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核を使わず、電磁波でプレートに衝撃を与える。
手紙の内容
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※こちらも、ウィキペディアより転載
本文500語ほどの2ページからなる手紙は1939年8月2日の日付を持ち、その本文は以下のようなものであった[1]。
閣下、
原稿として私のところへ送られてきました E・フェルミと L・シラードによる最近の研究は、ウラン元素が近い将来、新しい重要なエネルギー源となるかもしれないという期待を私に抱かせます。 このことによりもたらされる状況のある点は、注意深く見守り、必要とあらば、政府当局による迅速な行動を起こす必要があるものと思われます。 よって、以下の事実と提案とに閣下のご注意を促すのが私の務めであると考えるものです。
過去4か月の間に、フランスのジョリオ、またアメリカのフェルミとシラードの研究によって、大量のウランによる核連鎖反応が有望なものとなってきました。 このことによって、極めて強い力と、ラジウムに似た大量の新元素とが生成されるでしょう。 これが近い将来に成し遂げられるのは、現在、ほとんど確実なことであると思われます。
またこの新たな現象は爆弾、それも、あまり確かとは言えないのですが、考えられることとしては極めて強力な新型の爆弾の製造につながるかもしれません。 船で運ばれ港で爆発すれば、この種の爆弾ひとつで、港全体ならびにその周囲の領域を優に破壊するでしょう。 ですが、また、こうした爆弾は航空機で運ぶにはあまりに重過ぎることがわかるかもしれません。
合衆国には、ほどほどの量でごく貧弱な質のウラン鉱石しかありません。 カナダと旧チェコスロバキアにはいくつかのよい鉱石がありますが、最も重要なウランの供給源はベルギー領コンゴです。
この状況に照らして、閣下は、政府と、アメリカにおいて連鎖反応を研究している物理学者のグループとのより継続的な接触を保つことが望ましいとお考えになるかもしれません。 これを達成するための、ひとつのありうる方法は、閣下の信頼にたる、そしてまたおそらくは非公式な地位で働くことのできる人物にこの仕事を託すことでしょう。 この人物の仕事は以下のようなものとなるでしょう。
a) 今後の開発の情報を政府機関へ逐次伝え、また合衆国へのウラン鉱石の供給を保障する問題に特に注意しつつ、政府の施策に対しての提案を行い、政府機関への接触すること。
b) もし資金が必要なら、この目的に貢献しようと望む民間人との接触を通じてその資金を供給することにより、またおそらくは適切な設備を持つ企業の研究所の協力も得ることによって、現在、大学研究室の予算の制限内で行われている実験研究の速度を上げること。
私の知るところでは、実際ドイツは、ドイツが接収したチェコスロバキアの鉱山からのウランの販売を停止しています。 こうした、いち早い行動をドイツが取ったことは、おそらくはドイツ政府の外務次官フォン・ヴァイツゼッカーの子息が、現在ウランに関するアメリカの研究のいくつかを追試しようとしているベルリンのカイザー・ヴィルヘルム研究所に所属していることを根拠として理解できるでしょう。
ここで本文中にある、フェルミ、シラード、およびフランスのジョリオ(ジョリオ=キュリー)の研究とは、ウランの中性子による核分裂の発見を受けて、1939年3月に相次いでこれら3者のグループで行われたウランの二次中性子放出の発見を指しており[2]、この発見によってウランの連鎖反応の実現が一歩現実のものへと近づいていた[3]。 シラードはこのことがドイツに知られるのを遅らせるため実験結果を秘密にするように活動したが、ジョリオ=キュリーが拒否してネイチャー誌で公表し、手紙にあるようにドイツは直後にウラン輸出を禁止していた[4]。 こうしてこの当時、この事実は科学者の会議で公に語られ、ウランが都市ごと壊滅させるような強力な爆弾となりうるということは、新聞等で一般にも知られた事実となっていた[5]。
また、この手紙では爆弾が航空機で運べないであろう非常に大きなものとなるかもしれないと想定されている。 これはシラードらが減速材を含んだ低速中性子による天然ウランの連鎖反応を考えていたことによる[6]。 シラードがこの時点で案じていたこうした原子炉のような連鎖反応では、実際には大きな爆発は起こらないことが後に明らかとなっている。 しかし、後の1942年にウラン同位体の濃縮が工業的規模で可能であると考えられるようになったことと、高速中性子でそうした濃縮ウランが爆発的連鎖反応を起こすことがわかったことで、小型のウラン爆弾が可能とみなされるようになった。
なお、最後の節で言及されているドイツの外務次官エルンスト・フォン・ヴァイツゼッカーの息子は、実際ドイツにおいてハイゼンベルクらとともに連鎖反応の研究に携わっていたカール・フリードリヒ・フォン・ヴァイツゼッカーを指している[7]。 ただし、ジョリオ=キュリーの論文によって実際にドイツ政府に警告を行ったのは別の人物であった[8]。
シラードらがこの手紙で政府に最も強く求めたこととは、情報を政府に与えるとともに、資金を融通するため政府と自分たち科学者グループとの接点となる人物を政府が置いてくれることであった。 歴史ジャーナリスト、リチャード・ローズは、大統領へ手紙を渡す仲介者となるアレクサンダー・ザックス(リーマン・ブラザーズ副社長)への手紙の中でシラードが暗に自分がその役を引き受けることをほのめかしているとし、またこうした提案は「大胆であるのと同じように、アメリカの官僚政治に関して無知なものだった」と評している[9]。
著名なアインシュタインが関わったこの手紙は、アメリカ政府の原子爆弾開発計画であるマンハッタン計画の最早期の引き金として有名である。 しかし、その手紙の作成とその後のマンハッタン計画の開始までの経緯は複雑なものであった。
