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第2話 気になる人
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翌日の放課後から、早速 練習が始まる。
すぐに楽器を吹けるかと思いきやそうではなかった。
校庭を走り、腹筋。
そして、お腹に両手を当てて、腹式呼吸の練習。
新入生の練習に、二年生の先輩が交代でついてくれている。
最後にまた口の形を作り、音を出す練習。
ある程度 音が出せるようになるまでは、この練習が続くようだ。
校庭の隅っこでフー、プー、と音を鳴らしながら、先輩たちが別の場所で奏でている音を聞く。
フルートの音色はすぐにわかった。
パート別の練習で紹介された先輩の中に、部活動体験で私がみつけたキレイな女性がいた。
先輩は、三年生の二階堂 穂花さん(にかいどう ほのか)
透き通るような白い肌に上品な顔立ち。
ふんわりとした笑顔には微かな色気が漂う。
うわ~、キレイだ。
女性の私でもやられてしまう美しさ。
数少ない男性部員は、みなポーッと先輩に見とれている。
わかるよ、つい目がいってしまうよね。
見ちゃうよね。
そしてもう一人。
こちらは女性を釘付けにしている。
サックス担当の二年生の中村 将生さん(なかむら まさき)
サックスを首に下げ、吹いている先輩の姿は、かっこよかった。
中村先輩を近くで観察してみると、彼は顔立ちが整っているというより雰囲気美人のようだ。
彼の持つ独特の雰囲気、
少し悪ぶっているというか、大人ぶっているというか、これにひかれてしまうのだろう。
一年生の私には、二年生、三年生は落ち着きがあり、ずいぶん大人に見えた。
部活動が終わると、優衣ちゃんと私は自転車で一緒に帰る。
優衣ちゃんもフルートの二階堂先輩とサックスの中村先輩の話をしていた。
みんな気になるとこは同じなんだと安心した。
別に男女のあれこればかりが気になるわけじゃないんだよ。
きちんと真面目に練習してる。
早く音が出せるようになりたい。
だけど、どうしても目がいってしまうんだから、仕方がない。
優衣ちゃんは先輩たちの話だけじゃなく、同級生の話もしていた。
彼は、小野寺 瞬くん(おのでら、しゅん)
優衣ちゃんと同じ五組の彼。
吹奏楽部のパートも同じサックスということで、仲良くなったらしい。
優衣ちゃんは五組、私は一組、
中学では残念ながら同じクラスになれなかった。
一組にも友達はできたし、移動教室や体育の時は、彼女たちと過ごしている。
それでも、私は優衣ちゃんと一緒に居たくて、昼の休み時間と放課後にはせっせと五組、優衣ちゃんの元へ通った。
最近の優衣ちゃんは、小野寺くんと一緒にいることが多い。
自然に私も小野寺くんと話すようになった。
小野寺 瞬くん。
中学一年で、まだ小柄な男の子たちの中では背が高く、ヒョロリとしている。
それでも重い楽器を支えるだけの力はあるようだ。
見た目は中村先輩のように華やかではない。
少しおでこが広いかなと思うくらいで、あとは黄金比なのではというくらいバランスの取れた整った顔をしていた。
目立たないから、視線は集まらないが、彼の魅力に気づく人は気づくだろう。
彼は穏やかで、話しやすかった。
人見知りしてしまう私でも、彼とならすんなりと話せた。
一緒に過ごす時間を重ねていくうちに、私はだんだん彼にひかれていった。
ようやく自分の恋心に気づいたのは、クリスマス目前だった。
まだ誰とも付き合ったことがない私には、好きな人ができたら告白するという発想がなかった。
胸がキュンキュンするような恋ではない。
彼と一緒にいるのは居心地よく、ふんわりと心が温かくなるような恋だ。
私にとっては、これが初恋だと思う。
吹奏楽部の友達四人で、部活帰りに話している時に、
「クリスマス近いよね、みんなは好きな人とか付き合ってる人いるの?」と、優衣ちゃんが切り出し、恋の話になった。
そして優衣ちゃんが言った。
「実は、私は小野寺くんのことが好きなんだ。クリスマスイブに告白するつもり。」
優衣ちゃんの告白する宣言に、周りは盛り上がる。
「えっ、小野寺くん?
仲良しとは思ってたけど。頑張って。」
「そうだったの?知らなかったよ。
応援するね。」
私は、突然の衝撃に何も言葉が返せなかった。
すると、優衣ちゃんが
「愛実ちゃんも応援してくれるよね?」
応援してもらえることを微塵も疑っていない顔で聞いてきた。
どうしよう。
どうすればいい?
