ゴミ召喚士と呼ばれたスライム超特化テイマーの僕〜超特化が凄すぎて、最強スライムを育ててしまう〜

伊藤ほほほ

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 不安で不安でたまらない。
 静かな部屋でじっとしていると、焦りから体を動かしたくなってしまう。
 でも、レベルを上げたくても時間が足りないし、槍の練習をしたところで筋肉痛になるだけ。明日の決闘を前に、もはや意味がないのは分かってる。
 まあ、槍は学校に持っていかなきゃだから、家の倉庫に隠してあるんだけどね。
 決闘するなんてバレたら大変だし、それこそ雷が落ちる。
 ママは絶対にやめさせようとするだろう。学校にまで来ちゃうかもしれない。
 親になんて言えるはずないんだ。決闘を受けた時点で、僕もザンブと同じ恥ずかしい人間なんだから。
 ……だって、僕のちっぽけなプライドが原因なんだもん。

 僕がもう少し大人だったら、決闘になんてならなかった。
 いつもみたいに、ザンブなんて無視しておけばよかったんだ。
 でも、僕にはあいつが許せない。無神経に僕の全てを否定しようとしたザンブが。
 今回の適性診断は、ただのきっかけにすぎない。
 ザンブは、何かにつけて僕に言いがかりをつけてくる。
 遅かれ早かれ、決着をつける必要があったんだ。

「僕ら、勝てるよね? オークなんてへっちゃらだよね? 君たちのこと、信じてる。心から信じてるのに……何でこんなに怖いんだろう……」

 頭の中で、ザンブとの戦いを思い描く。
 召喚されたオークは4体。すべて、今日倒したオークと同じ強さだ。
 まずはこちらから奇襲して、対応できないうちに1体目が倒れる。
 ザンブの性格からして、まさか僕らにやられるなんて想像できないはずだ。
 慌てている間に、2体目、3体目と削っていく。
 立て直そうとしたところで残りは一体。僕の槍がオークの体を貫き、高らかに勝利を宣言する。

 ……こんなに簡単なわけない。
 何か僕が思いつかないような状況になったとき、正解にたどり着けるのだろうか。
 もし僕がつまずいて転んでしまったら、もしスラマルが敵に捕まってしまったら、もしコロゾーが恐怖で動けなくなってしまったら。
 僕らのうち誰か一人でも欠ければ、負けてしまう。
 もしかしてが、どうしようもなく怖いんだ。

「はは……ごめんね。僕がこんなんじゃダメだよね」

 机の上に広げた本。その左右で、僕が読み聞かせる内容を必死に理解しようとするスラマルとコロゾー。
 二人をギュッと抱き寄せる。こうでもしないと、耐えられない。

"どうしたのですかカイト様。大丈夫です、いつもみたいに主君の指示に従えば、絶対に間違いはありません!"

"そうですとも! このコロゾーは、オークとも戦えるスライムの中のスライムになりました。これもすべて、ご主人のおかげですぜ? 勝っても負けても、悔いはありません!"

 僕の心が弱っているのを察したのか、スラマルが励ましてくれる。
 悔いはない……か。コロゾーの言う通りだな。

「カイトー? そろそろご飯よー!」

 もうそんな時間か。
 悩んだり落ち込んだりしてたら、長いこと経ってたみたい。

「いただきまーす!」

 今日の夕飯は、オーク肉のトンカツだった。
 噛み締めると、口の中一杯に甘い脂と濃厚な肉汁が広がるんだ。炊き立てのご飯が進む進む。
 いい肉には塩だぞ……だなんてパパが言ってたけど、試してみたら大正解。ソースで食べるよりもお肉の味がはっきりするんだ。
 鼻がツーンとして涙が出ちゃうから、カラシはまだ試せないけどね。
 すっごく美味しくてびっくりしたんだけど、ご飯を食べ終えるともっと驚くことがあったんだ。

「スラちゃん、コロちゃん、お願いね?」

 ママが空になった食器を渡すと、僕の従魔が皿やらナイフやらを体の中に放り込んで、ピッカピカに洗っちゃったんだよね。
 助かるわぁ……とか言ってたけど、ママったらいつの間に覚えさせたんだろう。スラマルとコロゾーが自分からやり始めるわけないんだから。
 手の届かない棚の上とか、ベッドの隙間とか、お風呂掃除までやらせてるみたい。
 家事には欠かせない存在になっちゃってるんだってさ。
 たくましいというかなんというか……ママって、どこの家でもこんな感じなのかな?
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