12 / 24
十二
しおりを挟む
儀式は無事に終わり、イソンと娘は夫婦となった。
儀式の明くる日からイソンは本格的に丸木舟の試作を始めた。
それと同時に、もう一つのことも頭の中にあった。
それは、沼の温泉の近くに竪穴式住居を造ることだった。
それを造れば、冬の間も村人は温泉が使える。
朝のうちは住居造り、昼からは舟の試作、そうのように時は過ぎて行った。
竪穴式住居は、初雪が降る前に完成した。
イソンはチラにそのことを伝えた。
温泉に通う者が絶えないかぎり、道が雪に埋もれることはない。
寝雪が降りはじめるころ、丸木舟の試作一作目が出来上がった。
イソンは、温泉で丸木舟を浮かべてみた。
人に見立てて、石を二個、載せてみたが問題なかった。
しかし、それはあくまでも小さな試作でのことだ。
本作は、そう簡単にいくだろうか。
実際の舟は、オペの舟と並べて、削りの作業を慎重に進めなければならない。
形、厚さを手で確認しながらだ。
それでも、試作の一作目ができたことで、イソンは少しの自信を持つことができた。
あとは試作を重ねること。
とにかく、冬の間中、納得がいくまでやるしかなかった。
温泉から戻ると、娘が珍しく、囲炉裏端に横になっている。
何日か前から、時折吐き気がある、と言う。
イソンは心配したが、村に行くまでもない、と娘が言うので、冬用の麻衣を掛けて寝かせておいた。
イソンは作業場で二作目の試作に取り掛かった。
最初に石斧で大雑把に削る。
全面が平らに整うと、墨を打つ。
墨は、沼の近くで採れた泥炭を天日に干して細長く固めたものだ。
上下、左右、線を描いていく。
墨を打ち終えたころ、村の女二人が娘を訪ねてきた。
鮭トバを持ってきてくれたらしい。
女たちは、囲炉裏端まで行き、娘の様子を伺った。
娘は、自分の様態を女たちに説明しているようだ。
その後、年配の方の女が作業場に来て、イソンに言った。
娘が身ごもっているのではないか、と。
イタに診てもらえば、すぐにわかるから、とも言う。
イソンは同意し、女たちに任せて、娘を村にやった。
イソンは、作業を続けたが、急に落ち着かなくなって、時々作業の手を休めては、洞窟を出たり入ったりした。
半時ほどして、娘は霊媒師のイタとその助手を引き連れて戻ってきた。
イタは、作業場にイソンを座らせて言った。
順調に育っている、と。
イソンは驚き、興奮したが、その後にイタが語ったことにはもっと驚いたのだった。
イタは、娘が子を宿していることをとうに分かっていた、言うのだった。
そのことと同時にオペの死が見えた、と。
まるで、オペの死がついでに見えたような言い方だった。
それらが同時に見えたということに何か意味があるようにイソンは感じたが、口には出さなかった。
イタもそれについては何も語らなかった。
ただ、それが見えたのでチラには忠告しておいた、とだけ言った。
イソンはイタの言葉だけを受け取り、余計な詮索はしない。
そういう習わしだった。
時間の経過から考えて、村の長は、その忠告から一人悩んだのかもしれなかった。
オペのこともあったから、一定の時間を置いて、チラがイソンと娘が夫婦になる話をしたのだろう。
イソンは、イタの次の言葉を待った。
あとは心配はいらない、子は順調に育っている、と言う。
お産もイタの指示のもと、助手が何人かいるので、彼女たちが行うと言う。
イタは目が悪くなる前は、産婆をしていた。
イタの祖母も霊媒師で、伝説的な産婆でもあった。
そのもとで、イタも助手として子を取り上げる修行を重ねていった。
母親は、イタを産んで直ぐに亡くなったと云う。
イタ自身も、十歳の時、原因不明の高熱を出した。
何日も死の淵を行き来したと云う。
常人なら死んでいた。
ところが、生死をさまよいながら、イタは祖母と交信していた、と後に語った。
結果としてイタは、高熱を出して死に直面することで、霊力を身につけたのだ。
しかし、その代わりに弱視を患うことになった。
それでも、少しの視力が残っている間は、産婆をしていた。
完全に視力を失ったのは、三十歳くらいだと云う。
そのイタの現在の正確な年齢を知るものは居なかった。
生まれるのは夏、とイタは告げた。
その後、イタはお産までに最低限気をつけるべきことをいくつかイソンに伝えた。
