孤独なまま異世界転生したら過保護な兄ができた話

かし子

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第2章 魔塔編

【その後③】酔い

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「っ、イーゼル!」

「?」


夕食の場で、響いた父の声に驚いて外らを向くと、兄様が何かを飲んでいる所だった。
そして兄様は傾けたコップを持ったまましばらく停止し、そっとコップから口を離し、口の中のものを飲み込む。そしてその口元を上品にナプキンで拭った。

「...大丈夫か?」

父の心配げな問いかけに、兄様は何でもないように返事をする。

「はい。」


「すぐに水を持ってきてくれ。

___それは、ワインだ。」


わーお。
どうやら兄様は間違ってお酒を飲んでしまったらしい。
でも、心配をする父を他所に兄様は本当に何ともないようで、いつもの冷静な姿のままその後の食事を終えた。

それが、今からおよそ10分前の事だった。


















「...ああ、アステル。可愛いな。可愛い。好きだ。どうしてこんなに可愛いんだ?アステルだからか?アステルだからだな。天使と書いてアステルと読むんだろうな。俺の弟は世界一可愛い。すぅ...良い匂いだ。」

そしてこれが現在の兄様。
頬をほんのり赤く染めたまま、いつも以上に溶けた顔をして僕を抱きしめている。声も甘い。甘すぎる。かろうじて呂律は正常だが、なんかもう吐息が多い。僕が女の子だったら真っ赤になってるだろう。
あとずっと吸われてる。猫みたいに。

幸い今は2人きりだから、この兄様を目撃しているのは僕だけだ。父も母も「イーゼルならアステルに何かする事はないだろう。」と言う絶対的な信頼をおいて部屋を出て行ってしまった。
えぇ...?僕1人でこの兄様を相手できるかな?

「可愛い。小さいな...。手も足も顔もこんなに小さい...。ん?大きいか?アステル、大きくなったなぁ。前までは両手で抱えたらすっぽり隠れるくらいだったのに。...成長したんだな。」

「はい!おおきくなりました!」

「おしゃべりも上手になったな。この可愛い口が初めてにいさまと言った時のことは、忘れられない。顔を真っ赤にして泣いていたな。俺の、ために。...はぁ、可愛い。可愛すぎる。好きだアステル。」

両手で頬を掴まれ真正面から兄様の顔を見つめる。そんなうっとり見つめられると非常に恥ずかしいですが...。
ああ!唇を撫でないでください!くすぐったいですよ!!

「うぅ...。」

「どうした、そんなに可愛い声を出して。ご機嫌斜めなのか?」

はぁ、と熱い息が頬を撫でる。
うぅーー!!耳元で話さないで!!ぞわぞわする!!

「アステルが嫌なものは全部俺が壊してやるからな...。いつか、空間魔法がうまくなったらアステルと俺だけの世界を作るんだ。...そうすれば、アステルと俺はずっと一緒だ。」

あ、このちょっと危うい兄様はなんか久しぶりだ。というか使えるものが増えたせいで悪化してる...?すごく壮大な事をお考えなんですね。

「...俺の世界に閉じ込めたい。」

あぶなーーーい!!!!

「そっ、そうですね!ぼくは、このいえで!ずっとにいさまといっしょです!」

「そうだな。それでいい。...今は、まだ。」

「................。」

今は、まだ。

...うーん、よし!無視しよう!!無視だもう!!
ごめんね!兄様!!!


「アステルは冷たくて気持ちがいい...。」

「そ、それは、にいさまがあついから...。ひゃ、」

スッと首に触れられて、くすぐったくて変な声が出る。それに何故か兄様は気をよくしたのか、すりすりと撫でる手が止まらない。

「ぅっ、ぁ、くすぐったいです...。」

「ふっ...可愛い声。もっと聞かせてくれ。アステル。俺のアステル。お前の声だけを聞いていたい。」

ふぅ、と再び耳に息がかかる。

もぉー!!なんなんだ!!誰だ!兄様にこんな危ない事を教えたのは!!けしからん!!他所でやったらどうするんですか!!

...させるか!!!!!!!!!!!!(怒)

「に、にいさま、おちついて...。」

「ん?」

~っ!!だから!なんで「ん?」の一言でそんなに色気が出せるんですか!?どこで覚えてきたんですか!?この世界にネットはないはずなのに!

「アステルの、かわいい声、きかせてくれないのか...?」

「ろ、ろれつがあやうい...!もう、ねたほうがいいですよ。にいさま。」

というか上目遣いは反則ですから!絶対自分の顔がいいのを分かっててやってますよね!?

「じゃあ、さいごに。そのかわいぃ口で、いってみろ。いつもの、やつ。」

「いつもの...?」

「あぁ。いわなくても、分かるだろう?」

きゅっと、意地悪そうに細められた赤い目を見つめながら質問の答えを考える。

「えぇ...?うーん...。」


いつもの、いつもの...。
僕が、兄様にいつも言っていること...。


...ああ、そうか。


「いーぜるにいさま、だいすきです。」

「あぁ...。おれも、大好きだ。愛してる。アステル。かわいい、おれのアステル...。」


最後に一度僕の名前を呟いて、兄様はソファに座ったまますぅ、と眠りについた。









次の日、頭痛に耐えながら兄様は必死に謝ってきた。特に痛い事をされた訳でも、嫌がる事をされた訳でも無いので、なにに謝られているのかはいまいちわからなかったが。
寧ろ有料級のイケメンが見れて眼福だった。
なのに兄様は「嫌いにならないでくれ...。」と青い顔をしていたから、「だいすきですよ!!」と元気よく返しておいた。僕がいつも言うやつだ。

まだ未成年だからお酒は飲めないけど、いつかまたあの甘々兄様に会いたいなと思った。
あ!今でも十分甘々なんですけどね!!!




























___________________________
今回、兄弟の絡みが物足りないので小話を...!
それではここまで第2章をお読みいただきありがとうございます!
たくさんの評価も励みになりました🙇‍♀️

次章はアステルがメインというか、アステルが8割くらいイーゼルの腕の中にいます🫶
更新がいつ頃になるかは未定です💦
ではまた...!!(更新開始のお知らせはXでしてます)
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