本文500語ほどの2ページからなる手紙は1939年8月2日の日付を持ち、その本文は以下のようなものであった[1]。
閣下、
原稿として私のところへ送られてきました E・フェルミと L・シラードによる最近の研究は、ウラン元素が近い将来、新しい重要なエネルギー源となるかもしれないという期待を私に抱かせます。 このことによりもたらされる状況のある点は、注意深く見守り、必要とあらば、政府当局による迅速な行動を起こす必要があるものと思われます。 よって、以下の事実と提案とに閣下のご注意を促すのが私の務めであると考えるものです。
過去4か月の間に、フランスのジョリオ、またアメリカのフェルミとシラードの研究によって、大量のウランによる核連鎖反応が有望なものとなってきました。 このことによって、極めて強い力と、ラジウムに似た大量の新元素とが生成されるでしょう。 これが近い将来に成し遂げられるのは、現在、ほとんど確実なことであると思われます。
またこの新たな現象は爆弾、それも、あまり確かとは言えないのですが、考えられることとしては極めて強力な新型の爆弾の製造につながるかもしれません。 船で運ばれ港で爆発すれば、この種の爆弾ひとつで、港全体ならびにその周囲の領域を優に破壊するでしょう。 ですが、また、こうした爆弾は航空機で運ぶにはあまりに重過ぎることがわかるかもしれません。
合衆国には、ほどほどの量でごく貧弱な質のウラン鉱石しかありません。 カナダと旧チェコスロバキアにはいくつかのよい鉱石がありますが、最も重要なウランの供給源はベルギー領コンゴです。
この状況に照らして、閣下は、政府と、アメリカにおいて連鎖反応を研究している物理学者のグループとのより継続的な接触を保つことが望ましいとお考えになるかもしれません。 これを達成するための、ひとつのありうる方法は、閣下の信頼にたる、そしてまたおそらくは非公式な地位で働くことのできる人物にこの仕事を託すことでしょう。 この人物の仕事は以下のようなものとなるでしょう。
a) 今後の開発の情報を政府機関へ逐次伝え、また合衆国へのウラン鉱石の供給を保障する問題に特に注意しつつ、政府の施策に対しての提案を行い、政府機関への接触すること。
b) もし資金が必要なら、この目的に貢献しようと望む民間人との接触を通じてその資金を供給することにより、またおそらくは適切な設備を持つ企業の研究所の協力も得ることによって、現在、大学研究室の予算の制限内で行われている実験研究の速度を上げること。
私の知るところでは、実際ドイツは、ドイツが接収したチェコスロバキアの鉱山からのウランの販売を停止しています。 こうした、いち早い行動をドイツが取ったことは、おそらくはドイツ政府の外務次官フォン・ヴァイツゼッカーの子息が、現在ウランに関するアメリカの研究のいくつかを追試しようとしているベルリンのカイザー・ヴィルヘルム研究所に所属していることを根拠として理解できるでしょう。
ここで本文中にある、フェルミ、シラード、およびフランスのジョリオ(ジョリオ=キュリー)の研究とは、ウランの中性子による核分裂の発見を受けて、1939年3月に相次いでこれら3者のグループで行われたウランの二次中性子放出の発見を指しており[2]、この発見によってウランの連鎖反応の実現が一歩現実のものへと近づいていた[3]。 シラードはこのことがドイツに知られるのを遅らせるため実験結果を秘密にするように活動したが、ジョリオ=キュリーが拒否してネイチャー誌で公表し、手紙にあるようにドイツは直後にウラン輸出を禁止していた[4]。 こうしてこの当時、この事実は科学者の会議で公に語られ、ウランが都市ごと壊滅させるような強力な爆弾となりうるということは、新聞等で一般にも知られた事実となっていた[5]。
また、この手紙では爆弾が航空機で運べないであろう非常に大きなものとなるかもしれないと想定されている。 これはシラードらが減速材を含んだ低速中性子による天然ウランの連鎖反応を考えていたことによる[6]。 シラードがこの時点で案じていたこうした原子炉のような連鎖反応では、実際には大きな爆発は起こらないことが後に明らかとなっている。 しかし、後の1942年にウラン同位体の濃縮が工業的規模で可能であると考えられるようになったことと、高速中性子でそうした濃縮ウランが爆発的連鎖反応を起こすことがわかったことで、小型のウラン爆弾が可能とみなされるようになった。
なお、最後の節で言及されているドイツの外務次官エルンスト・フォン・ヴァイツゼッカーの息子は、実際ドイツにおいてハイゼンベルクらとともに連鎖反応の研究に携わっていたカール・フリードリヒ・フォン・ヴァイツゼッカーを指している[7]。 ただし、ジョリオ=キュリーの論文によって実際にドイツ政府に警告を行ったのは別の人物であった[8]。
シラードらがこの手紙で政府に最も強く求めたこととは、情報を政府に与えるとともに、資金を融通するため政府と自分たち科学者グループとの接点となる人物を政府が置いてくれることであった。 歴史ジャーナリスト、リチャード・ローズは、大統領へ手紙を渡す仲介者となるアレクサンダー・ザックス(リーマン・ブラザーズ副社長)への手紙の中でシラードが暗に自分がその役を引き受けることをほのめかしているとし、またこうした提案は「大胆であるのと同じように、アメリカの官僚政治に関して無知なものだった」と評している[9]。
著名なアインシュタインが関わったこの手紙は、アメリカ政府の原子爆弾開発計画であるマンハッタン計画の最早期の引き金として有名である。 しかし、その手紙の作成とその後のマンハッタン計画の開始までの経緯は複雑なものであった。
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