最後にイタは、子は男子、と言い残して帰って言った。
子は男子。
イソンは再び興奮した。
あくる日、村の長、チラがやってきた。
綿布を長く編んだ腹巻を携えていた。
それは、何度も安産を助けてきたとされるお守りであった。
男子が無事に産まれて、育ってくれることをイソンは祈るしかなかった。
そうすれば、フンペの漁が途絶えることはない。
チラもイソンと同じ喜びの中にいるはずだった。
村の存続のためには、他所の村との人の交流が必要だった。
嫁に来たり、行ったり。
その繋がりで、時には子を貰い受けたり、逆に養子に出す、ということもあるのだ。
そういったことを考えることも長の役目だった。
だから、子ができるということは村にとって最も重要なことだった。
生まれても、よく育たないことも多いが、まずは授からないことには話は始まらない。
特に男子は、成人まで育てるのが難しかった。
イタの見立てが確実に当たるとは言えないが、娘のツワリの状況から考えても、男子のようだ、とチラにも思える。
イタの予言があり、イソンと娘が夫婦になったことで、チラは期待に胸を膨らませていたが、こんなにも早くそれが来たことを心から喜んでいる。
その反面、チラには気がかりなこともあった。
しかし、それは誰かにいう話ではない。自分の心に留めておくべきことだ。
今はとにかく、生まれてくる子のことを一番に考える時だ。
フンペの漁を継承すること。
村長としては、それも重要なことだ。
オペで終わったかもしれないフンペ漁がイソンのお陰で繋がった。
それが更に繋がるかもしれないのだ。
チラの舌が自然になめらかになった。
嬉しさを隠さない。
妊娠が分かった日から、チラはほぼ毎日洞窟を訪れた。
チラが熱くオペの物語を語っているのを、娘も聞いている。
麻布を編みながら聞いている。
日に日に、娘は痩せ、表情が険しくなっていくようだ。
食欲もあまりなく、徐々に食べたいものにも変化が見られるようになっていった。
妊婦に良い、とされる食材をチラはあれこれ運んできた。
集落の畑で作った麦や菜っ葉などだ。
麦は貴重な食べ物で、イソンや娘は滅多に食べたことがない。
とにかく食べたい、と思えるのもを食べることも重要だとイタは言う。
フンペの肉はこのところ、娘には箸の進まない食材だ。
一方で、鮭の卵の塩漬けを無性に食べたい、と言ったりする。
そういうものは、人それぞれ違うのだ、とイタは言う。
とにかく、食べたいと思うものと麦を取る。
皆があれこれ持ってきてくれるお陰で、普段は粗食なイソンの食卓が豊かになった。
チラだけでなく、村人が良くしてくれることがイソンには有り難かった。
舟の試作にも、身が入った。
いい舟を作り、フンペを獲る。
そういう思いで試作に励むことが、村人への恩返しだという気持ちだった。
大事にするのはいいが動かないのもよくない、というイタの忠告もあって、二人で温泉に行くのがいつしか日課となった。
歩くには、ちょうど良い距離だ。
沼の温泉の足場は滑りやすいから注意をしないといけなかったが、イソンが介添えをする。
体を温めることは妊婦にはいい。
イソンは、竪穴式住居を造って、本当に良かったと思う。
湯冷めしないように、冬仕様の麻衣を重ね着して帰ってくる。
そうこうしているうちに、本格的に冬はやってきた。
しかし、その年は暖かく、大雪にはならなかった。
娘は、村人のための麻布を毎日編んで暮らした。
イソンは、キジを獲った時に作った弓矢を改良しては、時々狩りに行くぐらいで、あとは舟の試作に明け暮れた。
漁師の意地か。
慣れない弓矢で時には兎(うさぎ)を獲ってくる。
兎汁は、たっぷりの生姜を入れて作る。
それは、娘も好んで食べた。
体が温まる。
ツワリも収まり、娘は妊娠前よりも食欲が出てきた。
麦入りの芋粥なら一度にお椀に四、五杯は食べる。
しかし、それでも体型が変わらない。
それどころか痩せていくようだった。
顔もさらに険しくなったようで、イソンは心配になり、わざわざ村に出かけていって、イタに訊ねた。
イタは当然というように、頷いた。
助手たちは声に出して笑った。
お腹の子が食べているんだ、と言う。
イソンが驚いていると、イタは呟いた。
「キアンネポ(大きい子)」
儀式の明くる日からイソンは本格的に丸木舟の試作を始めた。
