クロロの大冒険〜田舎の少年が組織に入り”オーラ”を習得、葛藤や紆余曲折を経て大人になり親になり、やがて星を救う物語〜

M3 STUDIO

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組織(ハウス)見習い編

ー 19 ー 組織員ー見習い③

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-   ジュディ式スパルタ   -



ドンっ!!!!!

クロロ・コン太「!!!」

白い砂を巻き上げ、ビーチを滑るようにジュディが突撃してきた!

その一瞬後に複数の閃光が瞬き、視界を光が埋め尽くす!

ボボボボボッ!!!!!

重い衝撃が体の芯を貫き、重力が消え、渦に飲まれたかのように上下左右の感覚を失う!!!

クロロ・コン太「…!!!」



光が消えた後、目の前には青空が広がっていた。
あっという間に吹っ飛ばされ、あおむけに転がっていたようだ。

コン太「…な、何が?」
クロロ「ぐっ…!こ、攻撃されたんだ…!」

軽い脳震盪を起こしたのか、視界がぶれている。
ジュディの攻撃は目では全く捉えられなかったが、を纏った拳で身体中を殴られたようだった。

目眩と激痛で震える体を押さえつけ、何とか起きあがろうとする。

ジュディ「ちょ、待ち!クロロ!コン太!今何を感じる!?」
ジュディの鋭い声が響く。

コン太「な、何って…痛い…です」

ジュディ「こらっ!痛いのは当然さ、他にがあるだろう?」
ジュディがアイドルのように可愛らしく整った顔をしかめてみせる。

クロロ「変化…?…あっ!な、なんだか、殴られたところが…熱い!火照ってるみたいだ」

コン太「ほ、ほんとだ!腫れてきたのかと思ってたが…!いや、もっと熱いぞ…内側からカイロを当ててるみたい」

両腕、両肩、両胸に鳩尾…
その全てから、が湧き出てくる感覚がする…!

ジュディ「よしっ!いい反応だね、それがだよ!今はだと思うけど、いずれ収まる。でも消えないように、しな!」

クロロ「きっ、キープ!?この熱い感じをか?」

ジュディ「もう特訓は始まってるよ」

熱が湧き出る感覚は確かにある…この感覚を留める…!?
だが、舞い上がった砂埃が潮風に吹き流されるように、熱い感覚がすうっと消えてゆく…

コン太「ぐっ!ぐうっ!」

力任せに熱を維持しようとしても、意思とは無関係に熱さが徐々にかき消される…

ジュディ「さっき、頭の中で描いたを思い出して。熱い感覚は光だよ。風に晒されている蝋燭をイメージしな。蝋燭の灯りが消えないように…」

クロロ「光を…」

目を閉じて熱い感覚に意識を集中させる。
そっと、手をかざすように。
風から炎を守るように…



コン太「ぷはぁ!だ、だめだ。消えてしまった…」

クロロ「…くっ!」
クロロがぐっと、歯を食いしばる。

クロロ「だっだめだ!」

微かな火種は跡形もなく消えてしまった…

ジュディ「ふん。まあ、一発目だししゃーないね…」

太陽の光を反射するサラサラの髪をかき上げ、ふっと息を吐いた。


ジュディ「さ、行こうか!」

コン太「つ、って?」

ジュディ「これがキープできるようになるまで、続けるんだよ!」

クロロ・コン太「そ、そんなあ!」

ジュディ「ふん、うだうだ言ってる暇があったら、一発でも多くのオーラを受けな!」

再びジュディの拳に光が迸る!!!


ジュディ「さあっ行くよ!」

クロロ・コン太 (…ごくり)

ジュディ「はぁっ!」

ドカン!!!!!

白い砂煙が空高く巻き上がった。


……
………


ビーチに来た頃はまだ早朝の日差しだったが、あっという間に夕暮れだ。

オレンジ色の太陽が、薄紫の水平線へと沈んでいく…。

もう何発殴られたのか…。
クロロもコン太も身体中傷だらけだ。

ジュディ「さっ、そろそろ今日はおしまいにしようか」

クロロ・コン太 (ほっ)

ジュディ「あと一回でねっ!」

クロロ・コン太「げげげっ!」

ドッカン!!!!!



