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ウェディングロード
第百三十話 闘技大会からの誘い②
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「チーム制でヴァルキュリアをあわせて10対10の戦争になるということか」
メリッサは考え込む。対しクラリーナは晴れ晴れした様子だった。
「はい、そうなります。一対一の一人ごとに対戦するのではなく一斉に戦います。これは個人の能力で勝つだけではなくチームの戦術が必要になって、どんな個性的なエインヘリャルでも参加出来るよう考慮しました」
なるほど一人で戦うと、どうしても参加を嫌がる個体能力が弱いエインヘリャルが出てくる。それをチーム力でカバーして広く誰でも戦えるように工夫したんだな。そうなるとチームの戦術、組織力、ストロングポイントが重要になってくる。
そう考えると結構、僕向けの大会かもしれないな。
「わかった、参加は変わらない。人数を集めるのに何かしら制限はありますか?」
「ありません。参加権のある方が自由に選んで結構です」
そしてどんどんメリッサが疑問点をあぶり出していく。
「試合途中で死んだ場合、人数は補充して良いのか?」
「いいえ、補充は許可しません。試合の結果、生き残った人だけが次へと進めます」
「最終的に二対二になる可能性があるわけだな」
「そうですね、最悪の場合は二対十になる可能性があります。序盤戦のチーム力が鍵となるでしょうね」
最初は人数が多い戦いになって徐々に減っていく仕組みか。どれだけ生き残りを増やせるかが問題だ。
「他には質問はありませんか?」
「特には」
僕が、クラリーナに応える。今のところはない。やってみないとよくわからない問題が生じるだろう。そこは僕の適応力が試されるわけだ。
「それでは開催日は三ヶ月後、聖都マハロブで行われます。その時までに人数を集めてマハロブに来てください」
「わかりました」
突然の知らせに僕は未知の戦いへと心を躍らせている。こういう感覚を待っていた。
「何かすごいことになっちゃったね。ナオコちゃん美味しい?」
僕たちはクラリーナに別れを告げた後、客室でナオコと一緒にスープを飲んでいる。甘くクリーミーなスープで、もちろん五つ星シェフのメリッサが作ったものだ。
「おいしー! ママ最高――」
メリッサはそれを優しい目で見つめながら、
「三ヶ月先なら結婚式の準備をしながら仲間を集められるな、で、どうやって集めるつもりだ?」
と、メリッサは僕に尋ねてきた。
「今までと変わらない、普通にエインヘリャルと出会って普通に戦って見込みありそうなら仲間に誘う」
エイミアはそれにうなずいた。
「当面はそれで良さそうね、やばくなったら聖都マハロブの近くでチームを強奪すればいいだけだし」
おい、何故エイミアがこんなにのる気満々なんだ。参加するつもりなのか、どこかでエインヘリャルを強奪して。メリッサはため息をつく。
「どうしたんだい、メリッサ。僕は何か間違った選択したかな?」
「いや、これでいいとおもうが、何やら気が重い。人が増えるということは面倒ごとが増える。佑月はリーダーシップが取れるのか?」
「中学校の環境委員会の委員長になったことがある」
……くじ引きで。
「ちゅうがっこうって何?」
ナオコがよくわからないといった感じで聞いてくる。どう説明しようか。
「勉強を修行する場所だ」
メリッサがさらりと応える。修行って、僕はこのかた夏休みの宿題すらまともにしたことないぞ。
「へえーパパも頑張ったんだね、私も頑張る」
こくりとナオコは小さくうなずいた。僕はそれに対して、
「そうだぞ、勉強嫌いな子は、いい大人になれないぞ」
僕みたいな人生落伍者になると困る、勉強はした方が良い、親というものは自分ができないことを子どもに押しつけるものだ。
「ふむー、なるほどね、パパはそんなに頑張らなかったんだね!」
うるさいよーばーか、ナオコの冗談に僕も含めてみんなして笑った。
夜が更け、静寂が訪れる。部屋の中はナオコとメリッサと僕の三人で、ベッドに僕は入り込む。ナオコを寝かしつけるメリッサ。横からすうすうと寝息の音が聞こえてくる。僕が目をつぶるとメリッサがこっちのベッドに入り込む。
「起きているか」
「起きているよ、どうしたんだい、メリッサ」
僕はメリッサのほうに顔を向ける。すると視界は銀色の乙女が支配した。さらりと絹の糸のような髪の毛、フサリと音が立ちそうなまつげ、白く輝く透き通った肌、この娘と僕は結婚式を挙げる。その現実感が増すと胸がほてってくる。
薄桃色の唇から言葉が漏れてきた。
「私たち結婚するんだな」
「そうだよ、僕がいやになったかい?」
「まさか、私はお前に惚れている、ただ嬉しくて、またどこか不安で変なんだ」
「君が逃げてしまわないように抱きしめるよ」
メリッサの小さな体を抱きしめる。あたたかくて柔らかい、この娘が僕と結婚する、それは男として冥利に尽きる。メリッサも僕の体を抱きしめてきた、柔らかな胸が僕の胸に当たる。
「……ああ、私は守られているんだな。嬉しいな。もう、お前を離れたりしないからな、ずっといっしょにいような」
「ありがとう、僕も君を離さないと約束するよ。誰よりも君を愛しているから」
「嬉しい、今日は良い夢が見られそうだ。いままで男の胸に抱かれて眠ることがこんなにも嬉しいものだなんて思ってもいなかった」
「可愛いよ、メリッサ」
「かっこいいぞ、佑月」
そう言って僕たちはおやすみのキスをする、この唇はくせになる、またここから愛が生まれる、僕たちはきっと世界で一番幸せな男と女だ。目をつぶり、深い眠りにつき、そして、夢の中でもメリッサに会えた。こんなにも幸せで良いのかと神を叱りたくなったよ。
