30 / 70
第30話 料理します
しおりを挟む
私が厨房へ行くと、ユリナーテ様、ロニー様、ケント様がついてきた。
3人とも厨房へ入るのは初めてだそうだ。
料理って楽しいのに、貴族は基本的に料理はしないんだって、もったいない。
「まずは魚ですが、白身よりも赤身のほうが脂がのってこってりしています。
今日は赤身魚であるアジをフライにしますね」
アジフライは私の大好物。
市場でアジをみつけ、心の中で『アジフライ、待っていて~』と叫んだものだ。
アジフライが待つ?
我ながら変な表現だと思うが、その時は感動のあまり頭が混乱していたんだと思う。
パン粉がなければ、パンを細かく砕こうと思っていたが、ちゃんと存在した。
過去の〈神贈り人〉は実にいい仕事をしてくれたようだ。
助かる。
なんならアジフライも広めてくれればよかったのにと思っちゃう。
アジを三枚におろし、よく水分を拭き取る。
塩コショウを軽くふり、小麦粉、溶き卵、パン粉と順につける。
衣づけはユリナーテ様が手伝ってくれるというので、彼女に任せ、私はタルタルソース作りにとりかかる。
マヨネーズを探したが、それらしきものはなかった。
無いなら作るしかない!
卵黄に塩、酢を入れてよく混ぜた後、少しずつ油を入れながら混ぜていく。
混ぜるのは大変なので、護衛のダレンに交代してもらう。
ダレンが混ぜ始めると、ロニー様、ケント様がやりたそうにソワソワし出した。
途中で交代し、彼らにも手伝ってもらう。
ゆで卵をフォークの背で潰し、玉ねぎをみじん切りにしたものや酢、塩コショウを混ぜる。
最後に手作りマヨネーズを混ぜて、タルタルソースらしい味に仕上がった。
さぁ、揚げるか。
フライパンに多めに油を入れて、ジャーッ
ああっ、もうすぐ、もうすぐ、アジフライが出来上がる。
パン、サラダ、スープは用意してもらっているので、アジフライが揚がれば、すぐ昼食だ。
揚げたてのアジフライにタルタルソースをかけていただく。
美味しいっ、美味しいよ~。
揚げたてのアジフライは本当に最高だ。
焦りすぎて口の中をヤケドしちゃった。
私が一口食べると、みんなも食べ始める。
毒味待ちだったのかしらね。
ロニー様もケント様もすごい勢いで、アジフライを食べきった。
「これならいくらでもいける!」
いくらでもと言われても、おかわりはありませんよ、ロニー様。
ロニー様の味覚にもあったようで、なによりだ。
「他の魚もフライにできるの?」
ユリナーテ様に聞かれたので、
「骨を取って揚げるといいですよ」と答えた。
きっと調理人があれこれ試作することだろう。
ロニー様にも食べられる魚料理が増えるといいね。
***
翌日の昼には、ショユ(醤油)を使い、ブリを竜田揚げにした。
ブリをおろすのは、さすがに大変なので、料理人に予めおろしてもらっていた。
「フライもいいが、竜田揚げはもっと俺好みだ」
ロニー様、口をモグモグさせながら話すのはお行儀が悪いですよ。
ニンニクとショウガが効いて、ガツンとした食べ応えですもんね。
ケント様も美味しそうに食べている。
ユリナーテ様に連れられてきた料理人がメモをとっている。
今回は料理人も数名見学にきたのだ。
私がフライパンで竜田揚げを揚げて見せると、次からは料理人ハンスさんが代わってくれた。
ブリは大きいので、大量の竜田揚げが揚がった。
現在 厨房にいるみんなでハフハフ食べる。
