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僕とメリッサの戦い
第三十五話 日差しそして
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天から降り注ぐ太陽の光の中、黒のヴァルキュリアは空を仰ぐ、雲の隙間から温かい日差しが彼女に差し込んできた。そして彼女は静かに笑った。
「そうか私は負けたのか……」
体は光に包まれている、ゆっくりとした時間が流れていき、最後の光を煌めかせる、彼女がもっていた残りの命の光りだ。
「最後の敵としては最高の敵だった。悔いはない……」
黒いヴァルキュリアが目を閉じるとすっと姿は消え去り、ただ石造りの塀が残すのみだった。辺りは静かで、まるで何事もなかったのように街ゆく人々の声が聴こえてくる。勝った……! あの大男に僕は勝ったんだ……。
「おい、佑月! 私たちは勝ったんだな!」
メリッサが喜んで抱きついてくる。僕はそっと彼女の髪の毛を撫でた。
「ああ、そうだよ。僕も信じられないくらいだ」
メリッサの笑顔に勝利を改めて実感する、僕はあの大男に勝ったんだ、しかも完勝、ストレスから解放され、ふつふつと喜びがわいてくる。
「作戦を聞かされたときは、半信半疑だった。相手をフラフラになるまで追い込むことが主な目的で、むかしは装甲車をぶち抜くように作られた対物狙撃銃で打ち抜くなんて」
メリッサは可愛らしく小さい体を飛び上がらせてぴょんぴょん跳ねた。
「僕の腕じゃ、動いてる敵は狙撃できないだろうからね、距離も近くないといけない、奴をだいぶ弱らせる必要があった。
やはりあいつもバレットM99のマグナム弾相手では貫通力を殺せなかったようだ。もし、あれでもはじかれたら僕の世界の文明の終焉を感じただろうね」
「一撃でも食らったら致命傷という中でよくやったな佑月! お前を選んで正解だった流石だぞ! 完璧だった、やったな!」
「メリッサのサポートがあってこそだよ、黒のヴァルキュリア相手によく上手く立ち回り僕に武器を与えてくれた、君の活躍がなければ僕はあっさり死んでいた。ありがとうメリッサ」
「ふふふ……」
喜びのあまりメリッサは首に手を回しキスをしようとする、でも身長が届かず、ぴょんぴょん跳ねているだけだったので、僕は膝を折り熱いキスのプレゼントを受け取った。
「ん……ん……ん…………」
とろけるような情熱のキス、僕は勝利の喜びを感じ絶頂の気分だった、舌を絡めつけ唾液の糸を引く。これが大人の快感というものなのか。
「佑月お前は最高のパートナーだ、私はここまで成長してくれて嬉しい。もっともっと私を喜ばせてくれ、お前といると楽しくてたまらない」
「僕もだよ、メリッサ」
もう一度口づけをかわす、こうしていると僕とメリッサがつながってる気分になる、かつてない幸福感を味わっていた。だがその束の間……!
――突然武装した人々が僕たちを囲んできた。
「この騒ぎを起こしたのはお前たちか!」
武装した兵士がよくわからない言葉で叫んでいた。
「どういうことだ。メリッサ」
「警護の兵士に見つかった。これだけ騒ぎを起こせば当然だな」
冷静メリッサに対して兵士が怒鳴るように叫びはじめた。
「お前たちこちらに来てもらう、抵抗すると命はないぞ!」
そう言って兵士は僕の手を引っ張った。
「何をする! 離せ!」
僕が叫ぶが何せ現地人と言葉が通じないからどうしようもない。
「佑月! 抵抗するな! おとなしく相手のなすがままに任せろ」
ここじゃあ勝手がわからない、仕方ない彼女の言う通りにすることにする。しかし、僕とメリッサは兵士たちに引き離されたのだ。
「メリッサ!」
何があったのか、わからない。結局、僕は何が何だかわからないまま兵士たちに連れられ牢屋に入れられてしまったのだ。
――――――――――――――――――――――――――――
暗い暗い石造りの牢屋。窓は縦横15cmほどで光がほとんど入らない。勝利に酔いしれる間もない間、暗澹とした気持ちになる。
何もすることがない、時折よこからうめき声が聞こえる。何故このような場所に入れられなければならないのか、僕には理解できない。騒いだのが原因か? 彼らにとって奇妙な武器を持っているからか?
