ヴァルキュリア・サーガ~The End of All Stories~

琉奈川さとし

文字の大きさ
171 / 211
奇襲

第百七十一話 陰謀

しおりを挟む
 話はエイミアの事に移る。エイミアは速足で、闘技場の試合場の選手たちの出口に向かった。彼女が確かめたいことがあったからだ。クラリーナの能力、黒騎士の強さ、どう考えても異常だ、彼女は直情的だ、自分のこの目この耳で確かめないと気が済まない。

 エイミアが廊下で待ち構えているとクラリーナたちがやって来た。そして赤髪の聖騎士にまるで、親友であったかのようにエイミアは親しく振舞い、クラリーナに話しかける。

「試合を見させてもらったわ、素晴らしい能力だわ、きっと貴女は決勝に辿たどり着くでしょうね」

「あ、はい、ありがとうございます。神階第一階層のエイミアさんに認められると何だか照れちゃいますね、とても嬉しいです」

「ええ貴女はスマートで、とても美しい剣技、しなやか体術、もはや人間離れしていて、元が人間だったとは思えないほどだわ、どこの流儀かしら」

「流儀ですか? いえ、私の師は、家に仕えていたオブラックという騎士です。もともと私の家はエミック公爵家の傍流で、家は伯爵位をいただいておりました。父が健在の頃は、伯爵の家として割と栄えていたのですが、男子が産まれず、私が教会団に入ったため、爵位は叔父が継ぎました。

 また、我がコンフォルス家はもともと武芸を育むことを是として、多くの騎士が私の周りに居ました。一応私は女子爵の爵位を持っていますが、何せ領地が相続できなかったので、多くの騎士たちは叔父の方に仕えてしまいました、もう82年前ぐらいですかね。

 まあ取敢えず私は武門の家系ですから、女であっても厳しく鍛えられましたね。それに鍛錬は欠かせませんね、聖教徒騎士団副隊長として」

「貴女の剣術はヴァルキュリアの、第4、第5階層の連中と比べてもそん色ないわ、私が保証してあげる」

「ありがとうございます、日ごろの鍛錬と神の加護のおかげです。貴女の言葉を誇りに思います」

 クラリーナがそう言った瞬間、エイミアは右手を差し出し、握手を求めた。クラリーナは喜んでその手を取り握手すると、エイミアはクラリーナをそのまま抱き寄せ耳元で囁いた。

「貴女とは仲良くしたいわ、とてもね、これからもよろしくね、クラリーナ」
「……あっ、はい、ありがとうございます、光栄です」

 エイミアの行動に戸惑っていたクラリーナだったが、まっすぐな彼女はそれを喜んだ。そして口が乾かぬまま、エイミアは黒騎士に詰め寄った。

「ねえ、アンタ誰よ」
「……」

 黒騎士は押し黙っていた。だがエイミアは火がついたようにその者に言葉を浴びせていく。

「アンタ誰って聞いているでしょ! 答えなさい、アンタの動きとてもじゃないけど元が人間とは思えない。いや人間なんてものじゃない、高位神族クラスの動きだったわ。私の眼はごまかせない。何でそんな奴がエインヘリャルにいるのよ、ねえ、答えなさい!」

 突然怒り出したエイミアにクラリーナは困ったように彼女をなだめようとした。

「どうしたんですエイミアさん、いきなりそんなに取り乱して、貴女らしくないですよ」
「馬鹿言ってんじゃないわよ、私はこんなものよ、アンタ黙ってないでなんか言いなさい! 本当は喋れるんでしょ!」