「今回はブリですが、鳥や豚で作っても最高です。それは唐揚げになるのかな……呼び方はよくわからないんですが、作り方は一緒で」
「なんだ、それは。すぐにでも食べたい」
ロニー様が食いしん坊キャラに変わってないかしら……
「ユリナーテ様、ロニー様の魚嫌いが改善してよかったですね」
「うん、リナさんのおかげよ。調理法でこんなに味が変わるのね」
「そう、そうなの。今から明日の昼食用に銀ダラの味噌漬けを作ります。漬けておくと味がしみて明日焼いたら、すんごく美味しいはずです。あー、お米が食べたい」
「お米とはなんだ?」
食いしん坊ロニー様が興味を示し、お米を探してくれるそうだ。
すぐには無理だろうけど、みつかるといいなぁ。
昼食後、4人で海へ散策に出かけた。
もちろん護衛や侍女もついてきている。
ロニー様ともかなり打ち解けたので、魔法について聞いてみることに。
もし、ロニ-様が氷魔法持ちなら……
「みなさん、魔法が使えるんですよね?もし差し支えなければ、どんな魔法が使えるのか教えてもらえませんか?」
「僕は水魔法持ちだ」
ケント様がすぐ答えてくれた。
「私も水なの」
ユリナーテ様は答えながらもなぜか気まずそう。
「俺は……よくわからない。基本的な魔法の適正はないようだ。魔法の才がないのかもしれない」
ロニー様の答えを聞き、気まずい空気が流れる。
「ロニー様からいただいたバラ、本当にキレイで信じられないくらい花が長持ちしました」
空気を変えたくて、咄嗟に言っちゃった。
あっ、これは言っちゃまずかった。
「まぁ、ロニーはリナさんにバラを贈ったのねっ!」
ユリナーテ様とロニー様が険悪な雰囲気。
まずいっ、目でケント様に助けを求める。
「ロニー様には『育成』、もしくは『状態維持』など何かしらの魔法があるのでは?」
リナに届いたバラを見て、僕はそう思っていたのですが……
ケント様の発言で、みんなの注目が一気にケント様に集まった。
もしそんな魔法があるのはなら……
『育成』なら養殖。
『状態維持』なら魚を配送できるかも。
それって、それって、すごい魔法じゃない!
もっと魚が身近なものになるわ。
キレイに咲いたバラがそのまま長持ちしたんだから……『状態維持』の可能性が高いんじゃないかと思う。
残念ながら、時間切れ。
ザブン滞在も明日までだ。
3人とも厨房へ入るのは初めてだそうだ。
料理って楽しいのに、貴族は基本的に料理はしないんだって、もったいない。
「まずは魚ですが、白身よりも赤身のほうが脂がのってこってりしています。
今日は赤身魚であるアジをフライにしますね」
アジフライは私の大好物。
市場でアジをみつけ、心の中で『アジフライ、待っていて~』と叫んだものだ。
アジフライが待つ?
我ながら変な表現だと思うが、その時は感動のあまり頭が混乱していたんだと思う。
パン粉がなければ、パンを細かく砕こうと思っていたが、ちゃんと存在した。
過去の〈神贈り人〉は実にいい仕事をしてくれたようだ。
助かる。
なんならアジフライも広めてくれればよかったのにと思っちゃう。
アジを三枚におろし、よく水分を拭き取る。
塩コショウを軽くふり、小麦粉、溶き卵、パン粉と順につける。
衣づけはユリナーテ様が手伝ってくれるというので、彼女に任せ、私はタルタルソース作りにとりかかる。
マヨネーズを探したが、それらしきものはなかった。
無いなら作るしかない!