それと同時に、もう一つのことも頭の中にあった。
それは、沼の温泉の近くに竪穴式住居を造ることだった。
それを造れば、冬の間も村人は温泉が使える。
朝のうちは住居造り、昼からは舟の試作、そうのように時は過ぎて行った。
竪穴式住居は、初雪が降る前に完成した。
イソンはチラにそのことを伝えた。
温泉に通う者が絶えないかぎり、道が雪に埋もれることはない。
寝雪が降りはじめるころ、丸木舟の試作一作目が出来上がった。
イソンは、温泉で丸木舟を浮かべてみた。
人に見立てて、石を二個、載せてみたが問題なかった。
しかし、それはあくまでも小さな試作でのことだ。
本作は、そう簡単にいくだろうか。
実際の舟は、オペの舟と並べて、削りの作業を慎重に進めなければならない。
形、厚さを手で確認しながらだ。
それでも、試作の一作目ができたことで、イソンは少しの自信を持つことができた。
あとは試作を重ねること。
とにかく、冬の間中、納得がいくまでやるしかなかった。
温泉から戻ると、娘が珍しく、囲炉裏端に横になっている。
何日か前から、時折吐き気がある、と言う。
イソンは心配したが、村に行くまでもない、と娘が言うので、冬用の麻衣を掛けて寝かせておいた。
イソンは作業場で二作目の試作に取り掛かった。
最初に石斧で大雑把に削る。
全面が平らに整うと、墨を打つ。
墨は、沼の近くで採れた泥炭を天日に干して細長く固めたものだ。
上下、左右、線を描いていく。
墨を打ち終えたころ、村の女二人が娘を訪ねてきた。
鮭トバを持ってきてくれたらしい。
女たちは、囲炉裏端まで行き、娘の様子を伺った。
娘は、自分の様態を女たちに説明しているようだ。
その後、年配の方の女が作業場に来て、イソンに言った。
娘が身ごもっているのではないか、と。
イタに診てもらえば、すぐにわかるから、とも言う。
イソンは同意し、女たちに任せて、娘を村にやった。
イソンは、作業を続けたが、急に落ち着かなくなって、時々作業の手を休めては、洞窟を出たり入ったりした。
半時ほどして、娘は霊媒師のイタとその助手を引き連れて戻ってきた。
イタは、作業場にイソンを座らせて言った。
順調に育っている、と。
イソンは驚き、興奮したが、その後にイタが語ったことにはもっと驚いたのだった。
イタは、娘が子を宿していることをとうに分かっていた、言うのだった。
そのことと同時にオペの死が見えた、と。
まるで、オペの死がついでに見えたような言い方だった。
それらが同時に見えたということに何か意味があるようにイソンは感じたが、口には出さなかった。
イタもそれについては何も語らなかった。
ただ、それが見えたのでチラには忠告しておいた、とだけ言った。
イソンはイタの言葉だけを受け取り、余計な詮索はしない。
そういう習わしだった。
時間の経過から考えて、村の長は、その忠告から一人悩んだのかもしれなかった。
オペのこともあったから、一定の時間を置いて、チラがイソンと娘が夫婦になる話をしたのだろう。
イソンは、イタの次の言葉を待った。
あとは心配はいらない、子は順調に育っている、と言う。
お産もイタの指示のもと、助手が何人かいるので、彼女たちが行うと言う。
イタは目が悪くなる前は、産婆をしていた。
イタの祖母も霊媒師で、伝説的な産婆でもあった。
そのもとで、イタも助手として子を取り上げる修行を重ねていった。
母親は、イタを産んで直ぐに亡くなったと云う。
イタ自身も、十歳の時、原因不明の高熱を出した。
何日も死の淵を行き来したと云う。
常人なら死んでいた。
ところが、生死をさまよいながら、イタは祖母と交信していた、と後に語った。
結果としてイタは、高熱を出して死に直面することで、霊力を身につけたのだ。
しかし、その代わりに弱視を患うことになった。
それでも、少しの視力が残っている間は、産婆をしていた。
完全に視力を失ったのは、三十歳くらいだと云う。
そのイタの現在の正確な年齢を知るものは居なかった。
生まれるのは夏、とイタは告げた。
その後、イタはお産までに最低限気をつけるべきことをいくつかイソンに伝えた。
最後にイタは、子は男子、と言い残して帰って言った。
子は男子。
イソンは再び興奮した。
あくる日、村の長、チラがやってきた。
綿布を長く編んだ腹巻を携えていた。
