モナ・リザ新たなる出発[2024.02.12完結]

鏡子 (きょうこ)

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第13章 芽が出ぬ頃

茨木のり子 「さくら」

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茨木のり子さんの、「さくら」という詩がある。


「さくら」  
                           茨木のり子      1992年作

ことしも生きて
さくらを見ています


ひとは生涯に
何回ぐらいさくらをみるのかしら


ものごころつくのが十歳ぐらいなら
どんなに多くても七十回ぐらい


三十回 四十回のひともざら


なんという少なさだろう
もっともっと多く見るような気がするのは
祖先の視覚も
まぎれこみ重なりあい霞だつせいでしょう


あでやかとも妖しとも不気味とも
据えかねる花のいろ
さくらふぶきの下を
ふららと歩けば
一瞬
名僧のごとくにわかるのです


死こそ常態
生はいとしき蜃気楼と







【感想】


茨木のり子さんは、「さくら」を見て、様々な思いを馳せ、「さくら」から、死生観を見出されらている。


最後の、2行が特に、ゾクッとさせられる。



死こそ常態…


命を授けられた、今この時は、

愛しき蜃気楼のようなもの。



茨木のり子さんの死生観に共感するものがある。



古き昔からある「さくら」

祖先に思いを巡らす。



私達日本人は、魂の深い部分で

確かに、先祖から引き継がれている何かがある。


「さくら」を見ながら思う。

祖先も、この「さくら」を愛でていたのだろうと。


人の命は、まるで「さくら」のようにも思える。

美しく咲き、美しく散る。



散り終えたさくらの木を見て思う。

輝く時は、なんと僅かの時間だったのかと。



過ぎ去ってみたら、あまりにも儚い夢のようで、
幻を見たような感覚にも襲われる。



生はいとしき蜃気楼……


この言葉、シビれるな。



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