「愛実ちゃんも一緒に応援しよーよ。
優衣ちゃんと小野寺くん、仲いいし、絶対うまくいくよ。」
周りの友達も、私の気持ちが彼に向いているとは、思ってもいないのだ。
それはそうだよね。
周りから見た私たちは、仲良しの小野寺くんと優衣ちゃんに、私がくっついているように見えただろうから。
「うん。私も応援するね。」
私も彼のことが好きだと、宣言する勇気が持てなかった私は、こう言うしかなかった。
私たちに、小野寺くんへの想いを語った優衣ちゃん。
それからの優衣ちゃんは積極的だった。
今まで以上に小野寺くんと一緒にいる姿を見かけるようになった。
そしてとうとうその日がやってきた。
「ごめんね。愛実ちゃん、今日は小野寺くんと二人で帰りたいから、先に帰ってて。」と言われた日。
優衣ちゃんは小野寺くんに告白したのだ。
すぐに楽器を吹けるかと思いきやそうではなかった。
校庭を走り、腹筋。
そして、お腹に両手を当てて、腹式呼吸の練習。
新入生の練習に、二年生の先輩が交代でついてくれている。
最後にまた口の形を作り、音を出す練習。
ある程度 音が出せるようになるまでは、この練習が続くようだ。
校庭の隅っこでフー、プー、と音を鳴らしながら、先輩たちが別の場所で奏でている音を聞く。
フルートの音色はすぐにわかった。
パート別の練習で紹介された先輩の中に、部活動体験で私がみつけたキレイな女性がいた。
先輩は、三年生の二階堂 穂花さん(にかいどう ほのか)
透き通るような白い肌に上品な顔立ち。
ふんわりとした笑顔には微かな色気が漂う。
うわ~、キレイだ。
女性の私でもやられてしまう美しさ。
数少ない男性部員は、みなポーッと先輩に見とれている。
わかるよ、つい目がいってしまうよね。
見ちゃうよね。
そしてもう一人。
こちらは女性を釘付けにしている。
サックス担当の二年生の中村 将生さん(なかむら まさき)
サックスを首に下げ、吹いている先輩の姿は、かっこよかった。
中村先輩を近くで観察してみると、彼は顔立ちが整っているというより雰囲気美人のようだ。
彼の持つ独特の雰囲気、
少し悪ぶっているというか、大人ぶっているというか、これにひかれてしまうのだろう。
一年生の私には、二年生、三年生は落ち着きがあり、ずいぶん大人に見えた。
部活動が終わると、優衣ちゃんと私は自転車で一緒に帰る。
優衣ちゃんもフルートの二階堂先輩とサックスの中村先輩の話をしていた。
みんな気になるとこは同じなんだと安心した。
別に男女のあれこればかりが気になるわけじゃないんだよ。
きちんと真面目に練習してる。
早く音が出せるようになりたい。
だけど、どうしても目がいってしまうんだから、仕方がない。
優衣ちゃんは先輩たちの話だけじゃなく、同級生の話もしていた。
彼は、小野寺 瞬くん(おのでら、しゅん)
優衣ちゃんと同じ五組の彼。
吹奏楽部のパートも同じサックスということで、仲良くなったらしい。
優衣ちゃんは五組、私は一組、
中学では残念ながら同じクラスになれなかった。
一組にも友達はできたし、移動教室や体育の時は、彼女たちと過ごしている。
それでも、私は優衣ちゃんと一緒に居たくて、昼の休み時間と放課後にはせっせと五組、優衣ちゃんの元へ通った。
最近の優衣ちゃんは、小野寺くんと一緒にいることが多い。
自然に私も小野寺くんと話すようになった。
小野寺 瞬くん。
中学一年で、まだ小柄な男の子たちの中では背が高く、ヒョロリとしている。
それでも重い楽器を支えるだけの力はあるようだ。
見た目は中村先輩のように華やかではない。
少しおでこが広いかなと思うくらいで、あとは黄金比なのではというくらいバランスの取れた整った顔をしていた。
目立たないから、視線は集まらないが、彼の魅力に気づく人は気づくだろう。
彼は穏やかで、話しやすかった。
人見知りしてしまう私でも、彼とならすんなりと話せた。
一緒に過ごす時間を重ねていくうちに、私はだんだん彼にひかれていった。
ようやく自分の恋心に気づいたのは、クリスマス目前だった。
まだ誰とも付き合ったことがない私には、好きな人ができたら告白するという発想がなかった。
胸がキュンキュンするような恋ではない。
彼と一緒にいるのは居心地よく、ふんわりと心が温かくなるような恋だ。
私にとっては、これが初恋だと思う。
吹奏楽部の友達四人で、部活帰りに話している時に、
「クリスマス近いよね、みんなは好きな人とか付き合ってる人いるの?」と、優衣ちゃんが切り出し、恋の話になった。
そして優衣ちゃんが言った。
「実は、私は小野寺くんのことが好きなんだ。クリスマスイブに告白するつもり。」
優衣ちゃんの告白する宣言に、周りは盛り上がる。
「えっ、小野寺くん?
仲良しとは思ってたけど。頑張って。」
「そうだったの?知らなかったよ。
応援するね。」
私は、突然の衝撃に何も言葉が返せなかった。
すると、優衣ちゃんが
「愛実ちゃんも応援してくれるよね?」
応援してもらえることを微塵も疑っていない顔で聞いてきた。
どうしよう。
どうすればいい?
「愛実ちゃんも一緒に応援しよーよ。
優衣ちゃんと小野寺くん、仲いいし、絶対うまくいくよ。」
周りの友達も、私の気持ちが彼に向いているとは、思ってもいないのだ。
それはそうだよね。
周りから見た私たちは、仲良しの小野寺くんと優衣ちゃんに、私がくっついているように見えただろうから。
「うん。私も応援するね。」
私も彼のことが好きだと、宣言する勇気が持てなかった私は、こう言うしかなかった。
私たちに、小野寺くんへの想いを語った優衣ちゃん。
それからの優衣ちゃんは積極的だった。
今まで以上に小野寺くんと一緒にいる姿を見かけるようになった。
そしてとうとうその日がやってきた。
「ごめんね。愛実ちゃん、今日は小野寺くんと二人で帰りたいから、先に帰ってて。」と言われた日。
優衣ちゃんは小野寺くんに告白したのだ。
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