卵黄に塩、酢を入れてよく混ぜた後、少しずつ油を入れながら混ぜていく。
混ぜるのは大変なので、護衛のダレンに交代してもらう。
ダレンが混ぜ始めると、ロニー様、ケント様がやりたそうにソワソワし出した。
途中で交代し、彼らにも手伝ってもらう。
ゆで卵をフォークの背で潰し、玉ねぎをみじん切りにしたものや酢、塩コショウを混ぜる。
最後に手作りマヨネーズを混ぜて、タルタルソースらしい味に仕上がった。
さぁ、揚げるか。
フライパンに多めに油を入れて、ジャーッ
ああっ、もうすぐ、もうすぐ、アジフライが出来上がる。
パン、サラダ、スープは用意してもらっているので、アジフライが揚がれば、すぐ昼食だ。
揚げたてのアジフライにタルタルソースをかけていただく。
美味しいっ、美味しいよ~。
揚げたてのアジフライは本当に最高だ。
焦りすぎて口の中をヤケドしちゃった。
私が一口食べると、みんなも食べ始める。
毒味待ちだったのかしらね。
ロニー様もケント様もすごい勢いで、アジフライを食べきった。
「これならいくらでもいける!」
いくらでもと言われても、おかわりはありませんよ、ロニー様。
ロニー様の味覚にもあったようで、なによりだ。
「他の魚もフライにできるの?」
ユリナーテ様に聞かれたので、
「骨を取って揚げるといいですよ」と答えた。
きっと調理人があれこれ試作することだろう。
ロニー様にも食べられる魚料理が増えるといいね。
***
翌日の昼には、ショユ(醤油)を使い、ブリを竜田揚げにした。
ブリをおろすのは、さすがに大変なので、料理人に予めおろしてもらっていた。
「フライもいいが、竜田揚げはもっと俺好みだ」
ロニー様、口をモグモグさせながら話すのはお行儀が悪いですよ。
ニンニクとショウガが効いて、ガツンとした食べ応えですもんね。
ケント様も美味しそうに食べている。
ユリナーテ様に連れられてきた料理人がメモをとっている。
今回は料理人も数名見学にきたのだ。
私がフライパンで竜田揚げを揚げて見せると、次からは料理人ハンスさんが代わってくれた。
ブリは大きいので、大量の竜田揚げが揚がった。
現在 厨房にいるみんなでハフハフ食べる。
「今回はブリですが、鳥や豚で作っても最高です。それは唐揚げになるのかな……呼び方はよくわからないんですが、作り方は一緒で」
「なんだ、それは。すぐにでも食べたい」
ロニー様が食いしん坊キャラに変わってないかしら……
「ユリナーテ様、ロニー様の魚嫌いが改善してよかったですね」
「うん、リナさんのおかげよ。調理法でこんなに味が変わるのね」
「そう、そうなの。今から明日の昼食用に銀ダラの味噌漬けを作ります。漬けておくと味がしみて明日焼いたら、すんごく美味しいはずです。あー、お米が食べたい」
「お米とはなんだ?」
食いしん坊ロニー様が興味を示し、お米を探してくれるそうだ。
すぐには無理だろうけど、みつかるといいなぁ。
昼食後、4人で海へ散策に出かけた。
もちろん護衛や侍女もついてきている。
ロニー様ともかなり打ち解けたので、魔法について聞いてみることに。
もし、ロニ-様が氷魔法持ちなら……
「みなさん、魔法が使えるんですよね?もし差し支えなければ、どんな魔法が使えるのか教えてもらえませんか?」
「僕は水魔法持ちだ」
ケント様がすぐ答えてくれた。
「私も水なの」
ユリナーテ様は答えながらもなぜか気まずそう。
「俺は……よくわからない。基本的な魔法の適正はないようだ。魔法の才がないのかもしれない」
ロニー様の答えを聞き、気まずい空気が流れる。
「ロニー様からいただいたバラ、本当にキレイで信じられないくらい花が長持ちしました」
空気を変えたくて、咄嗟に言っちゃった。
あっ、これは言っちゃまずかった。
「まぁ、ロニーはリナさんにバラを贈ったのねっ!」
ユリナーテ様とロニー様が険悪な雰囲気。
まずいっ、目でケント様に助けを求める。
「ロニー様には『育成』、もしくは『状態維持』など何かしらの魔法があるのでは?」
リナに届いたバラを見て、僕はそう思っていたのですが……
ケント様の発言で、みんなの注目が一気にケント様に集まった。
もしそんな魔法があるのはなら……
『育成』なら養殖。
『状態維持』なら魚を配送できるかも。
それって、それって、すごい魔法じゃない!
もっと魚が身近なものになるわ。
キレイに咲いたバラがそのまま長持ちしたんだから……『状態維持』の可能性が高いんじゃないかと思う。
残念ながら、時間切れ。
ザブン滞在も明日までだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
394
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる