【完結】落ちぶれてやるものか!伯爵令嬢、銭湯始めます。

青井 海

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第15話 レオンの過去

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俺は、レオン・クリード。
クリード辺境伯家の嫡男として生まれた。
生まれた時から厳つい騎士団のおじさんに囲まれ、かわいがられて育った。

そんな俺には幼なじみの女性がいた。
騎士団長の娘 クロエ
緩くうねったキャラメル色の髪、緑の瞳。
クロエは、負けん気が強かった。

幼い頃から、剣の稽古、馬の遠乗り、勉強、いつも一緒。
クロエが、俺に勝負を挑む。
俺は、そんなクロエがかわいくて仕方がなかった。

いつしか彼女と愛を育み、結婚の約束をした。
そんな幸せな日々がずっと続くと思っていた。

それは突然だった。
クロエの乗る馬が暴走。
彼女は落馬し、俺の前からいなくなった。

彼女を失った俺は、荒れた。
その後、塞ぎ込んだ。
クロエを実の娘のようにかわいがっていた母。
母はあまり食事を取れなくなり、倒れてしまった。
心配した父から、母と共に、療養をすすめられる。
行き先は、母の遠縁の親戚が暮らすエッセン。
さすがに、辺境伯家の嫡男が療養と知られるわけにはいかない。
俺はただの護衛として、母に同行することが決まった。

エッセン。
森に囲まれた自然豊かな領地。
領民はみな親切で、温かい。
銭湯という、いい香りの大きな風呂。
果物や木の実を混ぜ込んだ初めて食べる菓子。

そのどれもに、心が癒されていく。
母の体調もよくなり、散歩できるまでに回復した。

少しでもその恩に報いたい。
俺は時間をみつけては、エッセン伯爵の息子ルーカスに剣の稽古をつけた。

ルーカスとその相棒テオに指導中、女性の叫び声が聞こえた。
急いで駆けつける。
そこには、エッセン伯爵の娘リーゼの姿。
彼女は連れ去られそうになりながらも、気丈に抵抗し、自ら戦おうとしていた。
敵が三人、護衛は一人。

俺は、瞬時に判断し、剣を振るった。
敵を倒し、彼女の傍へ。
彼女はフラフラと座り込んでしまった。
そこへルーカスとテオが来て、何とか立たせようとしている。
腰が抜けた彼女を支える。
子供の力では難しいようだ。

俺が彼女を抱き上げ、運んだ。
彼女をベッドへ下ろすと、彼女の家族が集まってきた。
後は家族に任せよう。
俺はその場から立ち去った。

彼女に名前を聞かれた時は、正直戸惑った。 
辺境伯家の嫡男だと知られるわけにはいかない。
偽名を伝えるべきか。
しかし、俺は本当の名前を伝えた。
彼女には、何故か嘘をつきたくなかったのだ。

それからというもの、母と俺が一緒にいると、決まって彼女が話しかけてくるようになった。
鬱陶しいと思っていた。
しかし彼女がいると、母は笑顔になり、俺も彼女の存在がいつしかとても大切なものになっていった。

俺たちは、クリードへ帰る。
すると、しばらくして彼女リーゼがやって来た。
また彼女に会えた。
俺は、それが嬉しくて、一歩踏み出してみようと決めた。

しかし、彼女のほうが先に気持ちを伝えてくれた。
こんな嬉しいことはない。
俺は、リーゼを強く抱き締めた。











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