【完結】落ちぶれてやるものか!伯爵令嬢、銭湯始めます。

青井 海

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第2話 婚約破棄

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突然、婚約破棄を告げられた私。
訳がわからない。
私の祖父が、事業で失敗して困っていた彼の祖父を助けたことで、繋がった縁。

10歳で婚約したラックス侯爵家 嫡男のアランとエッセン伯爵家 長女の私。
私たちの意志とは無関係。
3年前、我が家に跡継ぎとなる嫡男が産まれ、私が後を継ぐ必要がなくなった。
彼の祖父が、私の祖父への恩を返す為に結ばれた、完全なる政略であった。

初めての顔合わせ。
当時10歳だった私は、今よりもっと人見知りだった。
緊張して、恥ずかしくて…
うつむき、何も話せない私。

2歳上の彼は、優しく微笑み、話しかけてくれた。
柔らかそうな光輝く金色の髪。
透き通るような青い瞳に目を奪われる。

政略で結ばれた婚約ではあるが、定期的に互いの家を訪れ、良好な関係を育んできた。
少なくとも私は、そう思っていた。

「リーゼ、君はもっと理知的な人だと思っていた。どうも違ったようだ。
アリスをいじめたそうだな。かわいそうに、アリスは泣いていたぞ。
僕は君とは結婚できない。婚約は破棄させてもらう。」
アランが勢いよく告げる。

「これが書類だ。サインをして送り返してくれ。」と書類を差し出す彼。

アリスをいじめた?
男爵令嬢アリス・フォックス。
我が家を陥れたフォックス男爵の娘。
男爵には文句の一つでも言わないと気が済まないが、娘のアリスと私には接点がない。

もちろん会ったこともない。
とても愛らしい女性だと、噂で聞いたことがあるだけだ。

「何かの間違いです。私は会ったこともありません。」
震える声で、なんとか伝える。

借金を抱えた我が家。
いよいよ爵位を返上するのではとの噂が流れ始めている。
こんな時に、私の婚約が破棄されたら…侯爵家からの支援が見込めない。
不安でどうしようもない。

何とか書類を受け取ろうと、彼に近寄る。
「僕に近寄るな。」
何を勘違いしたのか、私が追いすがるとでも思ったのか、近づいた私をドンと押した彼。

ちょうどそこには、最後まで売るのを躊躇っていた大量の書物が積み上げられていた。
そこに私の肩が当たる。
ドサドサドサーと大きな音を立てながら、上から本が降ってくる。
「キャー。」
咄嗟に、頭を抱え、座り込む私。

侍女のマーサが、走ってくる。
「おじょうさまー。」
あと一歩のところで間に合わない。

私の叫び声を聞き付けた母が、慌ててやってきた。
「リーゼ、リーゼ。」
本に埋もれた私に気付き、かけ寄ってくる。

そんな中、大事になったと恐れをなしたアラン。
「僕は知らない。リーゼが悪いんだ。」と言葉を残し、彼は走り去ってしまった。

テーブルの上には、婚約破棄の書類だけが残っていた。








    
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