ヴァルキュリア・サーガ~The End of All Stories~

琉奈川さとし

文字の大きさ
131 / 211
ウェディングロード

第百三十一話 仲間探し

しおりを挟む
RPG-32を肩にかけ橋を狙う。RPG-32とは携帯式対戦車榴弾発射器 つまりグレネードランチャーで、わかりやすく述べるとバズーカと言えば理解してもらえるだろうか。前にも使ったが対戦車兵器として優秀でそこら辺の戦車なら余裕で破壊できる威力を持つ。

 エインヘリャルの気配をメリッサが察知したので、特定した後、いったん距離をとってターゲットが橋を渡っている瞬間を今狙っていた。

 狙うのは人ではない橋の部分だ。アーチ型の石造りの橋脚をしており、頑丈な橋で横幅30メートルといったところか。

 僕はトリガーを引いた瞬間、轟音を立てて、榴弾は発射され橋脚を破壊する。ちょっと耳の奥が痛い。そして橋が崩壊し石の破片が上にいる人ごと川へと落ちていく。

 その後川で人々が溺れていた。そんな中、目標のエインヘリャルを発見した。それを見ながら武器を交換出来る時間を待つ。
 
「メリッサ、そろそろいいか」
「ああ、いいぞ」

 僕はMP7A1に武器を交換した、すぐさまフルオートで、溺れているエインヘリャルを蜂の巣にした。結果、別にこちらにも住人にも何の被害もなくエインヘリャルを仕留めた。まあ誰かおぼれて死んだら知らない。最近これが毎日の日課になってきたんだ。

「これで殺害数二十人だったか?」

 ため息をつきながらメリッサはこちらに向いた。

「いや、二十一人だ。後ろのエインヘリャルもついでに始末した」
「おめでとう、立派な殺人鬼だ」

「ありがとう、ケーキの用意をしてくれ」

 軽いジョークを交えながら、宿へと僕たちは帰る。部屋の中ではエイミアがナオコの世話をしてくれていた。彼女らは人形遊びの最中でわいわい言いながら楽しんでみたいだった。

 僕が前、人形で演技した時は口ではワーとか言いながらもあとでつまんないとか言われた、くそ、エイミアとだと喜ぶんだな。軽い嫉妬に駆られながらベッドに腰を据え、すっとエイミアはこちらを向いて「どうだった?」と尋ねてくる。
 
「また負け戦だよ」

 僕は、うんざりした様子で答える。

「あらら、見込みあるエインヘリャルがいなかったというわけね」

 メリッサも僕と似たような気分なのだろう。苦虫を噛み潰したような表情をしていた。

「闘技大会が開かれるせいかエインヘリャルとの遭遇率が高いな。これなら仲間に出来るようなものもすぐに見つかると思っていた。しかし、たいしたことない奴でも困るし、かといってアウティスや日向直子レベルが仲間になると、裏切られたときにこちらの方がやられる可能性が高い。

 佑月は駆け引きで戦うタイプで真っ向勝負になると不利だからな」

 ベッドに僕は横になり、うんと手足を伸ばす。

「そうだね仲間集めも大変だ、たいしたことない奴を仲間にしても意味がないし、かといってそれなりに強いエインヘリャルと遭遇するのは難しい。この世界に来て最初の頃、強いエインヘリャルばかりに当たっていたのは何だったんだろうか」

 メリッサは、僕が寝転んだベッドに座りこちらの髪の毛をなでる。

「それ、……お前が強くなりすぎたんじゃないか」
「そうかな……そうだといいのだけれど」

 僕たちの様子を見て、ナオコはこっちのほうによってきてくれた、そして一言。

「パパ! 悪い子だね」

 思わず僕はぎょっとする。子どもというのは少し怖い生き物だ。

「どうして、僕が悪い子なんだい」
「私のこと、いつも置いてきぼりにするからだよ」

 ああ、そうか。そういえばそうだったな。

「ゴメン、ゴメン。今度ちゃんと遊んであげるからな」
「うん!」

 ああ相変わらず素直でいい子だ。こんな子を寂しがらせるなんて僕は本当に悪い子だ。

 そんな日々が過ぎながら、僕たちの旅路は続く。森の中、木々が笑い小鳥がやわらかにささやいていた、長い長い道。僕たちは、コルドへと足を進める。もちろん結婚式を挙げるためだ。

 山道を徒歩で歩くとかなり辛い、それでも僕には家族がいる。和やかに雑談をしながら道を歩いて行った、こうやって旅するのも久しぶりだ、やっぱり僕にはメリッサがいないとな。
 
 そうこうしているうちに彼女は僕の腕を絡め取り柔らかい胸を押しつけてきた、彼女の嬉しそうな表情を見て、メリッサは本当僕のことが好きなんだなっと思う。それに加えてエイミアが僕の腕に絡めてきた。
 
「ねえ、ねえ、お姉さんすごくおっぱいあるでしょう。メリッサちゃんに勝っちゃった」

 ああ、そういえば邪魔者がいたな、その言葉にメリッサの目がギラリと光りエイミアをけん制する。僕は相手しないように腕を振りほどこうとすると、エイミアががっしりしがみついてくる。めっちゃ力有り余っているじゃないか、僕にもその筋力くれよ、最強のヴァルキュリアなんだろ。

「──エイミア! 佑月が嫌がっているだろう」

 メリッサが援護に来てくれた。ありがたいさすが僕の妻だ。

「ええ!? 佑月って私のおっぱいって形が良くて揉みごこちが良いて言ってくれたよ」
「違っ……」
「そんなこと言うか、お前の嘘には私は騙されないぞ!」
 
 僕が否定する前にメリッサが否定し、エイミアと彼女が火花を散らす。
 
「また、そんな嘘ばっかりついて。恥ずかしいとは思わないのか!」
「そうねお姉さん、どっちかって言うと突かれたい。バックでガンガンと」

「なっ!?」

 顔を真っ赤にする銀色の乙女。ストレートな下ネタ苦手な娘だからね、純だから。

「ふ、ふざけるな、バカ! バカ! バカ!」

 僕の腕を引っ張り真っ赤になった顔を僕の腕で隠そうとする。若いなあ。

「で、イチャイチャするのも良いけど敵が来たわよ」

 エイミアの突然の声に僕ははっとした。

「――メリッサ・ヴァルキュリア、僕に力を貸せ」

 僕はSG552アサルトライフルを手にする。──周りは森。どこから来てもおかしくない。

「エイミア、ナオコのカバーを頼む」
「どうせ必要ないと思うけどね、まあ、オッケー」

 どこだ、どこからくる……! 右手の草陰から矢が飛び出してきた、とっさに僕は後ろへとかわした。相手に次の矢をつがえさせる前に、矢が飛んできた方向に僕の銃が火を噴いた!

「イッテぇぇぇぇ――!!」

 リズミカルなバースト射撃の音の後に男の叫び声が聞こえる。すると突然左手の草陰から黒い長い髪の美しい女性が飛び出してきた!! そして、僕に向かって地をはいつくばった! そして何度も頭を下げる!

「ごめんなさい! ごめんなさい! 許してください! 彼も悪気はなかったんです。どうか私たちを許してください!」

 え、なんだ……この展開は……! どういうことだ?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

拾われ子のスイ

蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】 記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。 幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。 老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。 ――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。 スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。 出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。 清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。 これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。 ※週2回(木・日)更新。 ※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。 ※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載) ※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。 ※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...