それは、何度も安産を助けてきたとされるお守りであった。
男子が無事に産まれて、育ってくれることをイソンは祈るしかなかった。
そうすれば、フンペの漁が途絶えることはない。
チラもイソンと同じ喜びの中にいるはずだった。
村の存続のためには、他所の村との人の交流が必要だった。
嫁に来たり、行ったり。
その繋がりで、時には子を貰い受けたり、逆に養子に出す、ということもあるのだ。
そういったことを考えることも長の役目だった。
だから、子ができるということは村にとって最も重要なことだった。
生まれても、よく育たないことも多いが、まずは授からないことには話は始まらない。
特に男子は、成人まで育てるのが難しかった。
イタの見立てが確実に当たるとは言えないが、娘のツワリの状況から考えても、男子のようだ、とチラにも思える。
イタの予言があり、イソンと娘が夫婦になったことで、チラは期待に胸を膨らませていたが、こんなにも早くそれが来たことを心から喜んでいる。
その反面、チラには気がかりなこともあった。
しかし、それは誰かにいう話ではない。自分の心に留めておくべきことだ。
今はとにかく、生まれてくる子のことを一番に考える時だ。
フンペの漁を継承すること。
村長としては、それも重要なことだ。
オペで終わったかもしれないフンペ漁がイソンのお陰で繋がった。
それが更に繋がるかもしれないのだ。
チラの舌が自然になめらかになった。
嬉しさを隠さない。
妊娠が分かった日から、チラはほぼ毎日洞窟を訪れた。
チラが熱くオペの物語を語っているのを、娘も聞いている。
麻布を編みながら聞いている。
日に日に、娘は痩せ、表情が険しくなっていくようだ。
食欲もあまりなく、徐々に食べたいものにも変化が見られるようになっていった。
妊婦に良い、とされる食材をチラはあれこれ運んできた。
集落の畑で作った麦や菜っ葉などだ。
麦は貴重な食べ物で、イソンや娘は滅多に食べたことがない。
とにかく食べたい、と思えるのもを食べることも重要だとイタは言う。
フンペの肉はこのところ、娘には箸の進まない食材だ。
一方で、鮭の卵の塩漬けを無性に食べたい、と言ったりする。
そういうものは、人それぞれ違うのだ、とイタは言う。
とにかく、食べたいと思うものと麦を取る。
皆があれこれ持ってきてくれるお陰で、普段は粗食なイソンの食卓が豊かになった。
チラだけでなく、村人が良くしてくれることがイソンには有り難かった。
舟の試作にも、身が入った。
いい舟を作り、フンペを獲る。
そういう思いで試作に励むことが、村人への恩返しだという気持ちだった。
大事にするのはいいが動かないのもよくない、というイタの忠告もあって、二人で温泉に行くのがいつしか日課となった。
歩くには、ちょうど良い距離だ。
沼の温泉の足場は滑りやすいから注意をしないといけなかったが、イソンが介添えをする。
体を温めることは妊婦にはいい。
イソンは、竪穴式住居を造って、本当に良かったと思う。
湯冷めしないように、冬仕様の麻衣を重ね着して帰ってくる。
そうこうしているうちに、本格的に冬はやってきた。
しかし、その年は暖かく、大雪にはならなかった。
娘は、村人のための麻布を毎日編んで暮らした。
イソンは、キジを獲った時に作った弓矢を改良しては、時々狩りに行くぐらいで、あとは舟の試作に明け暮れた。
漁師の意地か。
慣れない弓矢で時には兎(うさぎ)を獲ってくる。
兎汁は、たっぷりの生姜を入れて作る。
それは、娘も好んで食べた。
体が温まる。
ツワリも収まり、娘は妊娠前よりも食欲が出てきた。
麦入りの芋粥なら一度にお椀に四、五杯は食べる。
しかし、それでも体型が変わらない。
それどころか痩せていくようだった。
顔もさらに険しくなったようで、イソンは心配になり、わざわざ村に出かけていって、イタに訊ねた。
イタは当然というように、頷いた。
助手たちは声に出して笑った。
お腹の子が食べているんだ、と言う。
イソンが驚いていると、イタは呟いた。
「キアンネポ(大きい子)」
0
あなたにおすすめの小説
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~
bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる