可愛いあの子には敵わない【完】

おはぎ

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可愛いあの子の友人は



――ウィリアムSide

「ディラン、さっきエドワード来てたぞ」

「えっ、あ、そ、そうなんだ……」

 級友でよく勉強を教えてくれるディランは、つい最近までエドワードと放課後一緒にいることが多かった。だが、最近は一緒にいる様子がないし、エドワードはよく魔法科に来るのだが決まってディランは不在なのだ。仲が良いと思っていたのだが、よそよそしい感じからしてなにかあったんだろうな。

 まあ、十中八九エドワードの幼馴染であるリンデルが入学してきたことが関係してるんだろうけど。

 エドワードとリンデルの噂はすぐに回ってきたし、学園の生徒ならみんな知っている。しかし、ディランとエドワードが特別な仲だと思っていたやつも少なくないため、一体どうなっているんだと密かに囁かれているのも事実だった。エドワードがそんな不誠実なことをするとは思えないし、魔法科に来るのはディランと話したいからじゃないのかとチラチラと見ているやつもいる。まぁ、魔法科はどちらかというと大人しいやつが多いから面と向かって二人にどうなってるんだと言えるやつはいない。

 仕方ない、俺が聞いてきてやるか。

 級友たちの静かな応援の目を受けて、ディランにさり気なくエドワードのことを聞くが言いにくそうで、家で勉強会をする約束を取り付けた。そして、ディランの誘いで泊まることになった。泊まりとなれば夜遅くまで遊べるし、勉強より楽しみになってきた!とわくわくしながらディランと教室を出ようとした時。エドワードが待ち構えていた。驚いた様子のディランだが、腕を掴まれていても嫌がっている風には見えない。

 ……ふむ、とりあえず煽るか!

 俺はディランとお泊まり会をするのだとエドワードに伝える。以前も泊まったことがあることもついでに言っておく。すると、明らかに苛立ちを含み、エドワードも来ると言い始めた。そして流れでエドワードの家に行くことに。ディランは困惑していたが、俺が先に返事をして承諾した。

 ……あからさまだな、おい。

 内心笑ってしまう、エドワードのディランへの扱い。だいたい、エドワードが勉強教えてもらう必要ないだろ。さっきから俺に構ってばっかりのディランに面白くなさそうな顔をして、ディランの手が空くとすぐに話し掛けてはさりげなく手に触れたり顔を近付けたりとアピールがすごい。休憩しようぜと俺がディランにちょっかいをかけると、苛立った様子で突っかかってきた。

 ……これで気付かないとは、エドワードも苦労するなぁ。

 そう思いつつ、丁度良いタイミングで適当な理由を付けて退出するか、と考えていると何を思ったかディランが帰ると言い出した。それを呼び止めるエドワードとディランが見つめ合っているのを横目に、驚いたふりをしながら仕事があると思い出したように言ってさっさと部屋を出た。

「手のかかるやつらだな~。まぁ、もう大丈夫だろ」

 エドワードの様子から、ディランに想いを寄せているのは明らかだし、この状況で逃がすほど馬鹿じゃないだろう。にしても、エドワードってもっと明るくて優しいイメージだったけど、あれは猫被ってるな。

 エドワードの家を出た俺は、腹減ってきたし何か食べて帰るかと街へと歩いていったのだった。

――

「いや、執着と独占欲やばすぎだろ」

 それから、エドワードとディランは付き合い始めたようで、魔法科まで迎えに来てはさりげなく腰を抱いたり、頭に唇を落としたり、髪に指を通したりと愛情表現がすごい。ディランは顔を赤くしながらも嫌がっている様子はなく、恥ずかしく思いそうなもんなのにと聞いてみると。

「え。あ、あれ、恥ずかしいけど、恋人なら当たり前なんだよね? 僕も慣れなきゃとは思ってるんだけど……」

 そう言って恥ずかしそうに笑ったディランに、あ~なるほど~と納得しながら笑ってしまった。エドワードのやつ、恋人という関係について自分に都合の良いようにディランに吹き込んでるな。

    それでも、エドワードは恋人を大切にする誠実な人というイメージが広がりつつあり、みんな何処見てんだとゲラゲラ笑ってしまった。めちゃくちゃ重たいし、執着やばすぎだろ。親にも紹介してるって何だよ、それを聞いて、「真剣なんだね、さすがエドワード君だよね」となる周りの連中もどうかとは思うが。

 そんな面白すぎる友人たちは、ついに指輪を見に行くらしい。普通、学生の恋人で指輪を見に行くやつなんていないぞ?ディランは指輪を見に行く意味を正式に理解していないんだろうな、と思いながらも言わずにおいてやる。

 エドワードは貴族籍を持っているため、その紋章が入った指輪を贈られることになる。それを贈られるということは、婚約者という意味になり、一種の契約の証となるのだ。つまり、ディランはそれを贈られた時点でエドワードと結婚することは確実となり、これは庶民であるディランからの破棄はできない。するとなれば莫大な違約金を支払うはめになるのだ。そんなことも説明していないのだろう、ディランは恋人ってすごいねと、ポヤポヤと笑っているのだから。級友として止めるべきかとも思うが、ディランがエドワードを好きなことは知っているし、幸せにしてくれるだろうという信頼もあるため、まぁいいのかと傍観している。

 なんだかんだ言っても俺も、エドワードは良いやつだ、というイメージを植え付けられてるのかもなと思い、苦笑したのだった。

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