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第22話 信じて
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今日はくるみとチョコを入れたパウンドとスイートポテトを持って、王宮へ来ている。
今日の護衛もレナールだ。
彼とは何度も出かけていて、信頼している。
お父様のところへ差し入れに行った後、リアム王子の元へ。
今日は応接室に通された。
入ると既にリアム王子が中で待っていた。
彼が先に居たのは初めてだ。
お菓子を手渡すと、メイドがすぐにお皿に並べてくれる。
「ん?今日新しいお菓子だね?」
リアム王子の顔に、ワクワクした感じ?楽しみにしてくれているのが、伝わってくる。
私の前でも、素の表情が出ている?
「はい。今日は新作です。くるみとチョコのパウンドケーキとスイートポテトをお持ちしました。まずは私が。」と毒味に一口食べると、王子もパクパクと上品に食べ始めた。
「これは、どちらも食感がいいな。それに美味しいね。また作った時には持ってきてくれないか?」
あっ、初めてのおねだり。
今日は初めてのことばかりね。
少しは心を許してくれたのかしら。
「クラリス嬢、これから僕のことはリアムと呼んでもらえないだろうか。そして君のことをクラリスと呼んでも構わないだろうか?」
リアム王子は鼻の頭を人差し指で触りながら聞いてきた。
「はい、リアム様。」言われたとおり、名前で呼び、ニコリと微笑むと、鼻の頭を触っていた彼の手が下がり、口を覆った。
耳が真っ赤だわ。
もしかして照れている?
調子に乗った私が、「リアム様は呼んでくださらないのですか?」と上目使いで首をコテンと傾けてみる。
これぞ貴族の技?
誰かやっていたなと真似てみる。
彼は私のリクエストに応え、「クラリス」と呼んだ。
照れくさそうにはにかんで呼び捨て。
わぁ~、すごい破壊力なんですけど。
調子に乗っていた私の頬が、耳が、真っ赤に染まる。
うっ、やられた。
胸が、胸がドキドキして苦しい。
このなんだかいい雰囲気を壊したくないのだが、この国の未来の為にも、きちんと伝えなければ。
「リアム様、国王の部屋に香を焚くのをやめさせていただけませんか?」
「なぜ、君が香のことを知っている?」リアム様が私のことを警戒する。
「リアム様は以前、妖精を探してましたよね?私は妖精から助言を受けたのです。」
「なに?妖精に会ったのか?なぜ報告しない?」
「妖精から許可がおりてからと思ったのです。残念ながら面会の許可は出ていません。ですが、助言はいただけました。香を止め、私の作る薬草入りのお菓子を食べると元気になるそうです。」
「なに?父の状態まで知っているのか?」
「はい。妖精と会話した私とセルジュ以外は知りません。誰にも話していません。」
「なるほど妖精は全てお見通しなのだな。」
しばらく考え込んだリアム様は、「わかったが、これからも内密に頼む。」と言い残し、去っていった。
どうにか信じてもらえたようだ。
早速 香を止めさせるのだろう。
私も薬草入りのお菓子を作らないと。
今日の護衛もレナールだ。
彼とは何度も出かけていて、信頼している。
お父様のところへ差し入れに行った後、リアム王子の元へ。
今日は応接室に通された。
入ると既にリアム王子が中で待っていた。
彼が先に居たのは初めてだ。
お菓子を手渡すと、メイドがすぐにお皿に並べてくれる。
「ん?今日新しいお菓子だね?」
リアム王子の顔に、ワクワクした感じ?楽しみにしてくれているのが、伝わってくる。
私の前でも、素の表情が出ている?
「はい。今日は新作です。くるみとチョコのパウンドケーキとスイートポテトをお持ちしました。まずは私が。」と毒味に一口食べると、王子もパクパクと上品に食べ始めた。
「これは、どちらも食感がいいな。それに美味しいね。また作った時には持ってきてくれないか?」
あっ、初めてのおねだり。
今日は初めてのことばかりね。
少しは心を許してくれたのかしら。
「クラリス嬢、これから僕のことはリアムと呼んでもらえないだろうか。そして君のことをクラリスと呼んでも構わないだろうか?」
リアム王子は鼻の頭を人差し指で触りながら聞いてきた。
「はい、リアム様。」言われたとおり、名前で呼び、ニコリと微笑むと、鼻の頭を触っていた彼の手が下がり、口を覆った。
耳が真っ赤だわ。
もしかして照れている?
調子に乗った私が、「リアム様は呼んでくださらないのですか?」と上目使いで首をコテンと傾けてみる。
これぞ貴族の技?
誰かやっていたなと真似てみる。
彼は私のリクエストに応え、「クラリス」と呼んだ。
照れくさそうにはにかんで呼び捨て。
わぁ~、すごい破壊力なんですけど。
調子に乗っていた私の頬が、耳が、真っ赤に染まる。
うっ、やられた。
胸が、胸がドキドキして苦しい。
このなんだかいい雰囲気を壊したくないのだが、この国の未来の為にも、きちんと伝えなければ。
「リアム様、国王の部屋に香を焚くのをやめさせていただけませんか?」
「なぜ、君が香のことを知っている?」リアム様が私のことを警戒する。
「リアム様は以前、妖精を探してましたよね?私は妖精から助言を受けたのです。」
「なに?妖精に会ったのか?なぜ報告しない?」
「妖精から許可がおりてからと思ったのです。残念ながら面会の許可は出ていません。ですが、助言はいただけました。香を止め、私の作る薬草入りのお菓子を食べると元気になるそうです。」
「なに?父の状態まで知っているのか?」
「はい。妖精と会話した私とセルジュ以外は知りません。誰にも話していません。」
「なるほど妖精は全てお見通しなのだな。」
しばらく考え込んだリアム様は、「わかったが、これからも内密に頼む。」と言い残し、去っていった。
どうにか信じてもらえたようだ。
早速 香を止めさせるのだろう。
私も薬草入りのお菓子を作らないと。
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