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みやの

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第6章

9

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「……あー」
「マジ、ハル兄それ何回目?うっさいんだけど」

「296回目」
「数えてんのキモイ……」

俺の296回目らしい溜息を巡って真と寛貴が言い合いをしている。

「だって、律くんクリパ絶対来ると思ったのに……だから、パーティしようって提案したのに……」

「……珍しいと思った、ハル兄暇さえあれば誰かと遊ぶのに、クリスマス家にいるって聞いて」

真に呆れた顔をされるけど、俺は297回目の溜息を盛大に吐いた。

「はぁああぁ……」
「……何処がいいのあんな……あの人の……」

何かを言いかけた真を由伊が睨むと、真は気まずそうに目を逸らし、言い直した。

「うーん、良いところしか無いと思うけどそれは俺だけが知ってれば良いから、言わない」
「……うわぁ……益々キモイ」

蔑んだ目で見られるけど、どうでもいい。
好きな人の好きな所なんて自分だけが知ってれば良くないか。

もし万が一教えて、知ってしまった相手が俺も私もって群がっても面倒だ。

ましてや、その中に彼の好みそうな人間が居たらどうする。
抹殺だろ、マジで。

「そういう考えだから、あの人あんななんじゃないの?」

思春期で触れたら怪我するぜ、みたいな情緒の真が珍しく会話をしてくる。

「あんなってどういう事?」

首を傾げると、真は少し間を開けて言う。

「……だから、男のくせにナヨナヨしいっていうか頼りないっていうか、女みたいでキモイ」
「いくら妹でもそれ以上言ったら許さねぇぞ真」

キッと睨むと、真は罰が悪そうな顔をして、「……っほんと、今の兄貴マジで嫌い」と吐き捨てて自分の部屋に行ってしまった。

ったく、思春期の女は何かにつけて文句言いやがるんだから……。

「……兄貴さぁ、昔はもっと違かったじゃん。なんでそんなになったの?……真もそれが言いてぇんだよ」

寛貴に言われて由伊は黙る。

分かっている。
自分が変わった事。
それを周りが良しとしていない事。

変わった事によって多くの人間が離れていった。
褒めたのは両親だけ。
ダチは誰も居ない。
代わりに、良い顔して笑ってれば女が寄ってくるようになった。

男だって話しかけてはくれるけど、本当の友達にはなってくれない。
自分が欲して無かったっていうのも、あるけれど。

「良いんだよ、俺は。誰になんと言われようと昔の俺も、今の俺も、全部本物だから」
「…………水津(みづ)くんが会いたがってた」
「……」

寛貴の口から出た名前に、どくん、と胸が鳴る。
けどこの鳴りは、決して良いものでは無い。

「……アイツもどうせ、離れるよ」

自分にだって、綺麗な思い出ばかりじゃない。
だけれど今は、彼だけを見て綺麗なもので埋め尽くしたい。


……たとえ、誰に邪魔されようとも



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