メリッサは考え込む。対しクラリーナは晴れ晴れした様子だった。
「はい、そうなります。一対一の一人ごとに対戦するのではなく一斉に戦います。これは個人の能力で勝つだけではなくチームの戦術が必要になって、どんな個性的なエインヘリャルでも参加出来るよう考慮しました」
なるほど一人で戦うと、どうしても参加を嫌がる個体能力が弱いエインヘリャルが出てくる。それをチーム力でカバーして広く誰でも戦えるように工夫したんだな。そうなるとチームの戦術、組織力、ストロングポイントが重要になってくる。
そう考えると結構、僕向けの大会かもしれないな。
「わかった、参加は変わらない。人数を集めるのに何かしら制限はありますか?」
「ありません。参加権のある方が自由に選んで結構です」
そしてどんどんメリッサが疑問点をあぶり出していく。
「試合途中で死んだ場合、人数は補充して良いのか?」
「いいえ、補充は許可しません。試合の結果、生き残った人だけが次へと進めます」
「最終的に二対二になる可能性があるわけだな」
「そうですね、最悪の場合は二対十になる可能性があります。序盤戦のチーム力が鍵となるでしょうね」
最初は人数が多い戦いになって徐々に減っていく仕組みか。どれだけ生き残りを増やせるかが問題だ。
「他には質問はありませんか?」
「特には」
僕が、クラリーナに応える。今のところはない。やってみないとよくわからない問題が生じるだろう。そこは僕の適応力が試されるわけだ。
「それでは開催日は三ヶ月後、聖都マハロブで行われます。その時までに人数を集めてマハロブに来てください」
「わかりました」
突然の知らせに僕は未知の戦いへと心を躍らせている。こういう感覚を待っていた。
「何かすごいことになっちゃったね。ナオコちゃん美味しい?」
僕たちはクラリーナに別れを告げた後、客室でナオコと一緒にスープを飲んでいる。甘くクリーミーなスープで、もちろん五つ星シェフのメリッサが作ったものだ。
「おいしー! ママ最高――」
メリッサはそれを優しい目で見つめながら、
「三ヶ月先なら結婚式の準備をしながら仲間を集められるな、で、どうやって集めるつもりだ?」
と、メリッサは僕に尋ねてきた。
「今までと変わらない、普通にエインヘリャルと出会って普通に戦って見込みありそうなら仲間に誘う」
エイミアはそれにうなずいた。
「当面はそれで良さそうね、やばくなったら聖都マハロブの近くでチームを強奪すればいいだけだし」
おい、何故エイミアがこんなにのる気満々なんだ。参加するつもりなのか、どこかでエインヘリャルを強奪して。メリッサはため息をつく。
「どうしたんだい、メリッサ。僕は何か間違った選択したかな?」
「いや、これでいいとおもうが、何やら気が重い。人が増えるということは面倒ごとが増える。佑月はリーダーシップが取れるのか?」
「中学校の環境委員会の委員長になったことがある」
……くじ引きで。
「ちゅうがっこうって何?」
ナオコがよくわからないといった感じで聞いてくる。どう説明しようか。
「勉強を修行する場所だ」
メリッサがさらりと応える。修行って、僕はこのかた夏休みの宿題すらまともにしたことないぞ。
「へえーパパも頑張ったんだね、私も頑張る」
こくりとナオコは小さくうなずいた。僕はそれに対して、
「そうだぞ、勉強嫌いな子は、いい大人になれないぞ」
僕みたいな人生落伍者になると困る、勉強はした方が良い、親というものは自分ができないことを子どもに押しつけるものだ。
「ふむー、なるほどね、パパはそんなに頑張らなかったんだね!」
うるさいよーばーか、ナオコの冗談に僕も含めてみんなして笑った。
夜が更け、静寂が訪れる。部屋の中はナオコとメリッサと僕の三人で、ベッドに僕は入り込む。ナオコを寝かしつけるメリッサ。横からすうすうと寝息の音が聞こえてくる。僕が目をつぶるとメリッサがこっちのベッドに入り込む。
「起きているか」
「起きているよ、どうしたんだい、メリッサ」
僕はメリッサのほうに顔を向ける。すると視界は銀色の乙女が支配した。さらりと絹の糸のような髪の毛、フサリと音が立ちそうなまつげ、白く輝く透き通った肌、この娘と僕は結婚式を挙げる。その現実感が増すと胸がほてってくる。
薄桃色の唇から言葉が漏れてきた。
「私たち結婚するんだな」
「そうだよ、僕がいやになったかい?」
「まさか、私はお前に惚れている、ただ嬉しくて、またどこか不安で変なんだ」
「君が逃げてしまわないように抱きしめるよ」
メリッサの小さな体を抱きしめる。あたたかくて柔らかい、この娘が僕と結婚する、それは男として冥利に尽きる。メリッサも僕の体を抱きしめてきた、柔らかな胸が僕の胸に当たる。
「……ああ、私は守られているんだな。嬉しいな。もう、お前を離れたりしないからな、ずっといっしょにいような」
「ありがとう、僕も君を離さないと約束するよ。誰よりも君を愛しているから」
「嬉しい、今日は良い夢が見られそうだ。いままで男の胸に抱かれて眠ることがこんなにも嬉しいものだなんて思ってもいなかった」
「可愛いよ、メリッサ」
「かっこいいぞ、佑月」
そう言って僕たちはおやすみのキスをする、この唇はくせになる、またここから愛が生まれる、僕たちはきっと世界で一番幸せな男と女だ。目をつぶり、深い眠りにつき、そして、夢の中でもメリッサに会えた。こんなにも幸せで良いのかと神を叱りたくなったよ。
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