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第4話 真実がわからないっ!
真実がわからないっ!⑧
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チクチクと胸が痛む。まるで締めつけられるような痛み。
チクリ
くっ、また。なんだこの胸の痛みは?
俺は何も間違っちゃいない。今以上に大切なものなんてあるか? 何を気にしてる? もしかして本心では過去が知りたくてウズウズしてるってのか?
いや、そんなことはない、散々考えた答えだ。迷うな!
もしかすると、これは罪悪感なのか? って、何のだよ!? そんなものでもない。じゃあ……何なんだよ?
モヤモヤと自問自答を続けているうちに、この痛みと似た感覚について思い当たってしまった。これはそう……恋愛にみるような感覚。恋人達の仲を引き裂くような、そんな痛み。
なんでアイに対してそんなこと思うんだ? 俺は間違いなくユウのことが好きなのに、この想いはいったい何だ? まさかこれが……これが過去の記憶だっていうのか?
遠ざかってゆくアイをずっと目で追いながら、言いようのない感情に戸惑っていた。
その時、河原から猫のキリオが飛び出してきた。お世辞にも人なつっこいとはいえない奴だが、ここにいる俺でもなく、あれから世話を続けているユウでもない、アイの足元にすりよった。
俺は、何か大事なことを見落としてないだろうか。
ふとユウとの会話が頭に思い浮かんだ。
『やっ、私じゃないよ!』
あの猫の名前について聞いた時のことだ。
『ただの偶然だろうけど、たまたま《キリオ》って呼ばれてるの聞いて……』
ユウではない誰かが猫に俺の名前をつけていた。まさか……アイだったのか?
頭の中で何かが繋がるように、アイから目が離せなくなる。そこに、ついさっき自分が口にした言葉が重なった。
― 過去を断ち切れ ―
なんてこと言っちまったんだ俺は!
駄目に決まってる。
これまで俺が関わってきた人との繋がりはどこにも消えちゃいない。全部残ってるんだ。ただ、俺がその繋がりを認識できてないだけ。目の前に見えてるはずなのに、それに気付かず壊してしまう。それだって痛みだ! 過去を知らなくていいワケなんてねぇ!
気が付くと勝手に足が動いていた。アイの元へ。
「待ってくれ!」
アイはこちらに振り向くことなく足を止めた。
「まだ何か用?」
「話を……話を聞かせてくれ!」
その言葉に反応してアイは振り向いた。
ブブブ ブブブブブ……
同時にスマホのバイブが振動する。俺の様子を見て、アイもそれに気付いたようだ。
「出たら?」
「ワリィ」
画面にある着信はユウからだった。まだ部活が終わるには早いよな?
「もしもし?」
『キリオ! キリオ! カオルがっ……!』
悲鳴に近い声がスマホから漏れるほど響いた。
「ユウ、どうしたんだ?」
『うぅ……ぁ』
発せようとした言葉が声になる前に詰まっていく。たぶんユウは……泣いていた。
「ユウ、そっと、ゆっくりでいいから」
なだめるように声を落とし、ユウが落ち着いて話せるまで待った。
電話の内容は《カオルが突然いなくなった》という連絡だった。
アイは何だかやりきれないといった表情を見せながら、「また日を改めましょう」と言った。今は俺もそれに了解し、ユウの元へ急いだ。
チクリ
くっ、また。なんだこの胸の痛みは?
俺は何も間違っちゃいない。今以上に大切なものなんてあるか? 何を気にしてる? もしかして本心では過去が知りたくてウズウズしてるってのか?
いや、そんなことはない、散々考えた答えだ。迷うな!
もしかすると、これは罪悪感なのか? って、何のだよ!? そんなものでもない。じゃあ……何なんだよ?
モヤモヤと自問自答を続けているうちに、この痛みと似た感覚について思い当たってしまった。これはそう……恋愛にみるような感覚。恋人達の仲を引き裂くような、そんな痛み。
なんでアイに対してそんなこと思うんだ? 俺は間違いなくユウのことが好きなのに、この想いはいったい何だ? まさかこれが……これが過去の記憶だっていうのか?
遠ざかってゆくアイをずっと目で追いながら、言いようのない感情に戸惑っていた。
その時、河原から猫のキリオが飛び出してきた。お世辞にも人なつっこいとはいえない奴だが、ここにいる俺でもなく、あれから世話を続けているユウでもない、アイの足元にすりよった。
俺は、何か大事なことを見落としてないだろうか。
ふとユウとの会話が頭に思い浮かんだ。
『やっ、私じゃないよ!』
あの猫の名前について聞いた時のことだ。
『ただの偶然だろうけど、たまたま《キリオ》って呼ばれてるの聞いて……』
ユウではない誰かが猫に俺の名前をつけていた。まさか……アイだったのか?
頭の中で何かが繋がるように、アイから目が離せなくなる。そこに、ついさっき自分が口にした言葉が重なった。
― 過去を断ち切れ ―
なんてこと言っちまったんだ俺は!
駄目に決まってる。
これまで俺が関わってきた人との繋がりはどこにも消えちゃいない。全部残ってるんだ。ただ、俺がその繋がりを認識できてないだけ。目の前に見えてるはずなのに、それに気付かず壊してしまう。それだって痛みだ! 過去を知らなくていいワケなんてねぇ!
気が付くと勝手に足が動いていた。アイの元へ。
「待ってくれ!」
アイはこちらに振り向くことなく足を止めた。
「まだ何か用?」
「話を……話を聞かせてくれ!」
その言葉に反応してアイは振り向いた。
ブブブ ブブブブブ……
同時にスマホのバイブが振動する。俺の様子を見て、アイもそれに気付いたようだ。
「出たら?」
「ワリィ」
画面にある着信はユウからだった。まだ部活が終わるには早いよな?
「もしもし?」
『キリオ! キリオ! カオルがっ……!』
悲鳴に近い声がスマホから漏れるほど響いた。
「ユウ、どうしたんだ?」
『うぅ……ぁ』
発せようとした言葉が声になる前に詰まっていく。たぶんユウは……泣いていた。
「ユウ、そっと、ゆっくりでいいから」
なだめるように声を落とし、ユウが落ち着いて話せるまで待った。
電話の内容は《カオルが突然いなくなった》という連絡だった。
アイは何だかやりきれないといった表情を見せながら、「また日を改めましょう」と言った。今は俺もそれに了解し、ユウの元へ急いだ。
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