【完結】私は彼女になりたい

青井 海

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第3話 神社で

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雛子ちゃんの姿が見えなくなると、体の震えもおさまった。

さっきのは…
私の気のせい?

私は焼却場へと向かい、ゴミ捨て完了。
ふうっ、一息つく。

雛子ちゃんは森から出てきた。
森に何かあるの?
好奇心を押さえることができなかった私は、ザクザクと森に入ってきてしまった。

森には細い細い獣道があり、狭いものの難なく進むことができた。

少し歩くと、急に目の前が開けた。
広い空間には、古びた神社が建っていた。

神社なんてあったんだ。
鳥居には『青芝見神社』と彫られている。
学園と何か関係あるのかな。

制服のポケットには小銭入れが入っている。
とりあえずお参りしておこうかな。

私が鳥居をくぐると、どこからともなく老婆が現れた。
「お嬢さんにも、何か願い事があるのかい?よほどのことでないのなら、ここで祈るのはオススメしないよ。」

「どういうことですか?」

「この神社は特殊での。願いを叶える力が強すぎるんじゃ。悪いことは言わん。何も願わずにこのまま帰るんじゃ。」

ホレホレと手を振って、追い返される。


老婆に促されるまま、焼却場まで戻ってきてしまった。
そういえば、ゴミ箱を持ったままだった。
慌てて教室へと戻る。

教室には、もう誰もいなかった。
今は試験前で部活はあっていない。
掃除が終わり、みんな帰ってしまったのだろう。

誰か一人くらい私の帰りを待っててくれてもいいのに。

雛子ちゃんの周りにはいつも男性がいて、女友達がいないように見える。
だが、庇護欲をそそるタイプ。
世話焼きだったり、姉御肌の女性たちから世話をやかれ、仲良くしている。


私は陸上部で短距離を。
個人競技であるし、もともとなぜかみんなから距離をおかれている。
その上、部活が終わると明くんが迎えに来る為、部活の子達と交流することはほとんどない。

部活の中での人間関係を築く前に、明くんと付き合うことになり、校門前の出待ちの人にも彼の存在を知らしめる為にと、一緒に帰っていたから…

私、ひとりぼっちじゃない。 
いつもならすぐに明くんが迎えに来てくれて平気なのに。
今日は珍しく、私が彼を待っている。

一人でいると、なお一層、私はひとりだと感じて、どんどん悲しくなってきた。

雛子ちゃんは、未だに男性に囲まれて可哀想だなんて、偉そうによくそんなこと思えたものだ。
過去の自分は何様だったんだろう。


そういえば…
森から出てきた彼女のことが気にかかった。
雛子ちゃんは、きっと青芝見神社へ行ってたんだよね?

彼女も何も願わぬまま追い返された?
あの時、彼女は「神様、頼みましたよ。」とつぶやいた。

私は老婆に追い返されてしまったけれど、雛子ちゃんはお祈りしてたんだ。

いったい何を願ったのだろう。

今の私には、彼女ほど恵まれた人はいないように思えるのに。
これ以上、何を願うの?






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