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しおりを挟む【ゼネラル・エレクトリック(GE)】虎の子の医療機器事業まで分社、残る3部門にも強まる解体圧力
週刊ダイヤモンド編集部
政治・経済 財務で会社を読む
2018.10.26 5:06
米GEが主力事業の不振といった複合危機に見舞われ、事業の切り売りを進めている。稼ぎ頭の航空エンジン部門に他部門が依存する収益の不均衡が続けば、株主からさらなる解体圧力が強まりそうだ。
米GEが主力事業の不振といった複合危機に見舞われ、事業の切り売りを進めている。稼ぎ頭の航空エンジン部門に他部門が依存する収益の不均衡が続けば、株主からさらなる解体圧力が強まりそうだ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)
かつて世界首位の時価総額を誇った米GEの凋落が止まらない。株価は2017年1月から6割超も下落し、株価騰落率の推移では、競合の独シーメンスと明暗が分かれている(図1)。
GEは08年のリーマンショックで金融部門が巨額損失を出したことを教訓に製造業に回帰。近年はデジタル時代の到来を見据えて発電用タービンなどから得たデータを解析し、運用改善に役立てるIoT(モノのインターネット)関連のソリューションビジネスを強化してきた。
15年には産業向けIoTプラットホーム「Predix」の開発を担う子会社、GEデジタルを設立。16年だけで解析ソフトと機械学習機能の開発に約40億ドルを投じるなど巨額投資で競合他社を突き放そうとした。タービンや航空エンジンなどのハードウエアと、その運用を支援するソフトウエアを組み合わせた事業モデルは製造業再生の手本の一つとされた。
だが、華麗なる転身は簡単ではなかった。ソリューションビジネスの想定顧客だった電力会社や航空会社は保守的な業界で、既存システムからPredixに乗り換えるのに慎重だった。
GEはソフトバンクやNECと提携して、製造業を含むあらゆる業界にPredixを売り込んだが、もともとGEの製品を使っているわけではない業界への販売はさらに困難だった。「Predixを売るためのマニュアルさえGEは用意しておらず、準備不足だった」(提携した日系企業幹部)。
計画通りにソリューションビジネスが進まないところに、主力の発電機器の低迷が直撃した。脱化石燃料の逆風で、火力発電所の建設プロジェクトに資金が集まりにくい状況になったのだ。
さらに、縮小したものの一部残っていた金融部門における費用発生が追い打ちをかけた。保険事業が62億ドルの損失を出し、17年度は58億ドルの最終赤字に沈んだ。
結果、本業でどれだけキャッシュを稼いだかを示す営業キャッシュフローは大幅に悪化。営業キャッシュフローは、金融部門を担うGEキャピタルからの振れ幅の大きい配当金に依存する構造が続いている(図2)。
株価下落は止まらず、10月1日にジョン・フラナリー前CEOが就任1年で更迭され、GE史上初めて社外出身のローレンス・カルプ氏がトップに就任した。
米医療機器メーカー、ダナハーを成長させたカルプ氏のCEO就任を株式市場は一時的には歓迎したが、同時に発表されたのれん代償却の規模に騒然とした。
のれん代はM&Aを実施した際の買収額と買収された企業の評価額との差だ。GEが今回、減損処理するのは電力部門の230億ドルののれん代の大部分。15年に買収した仏重電大手、アルストムのエネルギー部門ののれん代を含む。
アルストムの買収交渉は先に名乗りを上げたGEに対抗して三菱重工業とシーメンスの日独連合が参戦し、争奪戦の様相を呈した。日独連合の企業幹部は「いま思えば買収し損じてよかった」と胸を撫で下ろしつつ、「われわれの参戦で買収価格がつり上がったのが響いたかな」と声を潜める。
GE全体ののれん代は実に840億ドルに上り、日系企業で最大ののれん代を抱えるソフトバンクグループの2倍超だ。GEが近年ソフトウエア会社を立て続けに買収してきたことを踏まえれば、次なる減損に市場が身構えるのも無理はない。
ハード+ソフト融合
手本になれなかった製造業再生モデル
GEは財務基盤の強化のために事業の切り売りを進めるが、どこまで解体すれば一息つけるのかは不透明だ。17年11月の再建策では高収益の航空エンジン(17年度営業利益率24.3%)、火力発電、風力発電、医療機器の4部門に注力する方針を示していた。
ところが、その後も年金の積み立て不足やタービンの品質不良といった減益要因が重なった結果、今年6月には、強化するはずだった医療機器部門の売却まで決めてしまった。今後、航空エンジンへの依存はさらに高まる(図3)。
GE幹部は「航空エンジンとタービンと風車はいずれも回転体で、投資の相乗効果が期待できる」として、残る3部門の切り売り観測の火消しに躍起になっている。
GEは医療機器を含む総額200億ドルの事業を売却することで、20年までに純有利子負債を250億ドル減らし、EBITDA純有利子負債倍率(本業の収益で借入金を何年で返済できるか)を2.5倍以下にする計画だ(図4)。
ソリューションビジネスの屋台骨だった子会社、GEデジタルでは4億ドルのコスト削減を実行中で、同社の技術者が大量に流出し、日立製作所など競合に転職している。
GEのつまずきは、産業向けIoTによるソリューションビジネスの難しさを浮き彫りにした。同じくデジタル化の波に乗ろうとする日立や東芝にとっても、GEの窮地は対岸の火事ではない。
ハード+ソフト融合
手本になれなかった製造業再生モデル
GEは財務基盤の強化のために事業の切り売りを進めるが、どこまで解体すれば一息つけるのかは不透明だ。17年11月の再建策では高収益の航空エンジン(17年度営業利益率24.3%)、火力発電、風力発電、医療機器の4部門に注力する方針を示していた。
ところが、その後も年金の積み立て不足やタービンの品質不良といった減益要因が重なった結果、今年6月には、強化するはずだった医療機器部門の売却まで決めてしまった。今後、航空エンジンへの依存はさらに高まる(図3)。
GE幹部は「航空エンジンとタービンと風車はいずれも回転体で、投資の相乗効果が期待できる」として、残る3部門の切り売り観測の火消しに躍起になっている。
GEは医療機器を含む総額200億ドルの事業を売却することで、20年までに純有利子負債を250億ドル減らし、EBITDA純有利子負債倍率(本業の収益で借入金を何年で返済できるか)を2.5倍以下にする計画だ(図4)。
ソリューションビジネスの屋台骨だった子会社、GEデジタルでは4億ドルのコスト削減を実行中で、同社の技術者が大量に流出し、日立製作所など競合に転職している。
GEのつまずきは、産業向けIoTによるソリューションビジネスの難しさを浮き彫りにした。同じくデジタル化の波に乗ろうとする日立や東芝にとっても、GEの窮地は対岸の火事ではない。
※ 転載ここまで。
ポイント
《GEはソフトバンクやNECと提携して、製造業を含むあらゆる業界にPredixを売り込んだが、もともとGEの製品を使っているわけではない業界への販売はさらに困難だった。》
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