クロロ「いちち…」

ジュディ「はいっ!痛がってる暇はないよ、キープよ、キープ!」
パンパンと手を叩く。

コン太「ぐぐぐっ…!」

ジュディ(しかし…なかなか鋭い感覚の子供たちだ。
確かに、大人より子供のほうが純粋な分、成長は早いとはいえ、これは想像以上!
まだ1日目なのに…少しずつだけど、感覚を掴み始めてる。…試験合格は伊達じゃないわね)



クロロ「ぐううっ!ああっ!だ、だめだ!消えちゃった!」
クロロがばたんと倒れる。

コン太「くぅーっ!も、もうちょっと…!ぐぐ…!っぷはぁ、はぁっ、ちくしょう!」
コン太も大の字になる。


ジュディ (ふっ。まあ上出来か)
肩を上げ、ぷるんとした唇からふうっと息を吐いた。

ジュディ「はい、お疲れ。正真正銘、これでおしまいよ」


クロロ「はぁっはぁっ、つ、疲れたぁー」

一日中、身体全体で拳を受け続けたせいでボロボロだった。
おまけに、激痛に耐えながらも、慣れないに対する意識の集中も同時にこなさなきゃならない。
体の負担も精神的な負荷も並大抵のものではなかった。
クロロとコン太が受けた打撃の数は、なんとそれぞれ2,000発を超えていた。


ジュディ「じゃ、ご飯食べよっか」

クロロ「ご飯!!?」
ばっと立ち上がる!

クロロ「やったー!!!」
更にはぴょんぴょんと飛び上がった。

コン太「げ、元気なやつ…」

ジュディ「も、もう三発くらい行けたみたいね…」



ジュディ「ほいっ!」

ジュディが手をかざすと、オレンジ色の砂浜にが現れた。

薄いブルーのペンキで塗られた板が敷き詰められた壁に、茅葺き屋根。
白い窓枠の脇には、ロング・ボードが立てかけられていた。



クロロ「す、すげえ!どうなってんだ?」

ジュディ「まっ。入りな」

真っ白な木のドアを開けると、ふわっと、ココナッツの香りが鼻をくすぐった。

コン太「わわっ」

外観と同様、板が敷き詰められた壁と床。
木製の梁が巡る天井には、ブルー・グレーの巨大なファンがくるくると回っている。

4人くらいは座れそうな大きめの本革ソファに、小さなガラステーブル。
床には幾何学文様の薄手のキリムが敷かれている。

その手前には一枚板の大きなテーブルと、テーブルを囲うように北欧のヴィンテージ・チェアが並んでいる。

壁際には大きめの鉢に植えられたユニークな姿の観葉植物が点在し、チェストの上に置かれたレコードプレイヤーから、古いサーフ・ミュージックが流れているーーー。

ジュディが、すぐ右手のドアを指差した。
ジュディ「この先が、トイレと洗面とバスね。そんで」

ソファのあるリビングに体を向けた。

ジュディ「壁沿いのドアの先は、全部個室よ。それぞれベッドと収納が付いてる。特訓中はこの中で過ごすからね。好きな部屋を選びな」

コン太「す、すっごい豪華ですね…!」

ジュディ「そりゃ、一泊1人10万マーネのコテージをモチーフにしてるからね」

ぐう~

クロロ「はは、も、もう限界だよ~」

ジュディ「ふう、まあ、先にご飯か」

………
……


どどん!

一枚板のテーブルを埋め尽くすように、色とりどりの地中海料理が並ぶ!
シーフードで埋め尽くされたパエリアや、鯛が丸々1尾乗っかったアクアパッツァ、新鮮なバジルがふんだんに使われたジェノベーゼのパスタが、両手じゃないと持てないくらいの大鍋に乗せらせ、大鍋の周りをたっぷり野菜のサラダやブルスケッタをはじめとした小皿が囲む。

コン太「おおっ!!!」
クロロ「うっひゃー!すげえ!」

ジュディ「お腹減ったでしょ。好きなだけ食べな」

クロロ「やったー!!!いっただきます!」
ガツガツ!もぐもぐ!ばくばく!うっめえ~~~!!!ムシャムシャ…!!!

ジュディ「…か、噛んで食べなよ…」

コン太「し、しかし…ジュディさんは料理の腕も素晴らしいんですね…!」

ジュディ「ま、まあね(…ほんとはイケメン2人を想定して、デパ地下の高級惣菜店で買い込んでたんだけどね)」


そして…

クロロ「ふいーっ、食った食った!」
クロロがソファに寝っ転がり、腹をぽんぽんと叩く。

ジュディ「た、食べ過ぎよ(こりゃ早めに買い出しに行ってこないと…食費もシャレにならんわね)」

コン太「…ほんと、どんな胃袋してんだ、こいつは」

ジュディ「まっ、でもだからね、普段より食欲湧くのは正常な証拠だよ」
ジュディが腰に手を当てながら言った。

クロロ「まっ、だけどな!」

どてっ!ジュディとコン太が思わずずっこける。



クロロ「なあ、そいえばさ、ジュディの能力って、モーリーと同じ能力なのか?」
確かに、モーリーのような真っ白な空間ではないが、異空間のようである点や、何もないところから突然何かが現れる、といった点は似ている。

ジュディ「うーん、ちょっと違うね。
モーリーはけど、あたしはを作って、その中を自在に変えられる能力なの。のようにね。だから、どこかへ行けるわけではない。
このビーチも、海も、あたしが作り出したステージ。
コインロッカーを入り口としたレイヤーで、レイヤーの中身はあたしの思い通りさ。
もともとだったからね」
そう言って、右目でキランとウインクをした。

コン太「ええっ!どうりで、お美しいと…」
コン太がうっとりとした表情でジュディを見つめる。

クロロ「へえ!女優かぁ!って言われても、なんかよく分からんけども!」

ジュディ「まあ、あんた達は知らないかもね。ずいぶんと昔の話だから」

コン太「えっ?昔って…年はボクらと変わらないんじゃ…」

ジュディ「ぎくっ!(し、しまった!)」
ジュディが視線を泳がせる。

クロロ「ははっ、もしかしてよ、

ジュディ「ぎくっぎくっ!」

コン太「ははっ、何言ってんだ、そんなわけが…」

ジュディ(ぷるぷる…)

クロロ「あれ?もしかして、当たり…?」

コン太「う、うそでしょ?こ、こんな可愛い子が…ほ、本当はもしかして、お、おば…」
コン太にビリリと衝撃が走る。

ジュディ「このっ!クソガキどもめ、明日からはもっと厳しくしてやるよ!」
ジュディがドーンとテーブルを叩いた。

コン太「ががーん!(も、モチベーションがぁ!)」

クロロ「へへ、厳しいだ?望むところだぜ!」
クロロがソファから立ち上がって、腕をぶんぶん回す。

コン太「アホっ!望むんじゃないよ!」
クロロの頭をガツンと小突く。



-   五大基礎   -



クロロ「なあ、そんでよ、今日やってた特訓が、あの、って、やつか?」

コン太「!」

コン太(五大基礎…確かに…特訓前にジュディさんが話してたことだ…)

ジュディがどんっと、板張りの壁にもたれかかって、腕組みをしながら人差し指を上げた。

ジュディ「ふふ、何言ってんの。まだ基礎の入り口にも立ってないわよ。まっ、そろそろ、説明してあげようか」


ーーー【五大基礎】


オーラ・ドライブは、「オーラをコントロールすること」であるが、その具体的な操縦方法が次にあげる5点であり、オーラ・ドライブの五大基礎と言われる。

1.移動:
オーラを体の隅々まで…感覚が届かない爪の先から髪の毛の一本一本に至るまで…任意に動かすこと。
また、複数のオーラを異なる箇所に同時に移動させることも求められる。

2.凝縮:
オーラを集めてぎゅっと固めること。オーラによる攻撃を受ける際、被弾場所にオーラを移動させ、さらに凝縮を行うことで、ダメージを軽減するとができる。攻撃時も同様に、拳にオーラを凝縮することで、光の帯を纏った拳を放つことができる。
その他にも、感覚器にオーラの凝縮を行うことで、五感を研ぎ澄ますことが可能になる。
例えば、オーラを目に移動し、凝縮することで相手のオーラを見ることができる。また、耳や鼻にオーラを移動・凝縮させるとオーラが立てる音や匂いを捉えることができるようになる。

3.増大:
凝縮が”オーラを集めて固める”ことに対して、増大はオーラを増やし、湧き上がらせることを指す。
熱い蒸気を噴き上げるように、瞬時にオーラの絶対量を引き上げる。
被弾箇所にオーラの移動・凝縮を行うことでダメージを抑えると書いたが、増大を加えて行うことで、更なるダメージ軽減かつガード範囲を広めることができる。
攻撃時においても、拳にオーラの移動・凝縮・増大を行うことで、より速くて重い一撃を放つことができるようになる。


…このように、移動、凝縮、増大は説明としては独立しているが、実際はそれぞれを密接に連動させて同時に動かすことになる。


4.消去:
オーラを一時的に消すこと。蝋燭の火をを吹き飛ばすイメージ。リラックスして力を抜く感覚。
相手がオーラ・ドライブの能力者であったとしても、オーラの消去を使うことで目隠し効果を期待できるので、潜入活動や戦闘時のカウンターなどにおいて使われる。
ただし、消去している間は防御が不十分になるので、不意打ちには注意する必要がある。
敵に見つかった場合に備え、瞬時にオーラを復帰させる訓練も必要。

5.放出:
オーラを体内から切り離して、飛ばすこと。とも呼ばれる。
飛び道具だったり、手の届かない箇所への補助だったりと、使い方はバリエーション多数。
戦闘中に、離れた相手への攻撃手段として使われるのが基本。
鍛錬を積むことで、攻撃力が飛躍的に向上する。

以上、これらを総称して五大基礎という。

………
……


ジュディ「息をしたり瞬きするのと同じように、よ」

コン太「む、無意識に…!?お、オーラの感覚を掴むことすらこんなに難しいのに…」
眼前に広がる果てしない道を目の当たりにして、コン太は思わず床にへたり込んだ。

ジュディ「昼間に言ったでしょ、本来、オーラ・ドライブをモノにしようもんなら、数十年単位でかかるものなの。なかなか厳しいけど、体に染み込ませてしまえば、コントロールはなんてことなくなるし、忘れることもなくなる」

そう言って、コーラの缶を2本、クロロとコン太に向かって投げた。

パシっ!

ジュディ「ナイスキャッチ!それよそれ。今、缶をキャッチするのに大した意識は働かなかったでしょ?」

クロロ「え?ふ、普通に掴んだだけだけど…」
缶コーラを掴んだ右手に目を遣る。

ジュディ「でもね、キャッチするまでは随分と複雑な工程を経ている。目で缶の動きを捉えて、右腕を伸ばし、缶の飛んでくる速さと位置を見極め、絶妙な力加減を右手と右腕、そして体全体に伝えながら、速度を殺して掴む…というね」


コン太「お、オーラもそのレベルまで鍛え上げる必要がある、ということですね」

クロロ「へへ!おもしれえな!」
クロロが缶のタブを引き上げると、勢いよくコーラが吹き出した。
クロロ「あわわっ!」

ジュディ「あ、ご、ごめん。投げちゃったから…。ちなみに、特訓は五大基礎で終わりじゃなくて、その先にがある。もちろん、は五大基礎を極めてからってことなるんだけど、それ以上にコツというか、固定観念を外すというか、そんな意識改革が必要になるの。これはこれで、掴むまでが大変かもしれないけどね」

コン太「に、二大応用?」

ジュディ「二大応用とは、行を指すの」

クロロ「サッチとヒコー?」

ジュディ「は物理的に離れた場所から相手のオーラを捉えることよ。慣れれば、ビルの向こう側に誰がいるか、なんとことも分かるようになる。オーラで探知するGPSみたいなものね。だからこそ、潜入活動なんかでは、をしながら行動しないと、相手に自分の居場所が筒抜けになるから注意ね。そしては文字通り…」

ふわっ………

なんと!ジュディが魔法のように、宙に浮かんだ!!!