「えっ……」

 その言葉にクラリーナの方が驚いた、その者が一度も言葉を発したのを聞いたことがない、そもそもなんでエイミアがそんなことを言うのか理解できなかった。

「まあまあ、エイミアさん、そんなに怒っては駄目ですよ、お肌に悪いですよ、女性は笑顔笑顔」

 突然の声にエイミアは振りむき、そこに居たのはララァだった。

「ちょっと待ってなんでアンタがここにいるのよ」

 エイミアの言い分はもっともだララァは教会団を抜けたと聞いた、だが平然とここに現れるということは理解しがたいものがある、疑問が生まれるのも当然だ。

「何かおかしいでしょうか、私は創造神様につかえる者です、あの方を崇めている教会団のもとに私が話をしに来るのは当たり前じゃないですか」

「よくもまあ、ぬけぬけと言えるわね、アンタ、創造神は何を考えているのよ、コイツを野放しにするなんて何のつもりよ!」

 エイミアは黒騎士を指さした。ララァは何事もなく笑っている、それに対し割って入ったのがクラリーナだ。

「ララァ! 勝手にどっかに行ったと思えば、また勝手に現れて。貴女に言いたいことがたくさんあります。いいですか……」

「あらまあ、クラリー姉さまは役目を果たせばいいのですよ。私には私の役目があるだけで。それが神に仕える者として……」

「うっさい、黙って!」

 二人の会話をさえぎったのはエイミアだった、彼女の憤怒ふんぬは収まらないようで、黒騎士に顔を近づけて威圧していた、そしてぽつりと言った。

「……アンタの動きさあ、見たことあるのよねえ。私たち前に会ってるよね、違う?」

 クラリーナはその言葉に驚いたが、黒騎士はエイミアを無視して去っていく。

「こら、待ちなさい!」

 エイミアは黒騎士を追いかけようとするが、クラリーナとララァが止めた。

「エイミアさんよくわからないですが、感情的になるのは良くないと思います、彼には彼の事情がきっとあるはずです」
「そうですよ、まあまあ、エイミアさんもぷりぷりしないで、男性に嫌われますよ、ヒステリーな女性は」

「うるさい、ララァ! くそ、もうどういうことよ。クラリーナ、アンタあれの中身知ってんの?」

「はい? 彼の事ですか、上からチームとして面倒見ろと言われただけですが……どういう意味です?」

「でしょうねえ、まったく、あいつ何考えてんのよ……」
「まあ、よくわかりませんが試合の後なので、そろそろ私失礼しますね、あとララァ、私のところに一度顔を見せに来なさい、いいですね?」

「あら、クラリー姉さまからご招待ですか、ドキドキしますわ、何されるのかしら、きっと罪深き私を調教なさるのですね、楽しみですわ!」

「……はあ、貴女の妄想に付き合ってられません、疲れました、失礼します」

 そう言ってクラリーナはこの場から去っていった。エイミアは無言でララァをにらみ続ける。そして彼女は大声で言った。

「アウティス! いるんでしょ、姿を現しなさい、こそこそのぞき見するんじゃない!」

 彼女の声に反応して、エイミアとララァしかいなかったはずの廊下に、アウティスが突然現れる。すぐさまエイミアは彼に詰め寄った。

「私は気配を絶つ能力と姿を見えなくする能力を同時に使ったつもりだったが、この二つの能力を使うというのはやはり私にはまだ不十分か。まあ、神階第一階層相手では流石に通じぬとみるべきか」

「あらアウティスさん、ごきげんよう」

 そしてララァはスカートをつまみ淑女の挨拶を丁寧にする。エイミアはそれを見ると、激しくアウティスに言葉をかけた。

「アンタどういうつもりよ、何考えてんのよ」
「どういう意味だ、私は忠実に仕事をこなしているだけだが」

「とぼけるな! 黒騎士の事だ! アンタ、あれが何か知ってんの?」
「無論だ、私が教会団の精鋭として迎えたからな」

「あきれた……、馬鹿! 愚かにもほどがあるわ、アウティス! あれの正体を知りながら手ごまとして使うなんて狂気の沙汰よ、あんなのがアンタなんかに扱えるわけがない、すぐに排除なさい!」