はたまた外人だからなのか? 考えめぐらせるが泥沼、鬱になるだけだ。やめよう。
メリッサはどうしているだろう。ひどい目に遭わされていないだろうか。まさか彼女の体を狙って……! ――理不尽な目にあわされて、ふつふつと怒りが沸き起こる。
「おい! ここから出せ! メリッサに会わせろ!」
思いっきり僕は叫んだ。
「うるせえぞ! 黙れ! 訳のわからない言葉でわめくな!」
怒鳴り声が聞こえるが僕は気にしない。
「出せ! 出せ!」
僕が叫び続けると兵士たちが集まり牢を開けた、やつらは野蛮にもガントレットをはめたままで僕を殴った、そうやって、僕が言葉を出し続ける限り殴られ続けてしまった。……くそっ、何でこんな目に……!
僕が押し黙ると、兵士は牢の鍵を閉めて立ち去っていく。ああ、もう! なんなんだ一体! 武器さえあればこんな奴ら……、口から流れる血を拭い歯ぎしりをし始めた。
メリッサは何故、抵抗するなと行ったのだろうか? こんな野蛮人ども銃で全部……。自分考えてそして思い浮かんだ発想でぞっとする。自分がずいぶんと野蛮化したことにきづいた、環境に慣れるとは恐ろしいものだ、今の僕は平気で人を殺すだろう。
少し自分が嫌になる、過酷なラグナロクの戦いの中、メリッサさえいれば自分が保たれてきた。しかし、孤独は人をおかしくする、僕はメリッサに救われているのだと改めて気づく。──メリッサ……無事にいてくれ……。
食事は一日一回。粗末で硬いパンとまずい粥のスープが運ばれてきた。最初は食べるのをためらっていたが、腹が空いてきたため仕方なく食べる。くそまずい、どうやったらこんなにまずい飯を人に食わせられるのか、この世界の舌のおかしさに僕は絶望する。
メリッサの料理はうまかった、ああメリッサの食事が食べたいな。彼女がいればいいのにな──。
――二日目――
なにもない、ぴとぴとと水滴の音がする、石の上では眠れない。壁にもたれかかって数時間寝て起きる、それをずっと続けていた。
――三日目――
なにもない、水の音がうるさい。うめき声がうるさい、やめろやめろ。こいつら外に出たらこの牢ごと爆破してやる、楽しみだ。
――四日目――
何もかもがめんどくさい目を開けるのもめんどくさい、手を動かすのもめんどくさい、足なんて動かさなくていい。
投げやりになっていると、男の足音が聞こえてくる。何だ、飯の時間がはやいじゃないか。僕の牢が開けられ、手首にロープを結ばれたまま、兵士たちに連れて行かれる。館をめぐっていき、大きな扉の目の前で止まった。
ここに入れというのか。兵士たちが扉を開けた。そこで目にしたものは――。そう、彼女、メリッサだった。
「そうか私は負けたのか……」
体は光に包まれている、ゆっくりとした時間が流れていき、最後の光を煌めかせる、彼女がもっていた残りの命の光りだ。
「最後の敵としては最高の敵だった。悔いはない……」
黒いヴァルキュリアが目を閉じるとすっと姿は消え去り、ただ石造りの塀が残すのみだった。辺りは静かで、まるで何事もなかったのように街ゆく人々の声が聴こえてくる。勝った……! あの大男に僕は勝ったんだ……。
「おい、佑月! 私たちは勝ったんだな!」
メリッサが喜んで抱きついてくる。僕はそっと彼女の髪の毛を撫でた。
「ああ、そうだよ。僕も信じられないくらいだ」
メリッサの笑顔に勝利を改めて実感する、僕はあの大男に勝ったんだ、しかも完勝、ストレスから解放され、ふつふつと喜びがわいてくる。
「作戦を聞かされたときは、半信半疑だった。相手をフラフラになるまで追い込むことが主な目的で、むかしは装甲車をぶち抜くように作られた対物狙撃銃で打ち抜くなんて」
メリッサは可愛らしく小さい体を飛び上がらせてぴょんぴょん跳ねた。
「僕の腕じゃ、動いてる敵は狙撃できないだろうからね、距離も近くないといけない、奴をだいぶ弱らせる必要があった。
やはりあいつもバレットM99のマグナム弾相手では貫通力を殺せなかったようだ。もし、あれでもはじかれたら僕の世界の文明の終焉を感じただろうね」
「一撃でも食らったら致命傷という中でよくやったな佑月! お前を選んで正解だった流石だぞ! 完璧だった、やったな!」
「メリッサのサポートがあってこそだよ、黒のヴァルキュリア相手によく上手く立ち回り僕に武器を与えてくれた、君の活躍がなければ僕はあっさり死んでいた。ありがとうメリッサ」
「ふふふ……」
喜びのあまりメリッサは首に手を回しキスをしようとする、でも身長が届かず、ぴょんぴょん跳ねているだけだったので、僕は膝を折り熱いキスのプレゼントを受け取った。
「ん……ん……ん…………」
とろけるような情熱のキス、僕は勝利の喜びを感じ絶頂の気分だった、舌を絡めつけ唾液の糸を引く。これが大人の快感というものなのか。
「佑月お前は最高のパートナーだ、私はここまで成長してくれて嬉しい。もっともっと私を喜ばせてくれ、お前といると楽しくてたまらない」
「僕もだよ、メリッサ」
もう一度口づけをかわす、こうしていると僕とメリッサがつながってる気分になる、かつてない幸福感を味わっていた。だがその束の間……!