クロロ「う、浮いた!?す、すげえ!」
コン太「い、インジさんと一緒だ!」

ジュディが、すとんと床に降りる。

ジュディ「これも、訓練を積めば、鳥のように自在に宙を舞うことができる。まっ、随分先のお楽しみね」

クロロ「なんだぁ、まだ飛べねえのかぁ」
そう言って、ぐいっとコーラを飲み干した。

ジュディ「ふん、当たり前でしょ。今あんたらは、五大基礎の中でのであるをしてる。
まずは自分のオーラを当たり前にあるものだとして認識すること。これが重要よ。
サッカーボールを蹴る練習をするには、サッカーボールが必要でしょ。同じように、五大基礎の特訓をするには、自分のオーラを捉えることがなによりも必要。んで、オーラを捉えるということは、ボールを買ってくるように簡単なことじゃない。だから道のりが長いのよ。今日から、寝てるとき以外は、常に自分のオーラを意識して生活しなさい」

クロロ「ひえ~、寝る時以外、かあ」
クロロは自分の手のひらを見つめる。今はなんともない…。よしっ!

クロロ「…オーラを…捉える」
すっと目を閉じ、昼間の特訓で感じた熱を再現してみる…
すると…
ほんのりとではあるが、手のひらの中心に熱の感覚が生まれてきた…。

ジュディ「!ほう、なかなかやるね。今、ほんの少しだけど、オーラを手のひらに集めることができてるよ」

クロロ「え?ほんと?やったあ!」
コン太「ま、まじか、すげえなお前」

ジュディ「ふっ。コン太、あんたも心配いらないよ。二人とも、なかなか筋はいいから」
コン太 (ほっ)

ジュディ「それでも、五大基礎の特訓に入るには、まだしばらくかかるだろうね」

クロロ「しばらくって…、明日か、明後日か?」

ジュディ「ふふん!甘い甘い!あたしの見立ては、60ね!」

クロロ・コン太「ろ、60日???」

ジュディ「2、3日の特訓で、こんなコテージまで用意しないっての」
そう言って、掌でばしんと壁を叩く。

ジュディ「んで、言っとくが、60だからね」

クロロ「い、入り口?」

ジュディ「そっ。まだまだしばらくは準備期間なのよ。本格的な五大基礎の特訓に入って、そして二大応用を極めて…全部終わるには、あんたらのセンスにもよるが、何年か…」

クロロ (な、何年…?)
コン太 (ちょ、あ、あと何発殴られるってこと…?)

2人はばたんと背中から倒れた。


………
……


その頃…

真っ白い部屋…
そして、何もない真っ白い部屋に横たわるボロボロの男…

だ!

部屋の壁に、1箇所だけ、まるで切り抜いたようにぽっかりと横長の窓が空いている。
穴の中は真っ暗だが、その先に複数人の気配がある。

…1人が口を開いた。

「…ひどいな、虫の息だ」
その低い声を皮切りに、暗闇の中、次々と言葉が飛び交う。

「敵は、オーラ・ドライブの使い手じゃな。それも相当な手練じゃわい」

「…インジは潜入や偵察に特化した能力…。戦闘タイプではないが…それにしてもここまでやられるとは」

黒いシルエットの1人が窓から顔を出した。
だ。

レノン「…の仕業か?」

もう1人、背の高い男が覗き込む。
だ。
どうやら、組織ハウスの幹部たちのようだ。

ライアン「わからん。だが、レジスタンスはここまでやらんはずだ」

「今わね。でも、過去に囚われ過ぎると正しい判断を失うよ」

レノン「の効き目は?」

「はっきり言って、命が助かるかどうかね。回復糖は飲ませてあるけど、発見が遅すぎたから」

レノン「…くそっ。インジ…がんばってくれ」

ライアン「容体はかなり悪い。助かったとしても、五感は失ったままだろう。見ることも、喋ることも、手を動かすこともできん…」

「むごいな…回復糖に変わるサポートアイテムも急がねば」

ライアン「ふん、全く、敵が多いな」

「あの新人は?2人入ったって聞いたけど」

レノン「修行中だ」

「モノになりそうなの?」

レノン「心配すんな、俺のお墨付きだよ。あいつらはきっと俺たちの戦力になってくれる」

「ふん。どうだかな」

ライアン「いずれにせよ、インジをやったやつを必ず洗い出してやる」

「言われなくてもよ」


……
………



-   ジュディ式スパルタ②   -



クロロとコン太の、文字通り血の滲むような特訓は続いていた…

そして、特訓開始から51が経過した頃…

ジュディ「いくよっ!」

ドッカン!

