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STRAY SHEEP
イエール大学にも、似たような羊がいたような…
しおりを挟むSTRAY SHEEPじゃなかった。
EXCELLENT SHEEPだった。
『優秀なる羊たち』の著者ウィリアム・デレズウィッツ氏は、世界の大学ランキングでいつもトップクラスにあるイエール大学の教授だった人。
◆参照
優秀なる羊たち 米国エリート教育の失敗に学ぶ
ウィリアム・デレズウィッツ 著、米山裕子 訳
2,500円 四六判 336頁 978-4-385-36578-7
一様に賢く、才能に溢れ、意欲的なアメリカのエリート学生たち。しかしその一方で彼らは、小心で常に不安を抱え、真の意味での知的欲求は乏しく、自分の将来を自分で決めることもできない。元イェール大教授の著者は、そんな「優秀なる羊たち」の実態を経験に基づいて明らかにし、歴史を踏まえて分析。大学教育のあるべき姿を問い、若者たちを真の学びへと誘う。日本語版解説は、阿部公彦(東京大学准教授)。原題は、EXCELLENT SHEEP The Miseducation of the American Elite and the Way to a Meaningful Life 。
日本語版解説 目 次 著者・訳者紹介
2016年2月10日 発行
本の日本語版解説
阿部公彦(東京大学准教授)
あれこれびっくりする本だ。
日本でもこのところ教育改革をめぐる熱い議論が続いているが、そうした場ではたいていアメリカ風の教育スタイルを理想として掲げる声が大きな力を持つ。ところが、理想とされているはずの当のアメリカの教育現場で、さまざまな問題が発生しているというのだ。
『優秀なる羊たち』の著者ウィリアム・デレズウィッツ氏は、世界の大学ランキングでいつもトップクラスにあるイエール大学の教授だった人。彼が教えたのはアメリカの学生でもエリート中のエリートだ。
しかし、そのエリート学生におかしなことが起きていたという。「今日のエリート学生たちが世間に見せることを習得した、人当たりがよく自信に満ち、そつなく適応している表の顔を一枚剥いでみれば、往々にして、有害なまでの恐怖や不安、抑鬱、虚無感、喪失感や孤独を見ることができる」というのである。
彼らの能力が落ちているわけではない。学力はしっかりある。それだけではない。運動もできる。趣味もある。外国語もできるし、ボランティアだってしっかりやっている。手際もいいし、自信にもあふれている。きわめて有能な青年たちなのだ。決してがつがつ受験勉強ばかりしてきた「頭でっかち」や「もやしっ子」ではない。むしろ私たち日本人が羨望のまなざしで見仰いできた、何でもできるアメリカン・エリートの典型なのだ。
ところがそんな学生たちが希望を失い、精神的な失調を訴えはじめているという。デレズウィッツ氏自身もそうした状況を目の当たりにしてきたし、間接的にも症例がたくさん耳に入ってくる。
これはいったいどういうことなのか? そう言えば彼自身にも思い当たるふしがある──これが本書の出発点だ。だから著者はこの本を二十歳の自分への手紙として書き始める。
あの頃、知っておきたかったこと。
あの頃、耳にしたかったこと。
それを今の自分があの頃の自分に伝えたい。
※ 一旦ここまで
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