バケモノ貴公子は傷を負った令嬢を寵愛する

冬野 海

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122話 ヴィンテージと刻印

122話 ヴィンテージと刻印

ミスティア・レガート伯爵令嬢視点


初めて参列した新年の儀は、リソルート様があまりにもキラキラと輝いていて、私には眩しすぎた。
リソルート様はダンスのリードもとてもお上手で、不慣れな私が踊りやすいようにリードしてくださっている。
ホールの至る所から聞こえてくるリソルート様を褒め称える賞賛の声。

「ミスティア。素敵だ」

リソルート様の方が素敵すぎます…

次はリソルート様のお父様、レアソル大公閣下が私のお相手をしてくださった。
“大丈夫だ。好きに踊りなさい“と仰っているかのような自由で、それでいて見守ってくださるようなリード。

「ミスティア嬢、ダンスの腕前もドレスの着こなしも素晴らしい。
リソルートもよく褒めたかな?」

「はい…それはもう、過分なほどに」

あんなに褒め言葉のオンパレードをお聞かせいただけるとは思いませんでした…

踊り終えてレアソル大公閣下は、他の貴族の方からお声をかけられたので、離れて端に避けていると、

「あなたが私のお古をもらい受けた、ミスティア・レガート伯爵令嬢ね。フフッ…」
と声をかけられた。

この方は…確か、リソルート様の最初のご婚約者様?だったかしら?

お古……?お古を貰い受けたとは……

リソルート様のこと?

そうだとしたら、とても失礼な表現です。

だって——

「リソルート・レアソル大公子息様はお古ではなくて、建国時からの血筋を引いていらっしゃる、誇るべき“至宝のヴィンテージ”でいらっしゃいますわ。
でも常に自己研鑽を積まれて、知略も剣術も錆びることなく研ぎ澄まされて、新鮮なお方ですから…きっと“フレッシュでヴィンテージなお方”なのでしょうね」

それにリソルート様は剣の音色だって、とても卓越されています。
でもそれは内緒です。

「なんなの、それ!フレッシュなヴィンテージって!…あなたなんて、所詮…傷物令嬢くせに!」

まぁ。私のことよくご存知なのですね。

「えぇ。とても貴重なホワイトライオンに刻印を施していただきましたの。
よろしければ、お見せして差し上げたいのですが…
リソルート様から『僕以外には見せないように』とのお約束ですので…残念ですが…」

何故かとても睨まれているようです。
どうしましょう。失礼な発言をしたのでしょうか?

不意に後ろから「ミスティア」と呼ぶ声が。

振り返るとやっぱりリソルート様。
本当は振り返る前から分かっていました。

満天の星空を湖面に映したような、静かで高潔な香り。心がスーッと安らぐ香りです。

「ミスティア、疲れただろう?向こうにデザートがあるからいただこう。先に母上と行っておいで」

リソルート様、私が緊張して疲れていたことに気づいてくださった。

「はい。それでは失礼します。ピエトーソ侯爵夫人」

その時、リソルート様が軽くススッと右肩を撫でて——私にだけにそっとウィンクをくださった。

リソルート様!その魅力的なウィンクは反則です!

レアソル大公夫人と並んで歩けるなんて身に余る光栄だわ。
なぜかエスコートされているけど、良いのかしら?

ふと振り返ると、リソルート様はピエトーソ侯爵夫人と何かお話されている。
でもピエトーソ侯爵夫人の表情険しいわ。

レアソル大公夫人は気になさる様子もなく、

「ミスティア嬢、リソルートに視線を送る令嬢の目をよく覚えておいてね。
細く釣り上がったあの目は、人のモノを狙う女狐の目よ」と仰る。

はて?

「レアソル大公夫人、キツネの目はコロンとした丸く可愛い目をしているのに、どうして細く釣り上がった目と比喩されるのでしょうね」

「フフッ。ミスティア嬢。その調子よ」

レアソル大公夫人といただけるデザート、楽しみです。
待ってますね。リソルート様。
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