数多の閃光がクロロとコン太の体を打ち抜く!!!

ずざざざざざー!!!

踏ん張った両足が、白い砂を抉る!
クロロとコン太の足元から、それぞれ2本の砂のラインがビーチに長く伸びている。

クロロ「いてて!」
コン太「くっ!!!」

拳を受けた箇所が鈍く光っている。オーラの防御反応が作用しているのだ。

コン太「もう何日なんだろうな?もはやわからないな」

クロロ「でも、まだ基礎の基礎ってことだろ」

コン太「ああ…、一体いつになったら五大基礎に入れるんだろな」

ぐう~

クロロ「あはは、そろそろ腹減ったな」

コン太「おい、おまえ!さっきたらふく昼飯食べたばっかじゃないか!オーラ使って腹が減るのは分かるが、それにしても燃費悪すぎだろ」

二人の身体で揺らぐ複数の光は、はっきりとそこに残ったままだ。



ジュディが拳をぶんっと振り抜く。
がビーチに瞬き、ふっと消えた。

ジュディ(この子たち…。オーラの攻撃を受けても、もう倒されなくなったね。凄まじい衝撃のはずなのに、踏みとどまっている。しかも、無駄話をしながらでも、しっかりとオーラのキープが出来てる…!今日で51日…。ふむ…あたしの見立てより10日ばかり早いけど、十分かもね…)



ジュディ「よしっ!」

ジュディが両手を大きく広げた!
すると…!!!!!

クロロ・コン太「!!!」

ズズズ…

なんと!
視界に広がっていた岩山も海も白いビーチも、まるでに、ぼやけて色が混ざり合い、消えてゆく!

そして、巨大な絵筆で塗りたくるように再び無数の色が集まり、形を作り、あっという間に目の前にが広がった!

360度、何もない草原が延々と続き、地平線となって空との間を区切っている。
これは…!!!


クロロ「どっひぇー!」
コン太「なな!何なんだ?どうなってんの?」


ジュディ「のよ、いよいよからね」

クロロが飛び上がる。
クロロ「おおっ!つ、ついにか!やったー!!!」

ジュディ「予想より早いけど、特訓に入る下準備としては、十分だと判断した。使、ってことね」

確かに…
クロロもコン太も、オーラの熱をキープできるだけでなく、少し意識を向けるだけで、手のひらでも、肘でも膝でも、背中であっても、オーラの熱を呼び出すことができるようになっていた。

クロロ「へへ」
コン太「やったな」
クロロをコン太が拳をこつんと合わせる。

ジュディ「さてと」
ジュディが目を瞑ると…

クロロ・コン太「!!!」
ジュディの身体中を光が包んだ!
そして、衣装が水着から、真っ白なTシャツとサマーショーツに変わっていた。
さながらアイドルのオフショットという感じだ。

コン太「はは…ざ、残念というか、なんというか(み、水着がぁ~~~!い、いやでも随分お年を召してるんだっけ…う、うおー!!!)」
コン太が心の中で複雑な叫びをあげる。

ジュディ「この2ヶ月間は、あんたらが一方的に攻撃を受けていたわけだけど、これからの特訓では、が中心になる」
ジュディが後ろ髪を結びながら言った。

クロロ「組み手?」

ジュディ「そっ。より実戦に近いトレーニングだよ」
そう言って、右目をウインクさせる。

クロロ「おおっ!なんか楽しそう!」
コン太「問答無用で殴られてたよりはワクワクするかもな…」

ジュディ(…。ふう、ここへきてまだ、楽しいとかわくわくとかいう感情が残ってるなんて。ほんと末恐ろしい子たちね。…ポテンシャルは過去イチかもしれないわ…。鍛えがいがあるってことね!)

ジュディがパンパンと手を叩いた。

ジュディ「さっ!休憩時間はまだまだ先よ!早速、五大基礎の特訓を始めるわよ!」

クロロ「おう!!!」
コン太「はい!!!」


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【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

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