「何を言ってる、奴は忠実だ、今日も奴の役目をこなしたではないか、言いがかりもはなはだしいな」

「何のんきなことをいってんのよ、アンタの詰めの悪さはほとほとあきれ果てるほどだわ、だから佑月に負けたのよ!」

「貴様は佑月を過小評価しすぎだ、彼は稀代の策謀家でまた自分をよく知り、戦術家として優れている。奴が協力的ならあんな黒騎士などを教会団の一員として迎えなどするものか」

「ホント馬鹿ね、いい、黒騎士はアンタじゃあとても扱えない、いずれアンタの方に刃を向けるでしょう、その前に始末しろとこれだけ言ってもわからないの!」

「ずいぶん悲観的ではないか、神階第一階層の暁のヴァルキュリアとは思えない発言だ」
「茶化すな! アンタが死んだら、私も死ぬのよ、アンタの頭の鈍さは途方もなく失望させられるわ」

「今更自分の命の心配か、エイミア?」
「私にはやるべきことがあるのよ、そのためにはどんな手段でも使うつもりだわ」

「ずいぶんと堕落した神族だな」
「アンタね……!」
「まあまあ、エイミアさん落ち着いて」

 言い争っているのを見てララァが二人に割って入った。それがひどくエイミアのかんに障った。

「ララァ、アンタには関係ないでしょ!」
「別に関係なくはないぞ、奴を紹介したのはララァだからな」

 アウティスの発言を聞いて驚きを隠せなかったエイミアだった。思わず「ばっ……」と口ずさんだ。言いたかったのはそんな馬鹿なということだ。そして今度はララァに食いつく。

「ララァ、創造神は一体何のつもりよ。アイツを使うなんて信じられない、いったいどういうことよ!」

「いえいえ、創造神様はこのラグナロクの行方をひどく気にしておられるようで、あの人を導くよう仰せつかっただけです」

「くそ創造神め! 何がフェアな戦いよ、介入する気満々じゃないの」

 その言葉がしゃくに障ったアウティスはエイミアを皮肉る。

「まさか神階第一階層のお前が創造神を侮蔑するとはな。不敬にもほどがある、神にその罪を告白し許しをもらえ」
「創造神はアンタの考えているような、きれいな奴じゃないわ、陰険で、無慈悲で、血も涙もないことを平気でするような奴よ、アンタが知らないだけでね……!」

「貴様、不敬だと言ってる! 訂正しろ、神を侮辱するなど許されざるべきものだ!」
「馬鹿に何言ってもわかんないみたいね、あ、そうそう、クラリーナの件だけどとっとと始末しなさい」

「貴様、何を言ってるんだ、味方を殺せだと、お前の方が狂気の沙汰だ」
「アンタにはわからないでしょうけど、クラリーナは私たちにとって、非常に邪魔なのよ」

「意味がわからん」
「説明する気はないわ、どうせアンタに言っても理解できないから。今ならアンタが始末するのは簡単でしょ、警戒されないうちにそれをやることね」

「馬鹿馬鹿しい、お前の言ってることが全く理解できん」
「どんな手でも使うと言ったはずでしょ、私は。まあ、アンタがそれに勘づくまで時間がかかりそうね、あーあ、馬鹿相手に話しするのも疲れたわ、私帰るから」

 そう言ってエイミアは不機嫌そうにこの場から去っていった。取り残されたアウティスは、意味も分からずに侮辱されたことにひどく不快であった。

「女とはつくづく理解しがたいものだ、感情的で、自分の事ばかり考える。エイミア……、奴の考えがわからん」
「あらまあ、私みたいに聞き分けの良い女性もいましてよ。それは女性蔑視ですからよくないですね」

 それに母のようにララァはにこやかに微笑んだ。それを見てアウティスは満足げにつぶやく。

「やはり神は素晴らしい、このような優れた女性を使いに選ぶとはな……」

 それぞれの思惑が交差し、陰謀が駆け巡る。この戦いの終末は神でさえも予想がつかないであろうことだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

拾われ子のスイ

蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】 記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。 幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。 老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。 ――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。 スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。 出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。 清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。 これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。 ※週2回(木・日)更新。 ※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。 ※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載) ※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。 ※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

処理中です...