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44話 生誕祭
しおりを挟む44話 生誕祭
アドリービット商会従業員
ルスティカ視点
毎年、贅を尽くされた生誕祭の晩餐を楽しみに潜入していたが、
今年はモデラート様から「期待はするな」と言われた。
そうは言っても王宮だぞ。それなりの飯は出てくるだろ。
リソルート様との婚約解消が、晩餐メニューにそこまで影響しないだろ。
ヴィヴァーチェ王女殿下の生誕祭は、例年なら上座には建国当時からの名門家が並ぶはずだが、今年はまるで違った。
隣にいた貴族らしき人物が『新旧交代の時代がきましたな』と鼻にかけた話し方をしていた。
バカな奴らだ。カウントダウンは始まっているというのに。
どうやらボンクラワインのペルデント侯爵家と繋がりのある貴族らしい。
それなりに賑わっている会談の際、若い貴族らしき者に「お忙しかったですね」と何気なく声をかけてみた。
どうやら予算調整のため招待客を大幅に減らした結果、王城の役人や侍女を来賓客に見立てた寄せ集めだと言う。
話を聞いた者も貴族の子息のため、『王女殿下の生誕祭参席のため仕事を休んだ』と嘆いていた。
ハッタリかけたつもりが、本当に労いの言葉になってしまった…
目の下にくまを作り、ため息まじりに話す彼に「君はよく頑張ったよ」と最後に慰めた。
期待をしていた晩餐は、例年なら新鮮な食材を生かした目も喜ぶ前菜に、ナイフやフォークまで美味しく味わっているような肉料理など、美食家が唸るほどのフルコースで十三皿ほどが招待客の胃袋を満たしていた。
しかし今回はたったの六皿だった。
本当に六皿だった…
どの料理も使われている食材は少なく、サラダの肉かと思えば、どうやらメインの肉料理だったらしい。食べ応えも旨みもない薄い肉。
どう考えても詐欺だろ…
貴族たちは気づかなかったようだが、王族の皿だけは厚みのある肉だった。
気づいてないと思っているのか。
ズルい奴らめ——
お土産のワインは例の侯爵のボンクラワインで、飲み飽きた上に、ありがた迷惑なことに一人につき十本も渡された。
何より衝撃的なのは、王女殿下が胸に紫色の宝石をぶら下げて、侯爵子息のエスコートで登場した。
あの石ころ、俺が海で拾って加工したやつだ。
我ながら上手く加工できている。
奴らにはあれぐらいでちょうどいいだろう。
そして国王陛下からは一言『婚約者候補』と紹介だった。
モデラート様の仰っていたことは正しかった。
『そうは言っても王宮だろ』と期待を残した俺がバカだった。
腹の虫が治まらないので、帰りにいつもの酒場で腹一杯食ってやった。
こっちの飯のほうが断然美味かった。
モデラート様に来年はご遠慮願いたいと懇願しよう。
でも、この様子じゃ来年はないかもな。
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