――突然武装した人々が僕たちを囲んできた。
「この騒ぎを起こしたのはお前たちか!」
武装した兵士がよくわからない言葉で叫んでいた。
「どういうことだ。メリッサ」
「警護の兵士に見つかった。これだけ騒ぎを起こせば当然だな」
冷静メリッサに対して兵士が怒鳴るように叫びはじめた。
「お前たちこちらに来てもらう、抵抗すると命はないぞ!」
そう言って兵士は僕の手を引っ張った。
「何をする! 離せ!」
僕が叫ぶが何せ現地人と言葉が通じないからどうしようもない。
「佑月! 抵抗するな! おとなしく相手のなすがままに任せろ」
ここじゃあ勝手がわからない、仕方ない彼女の言う通りにすることにする。しかし、僕とメリッサは兵士たちに引き離されたのだ。
「メリッサ!」
何があったのか、わからない。結局、僕は何が何だかわからないまま兵士たちに連れられ牢屋に入れられてしまったのだ。
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暗い暗い石造りの牢屋。窓は縦横15cmほどで光がほとんど入らない。勝利に酔いしれる間もない間、暗澹とした気持ちになる。
何もすることがない、時折よこからうめき声が聞こえる。何故このような場所に入れられなければならないのか、僕には理解できない。騒いだのが原因か? 彼らにとって奇妙な武器を持っているからか?
はたまた外人だからなのか? 考えめぐらせるが泥沼、鬱になるだけだ。やめよう。
メリッサはどうしているだろう。ひどい目に遭わされていないだろうか。まさか彼女の体を狙って……! ――理不尽な目にあわされて、ふつふつと怒りが沸き起こる。
「おい! ここから出せ! メリッサに会わせろ!」
思いっきり僕は叫んだ。
「うるせえぞ! 黙れ! 訳のわからない言葉でわめくな!」
怒鳴り声が聞こえるが僕は気にしない。
「出せ! 出せ!」
僕が叫び続けると兵士たちが集まり牢を開けた、やつらは野蛮にもガントレットをはめたままで僕を殴った、そうやって、僕が言葉を出し続ける限り殴られ続けてしまった。……くそっ、何でこんな目に……!
僕が押し黙ると、兵士は牢の鍵を閉めて立ち去っていく。ああ、もう! なんなんだ一体! 武器さえあればこんな奴ら……、口から流れる血を拭い歯ぎしりをし始めた。
メリッサは何故、抵抗するなと行ったのだろうか? こんな野蛮人ども銃で全部……。自分考えてそして思い浮かんだ発想でぞっとする。自分がずいぶんと野蛮化したことにきづいた、環境に慣れるとは恐ろしいものだ、今の僕は平気で人を殺すだろう。
少し自分が嫌になる、過酷なラグナロクの戦いの中、メリッサさえいれば自分が保たれてきた。しかし、孤独は人をおかしくする、僕はメリッサに救われているのだと改めて気づく。──メリッサ……無事にいてくれ……。
食事は一日一回。粗末で硬いパンとまずい粥のスープが運ばれてきた。最初は食べるのをためらっていたが、腹が空いてきたため仕方なく食べる。くそまずい、どうやったらこんなにまずい飯を人に食わせられるのか、この世界の舌のおかしさに僕は絶望する。
メリッサの料理はうまかった、ああメリッサの食事が食べたいな。彼女がいればいいのにな──。
――二日目――
なにもない、ぴとぴとと水滴の音がする、石の上では眠れない。壁にもたれかかって数時間寝て起きる、それをずっと続けていた。
――三日目――
なにもない、水の音がうるさい。うめき声がうるさい、やめろやめろ。こいつら外に出たらこの牢ごと爆破してやる、楽しみだ。
――四日目――
何もかもがめんどくさい目を開けるのもめんどくさい、手を動かすのもめんどくさい、足なんて動かさなくていい。
投げやりになっていると、男の足音が聞こえてくる。何だ、飯の時間がはやいじゃないか。僕の牢が開けられ、手首にロープを結ばれたまま、兵士たちに連れて行かれる。館をめぐっていき、大きな扉の目の前で止まった。
ここに入れというのか。兵士たちが扉を開けた。そこで目にしたものは――。そう、彼女、メリッサだった。
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