘みたいだ。
 よーちゃんが多忙極めていた状況を変えてくれて、結婚を申し込まれたのに、息苦しく感じた。

「とりあえずさ、仕事見つけてから結婚申し込んで?って言えば」
「う~ん……。怖いな、言葉の一つ一つを真に受けちゃうから」
「陽亮くんみたいなのは、すごいことやらかす気がするんだよなぁ。おもしろ」

「おもしろくないってば!」
「とりあえず、久しぶりに泊まってけば?」

 そう言って私の分の掛け布団を用意してくれるカリナは神様のように思える。
 カリナは私がどんな風でも、関係なく、カリナらしくいてくれるから心地いいのだと思う。
 
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